人事が知っておくべき「厚生年金保険」の基礎知識。従業員の加入条件、手続きの方法は


新たに自社へ入社する社員は、原則として国の社会保障制度の一環である「厚生年金保険」に加入させる必要があります。厚生年金保険は、健康保険と同じく社会保険のひとつです。給与支払額により保険料が変わるため、入社時や退社時の手続きだけでなく、毎年の見直し作業が発生します。手続き方法や加入条件について整理していきましょう。

 
 

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厚生年金保険の制度


厚生年金保険は、適用事業所で働く70歳未満の会社員や公務員が加入する公的年金制度です。日本国民全員に加入義務のある国民年金(基礎年金)に上乗せする形となるため、「2階建て」制度とも呼ばれています。対象である会社員・公務員は、国民年金の「第2号被保険者」となります。
 
支払う保険料は、1階部分(国民年金)と2階部分(厚生年金保険)を合算した賃金額(標準報酬月額)に応じて決まります。会社と従業員で半分ずつ負担し、会社が毎月納付します。納められた保険料は、現在年金を受給している人への給付に活用されています。

 
 

◆厚生年金保険から給付されるもの


厚生年金保険からの受給は、以下の3種類です。
 
●老齢年金
老後(基本的に65才以上)の生活保障
 
●遺族年金
被保険者や受給権者の死後、残された遺族の生活保障
 
●障害年金
怪我や病気で障害が残り、働けなくなった場合の生活保障

 
 

厚生年金保険の加入条件


フルタイムで働く70歳未満の正社員は全員厚生年金保険に加入させる必要があります。また、アルバイトやパートなどの短時間労働者の場合も、下記の条件を満たすと厚生年金保険に加入させる義務が生じます。本人が厚生年金保険への加入を希望していない(配偶者や親の被扶養者のままでいたい)場合でも、下記の条件にあてはまれば加入手続きを行う必要が生じますので、注意が必要です。

 

  • 適用事業所に使用されている従業員(70歳未満)であること
  • 勤務時間及び日数が、正社員の4分の3以上であること


さらに、上記に当てはまらない場合でも、次の5つの条件に該当する場合は、健康保険に加入させる義務があります。

 

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること
  • 1年以上の雇用が見込まれること
  • 従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いていること
  • 学生でないこと(※1)


(※1) 夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある

 
 

厚生年金保険の手続き方法


企業の人事担当者は、必要に応じて厚生年金保険の手続き業務を行います。今回は、社員の入社時と退社時および年次の業務について確認します。

 
 

◆入社時の手続き


従業員の入社日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を作成し、組合健保の場合は健康保険組合、協会けんぽの場合は日本年金機構へ提出します。扶養家族がいる場合は、健康保険被扶養者届も一緒に提出します。
 
書類の記入には下記の情報が必要です。採用・人事労務の担当者は、内定者が入社する前にこちらの項目を確認しておきましょう。

 

  • 従業員の氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • マイナンバー
  • 被扶養者の有無(有の場合は被扶養者の収入を証明する書類等も必要)


資格取得届には、入社した人の報酬月額を記入します。毎月の報酬をベースとして年金事務所が「標準報酬月額」を決定するためです。厚生年金保険の保険料は、この標準報酬月額に保険料率(18.3%)を掛けたものになります。昇給等により毎月の報酬が大きく変わった場合は、「月額変更届」を提出する必要もあります。

 
 

◆年次の手続き


企業の担当者は、毎年4月から6月までの給与額をもとに「算定基礎届」を作成し、7月1日から7月10日の期間に年金事務所へ提出することが義務付けられています。年金事務所が標準報酬月額の見直し(定時決定)を行うためです。「算定基礎届」の提出により新たな標準報酬月額が決定され、9月から翌年の8月までの保険料の基礎になります。

 
 

◆退職時の手続き


従業員が会社を辞めるときは、社会保険の資格喪失手続きを行いましょう。資格喪失日は退職日の翌日で、手続き期間は資格喪失日から5日以内です。年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出します。
 
また、退職日が月末ではなく、新しい勤務先への入社が翌月以降になる(月末時点で会社に勤めていない)場合、その月は厚生年金保険の被保険者となりません。20歳以上60歳未満の退職予定者には、以下いずれかの手続きを案内しましょう。
 
●国民年金保険の「第1号被保険者(自営業、無職など)」となる
退職者本人が、退職後14日以内に資格取得手続きを行います。
 
●国民年金保険の「第3号被保険者(配偶者が会社員で、扶養家族となる場合など)」となる
退職者の配偶者などが、勤務先に第3号被保険者関係届(健康保険の被扶養者届と共通)を提出します。

 
 

厚生年金保険の手続きをマスターして、従業員の将来を守る


厚生年金保険に社員を加入させるのは雇用主の義務です。もし加入していないと、従業員が将来もらえる年金の金額に影響してしまいます。アルバイト・パート従業員も含めて加入条件をきちんと確認し、入社・退社時、年次の手続きを確実に行いましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2020年2月時点のものです。
 
監修:うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也
TEXT:佐倉ひとみ
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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