社員研修の内製化のメリットについて 成功事例と進め方のポイント


社員研修の企画や運営には時間も手間もかかるため、社外の研修や講師に頼っている企業は多いのではないでしょうか。一方で、企業の約7割が社員研修の内製化に取り組んでおり、1,000人以上の企業では79.4%が内製化を実施しているという調査結果もあります。
 
研修を社内で内製化するメリットやその方法を、企業の経営課題に応じた研修の企画やコンサルティングを手がける株式会社スプリングボード代表取締役社長の足立晋平さんにうかがいました。

 
 

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内製化により自社ならではのニーズに合った研修が作れる


――大企業を中心に「研修の内製化」に取り組む企業が多いそうですが、研修を社内で作る意義とは何でしょうか。
 
著名な講師を招いて、素晴らしい講演をしていただいたのに、研修の内容を社員が日々の業務に生かせているのだろうか……と疑問を抱いたことはありませんか?
 
業界の最新情報をキャッチアップするための研修など、外部講師や社外で開催されている研修は大変有意義です。ただし、こうした研修は他の企業にも共通する一般的な内容になることが多いもの。時には受講者に「正論だけれど、うちの会社ではできないよね」と感じられてしまうこともあります。
 
研修を内製化し、企画や研修内容を社員が考えたり、講師を社員が担ったりすることで、自社ならではの課題やニーズを反映させた学習の機会を作ることができるのです。
 
研修資料の作成や、司会や講師をするために話し方の練習を行えば、顧客への提案や部下とのコミュニケーションの改善にも役立つスキルの習得にもなります。また、研修を実施するノウハウが社内に蓄積されていくことで、より充実した社内研修ができるようになるというメリットもあります。
 
――研修の企画や運営を行う経験も、社員の成長につながるのですね。
 
また、多くの場合、社内研修は一つの部署だけでは実施できません。たとえば、製造の現場と人事や総務といった間接部門など、普段は交流の少ない部署の社員が一緒に研修を企画することでチームワークが高まり、社内の活性化につながるといった効果もあります。
 
――実際に社内で研修を内製化し、効果を上げた事例を教えてください。
 
ある企業では、自社の特許出願件数をもっと増やしたいと考えていました。しかし、開発の部署は忙しく、特許の出願はつい後回しになりがちです。そこで、社員に特許の重要性を理解してもらおうと、毎年弁理士を講師に招いて知的財産権に関する研修をしていましたが、特許の数は伸びませんでした。
 
しかし、ある年から研修を内製化したところ、特許の出願件数が2倍になりました。これは、研修を通じて多くの社員が特許を「自分ごと」として捉え、能動的に取り組めるようになったためです。
 
研修の進め方は外部のコンサルタントに教えてもらった方法を採用しつつ、ケーススタディの事例を自社の実情に合ったリアルな内容に変えました。実際に特許を出願した社員のノウハウを伝えることもできています。研修を通じて知財部と現場の社員の交流も増え、申請書類の作成も協力しあって進められるようになったそうです。

 
 

社内研修の内製化に伴う注意点と解決法について


――研修の内製化には多くのメリットがあることが分かりました。ただ、実際に内製しようとすると、社員の負担は大きくなりそうです。
 
最初から研修の全てを社内で作る必要はありません。前述した特許に関する研修を内製化した企業のように、研修のコンテンツ設計は社外の講師やコンサルタントに発注し、当日の講師やファシリテーターは社員でやってみる、という方法もあります。
 
外部講師を招いて研修を行う際にも、自社の固有の課題や事例などを伝えて講演に盛り込んでもらうといった進め方もできます。
 
――会社の状況や研修の目的に応じて、研修の方法を考えていけばいいのですね。
 
その通りです。最も大切なことは「何のために研修が必要なのか」という目的を明らかにして臨むことです。会社として解決したい課題は、人材育成なのか、業績の向上なのか。それはいつまでに、どの程度達成したいのか、といったゴールやスコープを明確にし、そのためにはどんな研修がふさわしいかを検討しましょう。
 
――通常の業務に加えて、研修の企画も行う社員に対して会社はどんなフォローが必要でしょうか。
 
研修の企画担当になる社員は、社内での信頼も厚く、仕事へのモチベーションも高い人だと思われます。ともすれば「普段の仕事に加えて、研修も」と張り切るあまりオーバーワークになりがちです。一人で抱え込まないように、上司が業務量を調整することは欠かせません。
 
また、あれもこれもと研修の企画途中に思いつきで注文を付けていくのではなく、目的や目標をしっかり伝えた後は、担当者を信頼して任せていきましょう。社員に過度なストレスを感じさせることなく、創意工夫を発揮してもらうためです。
 
――研修の企画担当者がモチベーションを保つ秘訣を教えてください。
 
いくら優秀な社員でも、常に良い研修を実施できるとは限りません。「こんなに一生懸命やったのに、研修当日は居眠りしている受講者がいた」となると、担当者は落ち込んでしまいます。社員の意欲やアイデアを尊重しつつ、研修の内容や進め方を客観的に評価できる外部の講師やコンサルタント、研修に慣れたベテラン社員がサポートする体制を整えることも大切です。
 
――研修の内製化は、社員と会社を成長させる良い機会となりそうです。
 
研修づくりを通して、社員自身が会社の抱える課題を整理し、話し合って打ち手を考えていくプロセスが、社員と会社の成長を生み出します。確かに手間や時間はかかりますが、少しずつでも研修の内製化に取り組むことが、数年後の会社の大きな変化につながると思います。

 
 
 

<取材先>
株式会社スプリングボード 代表取締役社長 足立晋平さん
人材育成支援サービス、生産性を向上させるためのキュレーションサービス等独自のサービスを通じて中堅・大手企業の組織活性化や人材育成の支援を手がける。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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