高年齢雇用継続給付金とは? 段階的縮小・廃止による企業への影響


2020年度の通常国会で「高年齢雇用継続給付金」が段階的に縮小され、最終的には廃止されることが決定しました。2025年に60歳になる人から給付金の支給率が引き下げられることになります。
 
高年齢雇用継続給付金は、企業にとっても60歳以上の就労者にとってもメリットのあるものですが、そもそもなぜ段階的縮小・廃止の判断がなされたのでしょうか。また、今後の企業への影響について、堀下社会保険労務士事務所・代表の堀下和紀さんに伺いました。

 
 

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高年齢雇用継続給付金とは


「高年齢雇用継続給付金」は雇用保険の一つで、60歳以降の労働者の賃金の低下を国が補ってくれる制度です。主に60代前半の働く意欲のある高齢者に対する雇用継続の援助、促進を目的としています。
 
高年齢雇用継続給付金の受給には、次の3点の基本条件を満たす必要があります。

 
 

◆高年齢雇用継続給付金の基本条件

 

  1. 60歳以上65歳未満の一般雇用被保険者であること
  2. 60歳時点の賃金と比べて、その後の賃金が75%未満に低下した人
  3. 雇用保険を5年以上払っていた期間がある人

 
 

高年齢雇用継続給付金の種類


高年齢雇用継続給付金には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。上記の基本条件を満たした上で、60歳以降に「失業保険」を受給したかどうかによって、該当する給付金が変わります。
 
失業保険を受給することなく、60歳を過ぎてもそのまま継続して就労している人は、高年齢雇用継続基本給付金の申請をします。
 
一方、高年齢再就職給付金は、失業保険を受給した人を対象とする給付金です。つまり、いったん退職して再就職した人が該当します。基本条件のほか、「失業保険の支給日数が100日以上残っている」「再就職した際に1年以上の雇用が確実である」などの条件がプラスされます。
 
また、どちらも65歳までを対象としていますが、受給期間に違いがあります。高年齢雇用継続基本給付金は申請してから65歳までの間で最長5年、高年齢再就職給付金は失業保険の残日数によって変わりますが最長2年です。

 
 

高年齢雇用継続給付金が段階的縮小・廃止となる背景


65歳までの継続雇用を増やすための措置として誕生した高年齢雇用継続給付金制度ですが、2020年4月の通常国会において同給付金の段階的な縮小・廃止が可決されました。
 
給付金廃止の背景として、2013年に施行された「高年齢者雇用安定法」の改正があります。同改正では「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置を、企業に義務づけました。
 
徐々に65歳までの就労を認める企業が増え、2019年度には「希望者全員が65歳以上まで働ける企業」の割合が78.8%に達しました(内閣府「令和2年版 高齢社会白書」より)。
 
また、「同一労働同一賃金」(中小企業は2021年4月から)が法制化されたことにより、高年齢者も含めて公正な待遇の確保が期待できる体制が整ったため、高年齢雇用継続給付金の役割は終わったという判断がなされました。

 
 

高年齢雇用継続給付金の段階的縮小・廃止のスケジュール


高年齢雇用継続給付金の段階的縮小・廃止が適用されるのは、「2025年度に60歳に到達する人」からです。
 
前述したように、年金受給年齢の引き上げにともない、2013年から65歳までの就労を認める措置の段階的導入が促されてきました。その経過措置が終了するのが2024年。その後、就労措置が完全義務化となります。
 
「2025年度に60歳に到達する人」から給付率を半減させ、その後は段階的に廃止となる方針です。現状では、それ以外の方針は発表されていません。

 
 

給付金廃止による企業のメリット・デメリット


高年齢雇用継続給付金の廃止による企業の最大のメリットは、給付手続きが必要なくなり、事務作業が減少するという点です。
 
しかし、デメリットととる企業も少なくありません。特に高年齢の従業員が多く在籍する企業にとって、高年齢者に対する制度設計の再考は必須です。
 
努力義務とはいえ、2021年4月からは就労年齢を70歳まで引き上げる「改正高年齢者雇用安定法」が施行されます。給付金の廃止による高年齢者の収入減をどうカバーするのか、処遇の見直しは急務といえます。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年2月時点のものです。
 
<取材先>
堀下社会保険労務士事務所 代表 堀下和紀さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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