人事部が実践するべきワークライフバランス推進の4ステップ


現在の日本は少子高齢化が進み、深刻な労働力不足に陥る懸念があります。そのため、企業がビジネスを継続するためには、男女ともに働き続けられる環境を整え、労働力をフル活用することが求められます。社員一人ひとりの違いを理解して価値に転換するために、今後ワークライフバランス推進を経営戦略として実践することはますます重要になっていくでしょう。
 
では、実際に人事担当者がワークライフバランスを推進する場合、何から始めれば良いのでしょうか? 株式会社ワーク・ライフバランス取締役の大塚万紀子さんにお聞きしました。

 
 

求人を掲載

お仕事をお探しの方は こちらから検索

ワークライフバランス推進の4ステップ


――ワークライフバランスを推進するために、人事担当者はどのようなことから行えばよいでしょうか?
 
他部署へ声をかける前に、まずは人事部の中で次の4つのステップを2週間実践してみましょう。

 
 

◆ワークライフバランス推進の4ステップ


ステップ1 現在の働き方を確認する
ステップ2 業務の課題を抽出
ステップ3 会議で働き方の見直し
ステップ4 見直し施策の実施

 

・ステップ1 現在の働き方を確認する


まずは、働き方を確認するために「朝メール・夜メール」に取り組んでみましょう。毎朝出社後に1日どんなスケジュールで何をするのか、部署の全員にメールで送ります。帰るときも同じように、その日の実績をメールで共有します。予定変更があったものや突発対応が必要になったものなど、1日の動きが見えてきます。予定と違いがあったところに課題が潜んでいるので、それを洗い出します。
 
「昨日も今日も同じ働き方だ」「分単位で違う仕事が飛び込んでくるのでメモを取り切れない」など、取り組みを拒む社員もいるでしょう。しかし、作業手順の中で改善できる点はどこか知るために、細かくメモを取ってもらいましょう。

 

・ステップ2 業務の課題を抽出


ステップ1での確認内容をもとに、個人の課題と組織の課題を洗い出します。たとえば資料作成に時間がかかるのは個人の課題、会議が長引いて終わらないのは組織の課題といったように、課題を仕分けしていきます。個人の課題は各々で対策を講じなくてはいけませんし、組織の課題はみんなで話し合わなくてはいけません。

 

・ステップ3 会議で働き方の見直し


ステップ2で洗い出された課題について、社内で話し合いをします。週に1回30分を目安に、主に組織の課題を取り上げて会議を行いましょう。たとえば会議が長引くことが課題であれば、アジェンダを会議の前日に出し合い、それを読んでから参加するルールを作るなど、新しい方法を考えましょう。そうして取り組むべき施策を決めていきます。

 

・ステップ4 見直し施策の実施


ステップ3で決めた施策に取り組みます。決めたことを実行するというのは、簡単なようで実はハードルが高いものです。人事部が取り組んでいる間は、我々のようなコンサルタントが定期的に訪問して背中を押す役割を担います。他部署が取り組むときは、人事部が背中を押す役割を担うことが多いですね。
 
 
――そもそもなぜ他部署よりも先に、人事部が実践した方がいいのでしょうか?
 
人事部がこの4ステップを事前に体験することで、取り組みのイメージがわきますし、組織の問題点も見えてくるので、社員をサポートしやすくなります。
 
人事部のシミュレーションで知見を広げたら、他の部署でもこれらのステップを進めるのがおすすめです。他部署の間で共通の問題点が出てきたら、それは会社全体で考えなくてはいけない問題です。経営者を巻き込んで議論をする時間を持ったり、制度を変更したりと、大きな取り組みにつなげましょう。

 
 

ワークライフバランスの推進で、人事が気をつけるべきこと


――人事担当者がワークライフバランスを推進するにあたり、注意点はありますか?
 
1年目から欲張らないことです。不慣れなのに一気に取り組もうとすると、人事担当者の負担が非常に大きくなり、丁寧なフォローができなくなってしまうことで、現場の働き方改革への不満が増してしまうことがあります。ですので、1年目は上で紹介した4ステップのような小さい取り組みから始めていき、うまくいった施策といかなかった施策を整理していきましょう。
 
――規模が小さい企業の人事担当者だと、すぐに結果を出さなくてはいけないという焦りが出てしまうかもしれませんね。
 
そうですね、社会が大きく変化していますから、焦ってしまうこともあると思います。それでもあえて人事の方にお伝えしたいのは、1年でワークライフバランスの取り組みが終わると思わないでください、ということです。今まで何十年も積み重ねた企業の体制が、たった1年で変わることはありません。3~5年で土台を基礎から作り直すぞ、という気持ちを持っていただく必要がありますし、それだけ価値がある取り組みだと考えています。
 
――2年目以降は、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか?
 
2年目は、これまでの取り組みを応用してみましょう。たとえばある部署で取り組んだことが他の部署でうまくいくかどうか、試してみます。そうすると、またうまくいった施策、うまくいかなかった施策が出て、全社的に必要な取り組みが見えてきます。
 
その全社的に必要な取り組みを中心に、3年目のプランを組んでいきましょう。たとえば、新しい制度をつくる、ITツールを導入する、コミュニケーションの手法を変える、等々。最初からこうした大きな変革をもたらす取り組みに着手しようとする方も多いですが、急がば回れの姿勢が大事です。
 
――ワークライフバランスを実現するために、うまく社員を巻き込むコツはありますか?
 
ワークライフバランス推進の意義を、社会の背景なども含めて社員に理解してもらうことが大切です。一部だけ切り取って伝えると、メリットのない取り組みのように思われることがあります。自分ごとにしていただくために、自社の社員にはどういう点を訴求するのが効果的か、考えておくと良いですね。
 
――ワークライフバランスを推進するために最も重要なのは、事前準備ということでしょうか?
 
はい。ワークライフバランスの推進を通して、どんな会社にしたいのか? 現実とのギャップを埋めるために人事としてやるべきことは何か? このビジョンやゴールが固まっていないうちに現場を巻き込むとかえって混乱してしまうこともあります。現場を振り回してしまうと、ワークライフバランスの取り組みにネガティブな印象を植えつけてしまうかもしれません。
 
ワークライフバランス推進のブレない軸をつくるためには、最初に経営者とじっくり話しておくことをお勧めします。何をゴールとして考えているのか、会社としてあるべき姿はなにかを一緒に考えてみてください。
 
一社一社、会社として理想的な姿は異なります。残業を減らしたいという理想もあれば、みんなが辞めたくならない会社にしたいという理想もあります。人事担当者が経営者と同じレベルでビジョンを持ち、社員に向けて説明できるようにしましょう。じっくり時間をかけながら、最初に目指したゴールを見失わないように遂行することが大切です。

 
 
 

<取材先>
大塚万紀子さん
株式会社ワーク・ライフバランス 取締役
同社の創業メンバーとして、現場の働き方にそった細やかかつダイナミックなコンサルティングを提供し続けている。二児の母として、管理職ながら自らも短時間勤務を実践。パートナーコンサルタント、財団法人生涯学習開発財団認定コーチ、金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント専攻客員教授。著書に『30歳からますます輝く女性になる方法』がある。
 
TEXT:年永亜美
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
Indeedが人材 募集を サポート スタートガイドのダウンロードはこちら 

準備はできましたか? 求人を掲載

*ここに掲載されている内容は、情報提供のみを目的としています。Indeed は就職斡旋業者でも法的アドバイスを提供する企業でもありません。Indeed は、求人内容に関する一切の責任を負わず、また、ここに掲載されている情報は求人広告のパフォーマンスを保証するものでもありません。