ワタミのビジネスモデルから探る 中小企業におけるSDGsの始め方


外食事業を展開するワタミ株式会社は、2019年に持続可能な開発目標「SDGs」を経営の中核課題に取り入れました。夕食の宅配、農業、エネルギーなどの事業を通じ、地球環境保全や地域貢献を目指すSDGs活動に取り組むことで、企業イメージの向上や従業員のモチベーションアップなどの効果が生まれています。
 
社内におけるSDGsの学習や取り組み内容、SDGs活動がもたらす効果について、同社のSDGs推進本部長を務める百瀬則子さんにお話を伺いました。

 
 

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個人的に興味を持つSDGs目標を入口に


――ワタミでSDGsの取り組みが始まった経緯を教えてください。
 
ワタミでSDGs推進本部が立ち上がったのは2019年4月のことです。ワタミ創業者の渡邉美樹(現会長兼グループCEO)から「ワタミでSDGsの活動を推進してほしい」と声を掛けていただいたことがSDGs推進本部開設のきっかけでした。私自身、前職でCSR部長など、長年にわたって環境や社会貢献に関する業務に取り組んできた経緯があり、その経験を生かせる機会でもあるので引き受けました。
 
一方で、私個人として同年2月、中部圏で企業のSDGsを進めるため一般社団法人中部SDGs推進センターを立ち上げていました。現在、同センターの副代表理事とワタミの業務を兼務しながら、SDGsの推進活動を展開しています。
 
――ワタミでは、SDGs活動をどのように始めましたか。
 
まず取り組んだのは、人材育成でした。SDGs活動の中核となりうる30代半ば~40代前半の社員を対象に各部署からメンバーを募り、講義とワークショップを通じてSDGsを学んでもらいました。
 
――社内でSDGsをどう学んだらいいのか迷う企業もあるかと思います。具体的にはどのように進めましたか?
 
SDGsには「1 貧困をなくそう」「13 気候変動に具体的な対策を」など17の目標があります。まず、目標ごとにバッジを用意し、集まったメンバーに興味がある目標のバッジを選んで身に着けてもらいました。選ぶ目標は、会社の課題や業務内容に関係することに限らず、個人的に気になるテーマや興味があるものでOK。たとえば、釣りが好きだから海を汚したくない人は、「14 海の豊かさを守ろう」の目標を選んでいましたし、交通事故で命を落とす人がいない世の中にしたい人は「3 すべての人に健康と福祉を」の目標を選んでいました。

 

SDGs17の目標SDGs17の目標(出典:国際連合広報センター)


こうして関心のある分野について話し合うことで、従業員同士で普段とは異なるコミュニケーションを取れるのも良い点だと思います。相互理解が深まり、新しい発想を生むことにもつながっているのではないでしょうか。
大切なのは、まずSDGsの目標を自分事として捉え、共感することです。その上で自分には何ができるかを考え、小さなことでもいいので行動に移していく。それらを入り口として、企業の課題とSDGsの関連性を見つけるという流れで取り組みを進めているところです。

 
 

社会課題を起点に考え、3つのタスクフォースを推進


――その後、社内でどのような動きに発展しましたか。
 
SDGs活動の中核を担うメンバーで会社の課題を掘り起こし話し合ったところ、以下の3つのプロジェクトが生まれました。

 

  1. 「ワタミの宅食」の弁当容器を持続可能なバイオマスプラスチック製にし、回収してリサイクルする「宅食容器リサイクルプロジェクト」
  2. オーガニック野菜を栽培、加工し、店舗で提供する「ワタミオーガニックプロジェクト」
  3. 2040年までに事業活動で消費する電力の100%を再生可能エネルギーにする「RE100プロジェクト」


各プロジェクトでタスクフォースを組織しました。例えば(1)なら、容器選定、加工、物流、配達回収、リサイクルというようにサプライチェーンの各部門で担当と役割を決めました。そうすることで各課題にきめ細やかにかつ、スピーディーに取り組むことができています。
こうした課題を見つけ出すときに取り入れているのが、先に地域社会や地球環境の課題を考え、それを企業活動の中で解決する「アウトサイド・イン・アプローチ」という手法です。企業の課題から考えるのではなく、社会課題を起点として事業を考えていく方法としてSDGs目標を設定する際に有効な考え方として注目されています。
 
私たちも、SDGsの17の目標すべてを網羅しているわけではありませんが、これら3つのプロジェクトを中心に取り組むことで、脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会の構築と持続可能な社会への貢献を目指しているところです。

 

長野県東御市のワタミファーム東御農場で栽培されるロメインレタス長野県東御市のワタミファーム東御農場で栽培されるロメインレタス(写真提供:ワタミ株式会社)

 
 

地域貢献を実感することが、従業員のやりがいにつながる


――社内でSDGsに取り組むことで、どんなメリットがありましたか?
 
一つは、SDGs活動が従業員のモチベーションアップにつながったことです。たとえば、高齢者に栄養バランスの良い食事を届けるワタミの宅食は、SDGsの「3 すべての人に健康と福祉を」に合致しており、仕事に対して誇りを持つことにつながっています。また、スタッフがお弁当の配達で訪問した際、お客様の異常に気付いたことで人命救助できた事例もありました。直接的には会社の利益にならない行動でも、人の役に立っていると実感できることが従業員のやる気を引き出していると感じています。
 
また、SDGsに取り組むことは、企業のイメージアップにもつながっていると思います。採用面では、社会貢献や企業のパーパス(存在意義)に関心が高い人材が入社するなど良い影響が生まれています。
 
――今後、SDGsをより推進していくために、ワタミとして、一個人としての抱負を聞かせてください。
 
ワタミグループのスローガンは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」です。本業を通じてその目標を達成するのはもちろん、SDGsの取り組みでも、さらに多くの「ありがとう」を集められるようにしたいです。
 
ワタミだけに限らず、SDGsの推進活動に取り組む私個人としても、未来の子どもたちのために今、大人たちがやらなければならないことを考え、どんどん実行していきたいです。一人一人が少しずつでも地球や地域のためになる行動を実践していけば必ず世界は変わります。多くの中小企業においても、まずはSDGsを知るところから一歩を踏み出してほしいと思います。

 
 
 
参考:
外務省『JAPAN SDGs Action Platform』
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html


<取材先>
ワタミ株式会社 SDGs推進本部長
中部SDGs推進センター副代表理事
百瀬則子さん
 
横浜市出身。酪農学園大卒。1980年に総合小売業のチェーンストアを展開する企業に入社。同社執行役員・CSR部長を務め、2019年に退社。同年2月に中部SDGs推進センターを設立。副代表理事に就任。同年4月からワタミSDGs推進本部長に就任。
 
TEXT:岡崎彩子
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

 

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