誰もが働きやすい職場づくりのために 採用担当者が必ず知っておきたいLGBTQ施策とは


大企業を中心にLGBTQ施策に取り組む企業が増えています。しかし「LGBTQとは?」「具体的に何をするべき?」「うちの会社にも必要?」と感じている企業も少なくありません。
 
LGBTQと職場に対する調査や講演活動、企業や行政の取り組みを支援する認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さんに、採用時にLGBTQを排除しないための取り組みについてお聞きしました。

 
 

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職場や取引先、必ず身近にいるLGBTQ


――実際、採用の現場ではLGBTQに関してどのような課題があるのでしょうか。
 
まず、「身近にLGBTQがいない」と感じている担当者が多いのではないでしょうか。「LGBTQ」とは、L(レズビアン、女性同性愛者)、G(ゲイ、男性同性愛者)、B(バイセクシュアル、両性愛者)、T(トランスジェンダー/出生時に割り当てられた性別と異なる性別で生きている・生きたいと願う人)、そしてQ(クエスチョニング/性的指向や性自認が定まっていない・定めない人)(クィア/性的指向や性自認が非典型な人全般)を表す言葉で、性的マイノリティの総称の一つです。
 
厚生労働省の調査によればLGBTQは人口の3〜8%ほど、5%とすれば20人に1人くらいはLGBTQであると言われています。ですから、まずは従業員、お客様、取引先の中に必ずLGBTQが「いる」という前提を持つことが大切です。
 
――自分が知らない、会ったことがないからといってLGBTQの人が「いない」と考えてはいけないのですね。
 
日本では幼い頃から「男らしさ」「女らしさ」について教えられ、男女で結婚することが「普通」だと教えられることもあります。そのためLGBTQ当事者は子どもの頃から家族や友人にも自分のことを話せず、傷ついてきた人が少なくありません。
 
ただ、近年では社会が変わり始めています。「同性パートナーシップ制度」を導入する自治体や、男女を問わず制服をスカートかパンツで選べる学校が増えています。特に教育現場では「くん/ちゃん」という呼び方をやめ、どの生徒も「さん」付けで呼ぶよう改める学校や、LGBTQサークルを応援する大学もたくさんあります。ジェンダーやLGBTQに対して新しい意識を持つ若い世代は確実に増えていますから、従来通りの意識のままでいる企業は求職者から敬遠されてしまうかもしれません。

 
 

性的指向や性自認で求職者を不利に扱わないために


――採用活動で具体的にはどんな問題が起こっているのでしょうか。
 
「トランスジェンダーであることが分かった途端、採用を取り消された」という方がいますが、決してあってはならないことです。厚生労働省が示す「公正な採用選考をめざして」(令和3年度版)にLGBTについて4ページにわたり解説するコラムがありますが、採用ではその人の意欲や能力を公正に判断することが大切です。性的指向や性自認によって求職者を不利に扱わないよう、次に挙げることに取り組むといいかと思います。
 
1. 履歴書や面接時の障壁をなくす
履歴書などの提出書類に性別記載欄があったり、グループ面接の際に男女で分けられたり、名札を付けたりすることはLGBTQの当事者にとって大きな障壁を感じる要素となります。戸籍名と見た目の性別が異なるのを、初対面の人に知られることに抵抗を感じる人もいるためです。慣習として行っている性別の記載や男女別の運用が、選考において本当に必要か検討してみてください。
 
また、男女の違いが如実に現れるスーツより、カジュアルな服装でもOKな面接だと安心できる方は多いですね。
 
2. 求職者への情報提供をする
当事者からは、面接で会社のLGBTQ施策について積極的に質問することは難しいものです。就業規則や行動指針でLGBTQ差別の禁止を定め、社内で研修や啓発活動をしていればその旨をホームページやパンフレットに掲載することも大切です。特に、社長などトップからのメッセージが発信されていると安心感が高まります。
 
3.採用担当者が学ぶ機会を設ける
面接官など、採用に関わる従業員がLGBTQに関する基礎知識を学ぶ機会を設けましょう。面接時に「本当の性別は?」「性転換手術はしないの?」といった質問や、結婚や出産など異性愛者のライフコースを前提とした話題で当事者を追い詰めてしまうことを避けるためです。厚生労働省は職業安定法などに基づき、採用にあたり社会的差別につながる属性を聞くことのないよう呼びかけています。
 
求職者から面接でカミングアウト(自身がLGBTQであると自分の意志で伝えること)を受ける場合もありますし、職場のLGBTQ施策について質問されることもあります。求職者の中にも必ずLGBTQがいるという認識を、採用に関わるすべての人が持っておくようにしましょう。
 
――無意識に行っている言動でLGBTQの人を傷つけて、自社に合う業務スキルを持つ人材を会社から遠ざけてしまっている可能性があるのですね。
 
そうですね。よく「LGBTQの人にこれだけは言ってはいけない『NGワード』を教えてください」と言われますが、残念ながら、そうしたうわべの対策だけではLGBTQの方と信頼し合って共に仕事をするパートナーにはなれません。書籍や自治体が出しているハンドブックを読んだり、当事者を招いて話を聞くといった研修を重ねたりして、少しずつでも学ぶことをおすすめします。虹色ダイバーシティでも中小企業の経営者や人事担当者向けにLGBTの基礎知識を学べる動画を公開していますので、ぜひ活用してください。

 

LGBT基礎知識(中小企業経営者向け)【動画】LGBT基礎知識(中小企業経営者向け)


「LGBTQへの差別を無くす」という視点で職場を見渡してみると、無意識の男女分けに気がつきやすくなります。ある企業の人事担当者は「LGBTQへの無理解はジェンダーバイアスとつながっている。『男は家庭を持って一人前』といった、無意識で、かつ根強い偏見に気付き行動を変えていくことが大切だ」と話していました。性別を問わず働きやすい職場づくりは「男女平等参画」や「働き方改革」にも良い影響を与えます。LGBTQの当事者ではなくとも、「男らしさ」「女らしさ」にとらわれずに働きたいという社員も多いはずですよね。
 
急に新しい取り組みを始めるというより、従来のジェンダー問題の延長と広くとらえていくことが、LGBTQはもちろん、どの社員にとっても安心して自分らしく働ける職場づくりに重要だと思います。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年5月時点のものです。
 
<取材先>
認定NPO法人虹色ダイバーシティ 代表 村木真紀さん
京都大学総合人間学部卒業。社会保険労務士。日系大手製造業、外資系コンサルティング会社等を経て現職。当事者としての実感とコンサルタントの経験を活かして、LGBTに関する調査研究、社会教育活動を行う。自著『虹色チェンジメーカー LGBTQ視点が職場と社会を変える』、共著『職場のLGBT読本』、『トランスジェンダーと職場環境ハンドブック』。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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