介護士の採用に成功している介護施設の共通点


慢性的な人手不足が続く介護業界。募集をしてもなかなか人が集まらず、苦労している介護施設も多いようです。一方、そんな状況の中でも順調に介護士を採用している事業者があります。いったい何が違うのでしょうか?
 
うまく介護士を集めている施設の共通点や、応募率を上げる求人の出し方・見せ方について、有識者にお聞きしました。お話しいただいたのは、株式会社Join for Kaigo取締役の野沢悠介さんです。

 
 

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ターゲットによって求人媒体、訴求内容を変える


――介護事業者の多くは、応募者を集めるのに苦労しているようです。一般的に、なぜうまくいっていないのでしょうか?
 
大きなポイントは、採用活動をきちんと計画的に行っているかどうかです。とにかく人が足りていないので、「誰でもいいから来てください」といったスタンスの事業者が多く見られます。まずターゲットをしっかり決めて、そのために何をアピールすればいいか、戦略的に考えて採用活動をしなければいけません。
 
――それは、求人情報の見せ方に問題があるのでしょうか?
 
そうですね。まず、どんな人材を採用したいのか明確にした上で、ターゲットに適した募集をかける必要があります。たとえば、学生や若手人材を採用したいのに、「シニアの方が活躍しています」と書いても意味がないですよね。あるいは、子育てが終わったお母さん世代がターゲットなのに「20代の若手スタッフが多く、元気のいい職場です」と書いても、あまり応募したいと思わないでしょう。
 
応募者がどんな情報を欲しているのか考えた上で、求人媒体を使い分けることも必要です。若手人材を採用したいのに、新聞の折り込み広告に求人掲載をしてもあまり効果は期待できません。若い人を集めたいなら、Webの求人媒体やSNSなどを積極的に使って情報発信していくべきでしょう。
 
採用がうまくいっていない会社は、異なるメディアに同じ情報を出してしまっていることが多いですね。たとえばA社は、ハローワークにもIndeedにも「未経験者、経験者、どちらもOKです」と同じ情報しか載せていない。一方B社は、ターゲットの年齢を考えながら「うちはこういう取り組みをしています」と媒体ごとに違うアピールをする。そうすると、やはり求職者はB社に注目します。きちんと採用戦略を立てて、媒体ごとにアプローチを変えることが大事です。
 
――人集めに失敗している介護事業者は、全方位的に同じ求人内容を載せてしまっているのですね。ターゲットや媒体によって訴求内容を変えていく必要がある、と。
 
介護施設の方とお話すると、「うちも同じような採用活動をしていた」という声をよく聞きます。実際、「夜勤ができる人を採用したいけど、全然応募者が来ない」という状態だったのに、訴求内容をターゲットに合わせて変えた途端、たくさん応募がきた例もあります。

 
 
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ブログやSNSを有効活用し、自社の特徴・強みをアピール


――介護士をうまく採用している会社に共通するポイントがあれば教えてください。
 
重要なのは、自社の特徴や強みをきちんと伝えられているかどうかです。介護の仕事って、高齢者と向き合うという点では、A社もB社もそんなに変わらないでしょう。では何を基準に選んでもらえばいいのか? やはり他の介護施設との差別化が必要になってきます。
 
うまく採用活動をしている事業者は、待遇面や制度をPRするだけでなく、「こんな思いを持って介護サービスに取り組んでいます」と、自社の特徴や強みをしっかり出しています。そこに興味・関心を持った人が集まってくるのです。
 
――「自社の特徴や強み」というのは、具体的にどのような内容を考えればよいのでしょうか?
 
良くないな例としてありがちなのが、「利用者目線で質の高いサービスを提供しています」「アットホームな職場環境です」といった表現。手垢のついた言葉では、応募者の心は動かないでしょう。
 
もしアピールしたい特徴が「働きやすい職場環境」だとしても、そのまま表現するだけでは足りません。「○○というITツールを導入して、業務改善をしています」「3年前と比べて、残業時間が○時間減りました」と言えば、アピール力は高まります。
 
介護事業者として大切にしていることと、それを実現するために何を実行しているか。自分たちの思いを採用の場でもきちんと伝えていくことが大切です。
 
――実行している施策を具体的にアピールすることで、応募者が増えるのですね。
 
その手段として、ブログやSNSを使って発信していくことも重要です。最近はSNSを活用している介護事業者も増えていますが、ありがちなのが「見学会をやりました」「書道アクティビティをやりました」といった、あまり採用に響かない報告だけの投稿です。求職者が知りたい情報とは何かを考えながら、しっかり届けていく必要があります。
 
――うまく採用に繋げている情報発信の例はありますか?
 
介護業界はまだあまり良い例がないので、他業種のオウンドメディアを参考にするといいかもしれません。たとえばメルカリさんやサイボウズさんは、そこで働く人がどんなことを考えているのか、どんな組織・風土なのかを丁寧に届けています。ダイレクトに応募へつなげるというよりも、関心を持っている人がもっと好きになったり、いざという時に思い出してもらったりするための施策ですね。
 
しかし介護事業者は、まだまだ「求人票」と「応募受付」だけになっています。しかもWebでの発信が弱い。中には「ハローワークの求人はWeb上でも見られるから、それで十分だ」と思っている事業者もあるようです。ハローワークの求人票だけでは、本当に届けたい層にリーチできない可能性が高いでしょう。ホームページに最新情報を載せたり、ブログやSNSを活用したりして、自社のことを知ってもらう工夫をしなければいけません。

 
 
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建物の写真やロゴでは何も伝わらない


――応募数を増やす求人の見せ方、出し方について、アドバイスをお願いします。
 
悪い例として挙げられるのは、施設の建物全体を俯瞰で撮った写真やオープン前の完成予定CG、会社のロゴしか載せていない求人情報です。それでは何も伝わらないですよね。働くイメージを持ってもらうためには、職場の風景写真が必須だと思います。介護スタッフと利用者が向き合っている様子など、きちんとコンセプトを考え、メッセージ性を持つ写真を掲載しましょう。事実、写真を変えるだけで応募数が伸びた例もあります。
 
可能であれば、許可いただいた上で、利用者との関わりを見せられると良いですね。小人数にスポットが当たって職場の雰囲気が伝わるような、応募者にイメージが湧きやすい写真や文章を掲載しましょう。
 
また、「採用学」を専門にしている神戸大学大学院の服部泰宏准教授は、注目のトレンドとして「採用のエンターテインメント化」を挙げています。
 
――採用のエンターテインメント化とは?
 
従来よくある講義型の会社説明会だけでなく、介護の体験そのものを楽しんでもらいながら、仕事および業界への理解を深めていく採用プロセスです。特に新卒採用においては、いかに関心を持ってもらうかが重要なキーとなりますから。通常の面接では見ることのできない、応募者の素の部分を垣間見ることができるメリットもあります。
 
介護業界は中小企業が多いので、そこまで力を入れている会社はまだ少ないですが、大手の事業所は取り組み始めています。新しい採用施策もどんどん取り入れていきましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社Join for Kaigo 取締役
野沢 悠介(のざわ ゆうすけ)さん

https://kaigohr.com

 

TEXT:村中貴士
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 

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