企業が従業員のレジリエンス(ストレスに対する回復力)を高める方法とは?


人材育成や健康経営などを重要テーマとする企業において、広く使われるようになった「レジリエンス」という言葉。レジリエンスとはなにか、企業が従業員のレジリエンスを高めるメリットや有効な高め方について、レジリエンスを活用した企業人材の育成に従事するポジティブ サイコロジー スクール代表の久世浩司さんにお聞きしました。

 
 

求人を掲載

お仕事をお探しの方は こちらから検索

レジリエンスとは?


レジリエンスとは、「逆境やトラブル、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義づけられます。「回復力」「立ち直る力」とも表現されます。
 
たとえば、ストレスにさらされて気分が落ち込んだり、強い怒りの感情が生まれたりしたときに、レジリエンスが低い人は、その落ち込みや怒りの感情をずっと持続させ、疲弊していきます。
 
一方、レジリエンスが高い人は、落ち込んだり怒りをおぼえたりしても、乗り越えて元の精神状態に戻すことに長け、失敗を恐れずに新しいことに挑戦しやすいという特徴があります。
 
似たような言葉で「メンタルが強い」という表現がありますが、これにはストレスを感じにくい、そもそも外部からの衝撃をものともしないといったニュアンスがあります。対して、「レジリエンスが高い」という状態は「ストレスを感じても元の心の状態に戻る力が強い」という意味合いを持っています。

 
 

◆レジリエンスが高い人の特徴


レジリエンスが高い人の3つの特徴は下記です。

 

  1. 回復力が高い
    困難に直面して、一時的に落ち込むことがあっても、すぐ元の状態に戻ることができる力です。

 

  1. 弾力性がある
    予想外のショックやストレスがあっても、弾力性をもって耐えるしなやかさを持っています。人から否定的なことをいわれても、心の傷にならずに自分を守れます。

 

  1. 適応力が高い
    予期せぬ変化に抵抗するのではなく、柔軟に受け入れて合理的に対応できる思考ができます。

 
 

◆レジリエンスは誰もが持つ心理的資源


レジリエンスは特別なものではなく、元々人間の内面にある心理的資源です。
 
レジリエンスは「心の筋肉」ともいわれており、運動をしないと筋力が弱るのと同様、強いストレスや失敗を原因として弱っていってしまうこともあります。
 
そのため、レジリエンスについて理解を深め、日頃からトレーニングをしておくことで、レジリエンスを高めて安定した心の健康を保つことが期待できます。

 
 

企業が従業員のレジリエンスを高めることによるメリット


では、具体的にどのようにしてレジリエンスを高めることができるのでしょうか。アメリカなどを中心に、40年以上前からレジリエンスについての研究が行われており、多くの企業でレジリエンスを鍛える研修が行われています。
 
職種による違いや個人差はあるものの、人は仕事をしている以上、人間関係の悩みや仕事量の多さ、ミスを防ぐための緊張感など、何らかのストレスを感じ続けています。
 
企業が従業員のレジリエンスを鍛え、ストレスへの適応力や回復力を高めることで得られるメリットとして、次の効果が期待できます。

 

  • メンタルヘルスの不調による欠勤や休職が減る
  • 失敗を恐れず、新しいことにチャレンジできる精神が育つ
  • 達成感を得やすくなり、より高い目標に対して挑めるようになる
  • 企業の生産性が向上する

 
 

従業員のレジリエンスを高めるために、企業側ができること


従業員のレジリエンスを高めるために企業ができることとして「セルフケア」と「ラインケア」があります。

 
 

◆自分で自分を回復するセルフケアを従業員に促す


まずはレジリエンスを高める効果を企業担当者が理解し、従業員にもその重要性を伝えましょう。その上で、従業員が心の健康を維持するために自身で行うストレスケア「セルフケア」を習慣化することを提案してみましょう。
 
セルフケアで重要なのは「ネガティブ感情の『気晴らし』」です。
 
人はイライラや落ち込み、怒りなどのネガティブな感情を抱いたとき、解消をせずに放置したり、押さえつけたりするとストレスは蓄積してしまいます。その結果、あるとき急に仕事を休んでしまう、怒りに任せて人を傷つけるなどの問題行動につながるリスクがあります。
 
ネガティブな感情がたまって爆発する前に、意識的に気晴らしをしてストレス解消を行うのです。この方法には下記の4つのタイプがあります。

 

  • エクササイズやダンス、スポーツなど「運動系」
  • 音楽を演奏する、鑑賞する、カラオケなどの「音楽系」
  • 瞑想やヨガ、早足散歩などの「呼吸系」
  • 日記や手紙を書く「筆記系」


ちょっとした空き時間に散歩をしてコーヒーを飲みに行く、通勤時間に好きな音楽を聴くなど、自分に合った気晴らしを日常的に行うことで「ストレス状態から回復できるという自分への信頼」が育ち、レジリエンスが高まっていきます。

 
 

◆企業はラインケアで人間関係をサポート


レジリエンスの研究では、精神的な落ち込みからの立ち直りが早い人ほど、周りに心の支えとなる人の存在があるといわれています。従業員が社内で相談できる相手が持てるよう、企業側がサポートできると従業員のレジリエンスは高まりやすくなるでしょう。
 
社内で相談ができる相手としては、同僚や上司、先輩、後輩などどんな関係でも構いませんが、通常の業務時間内でコミュニケーションを取れる相手は自ずと限られてしまいます。
 
そのため、たとえば、業務の合間に15分ほど「おやつタイム」を設けて、部署を超えて顔を合わせる機会を作ったり、ランチ会を開いたりするなど、アイデア次第では低コストでラインケアを行うことができます。

 
 

◆セルフケアとラインケアを両輪で行う


セルフケアとラインケアは、従業員自身で行う「セルフケア」を習慣化するとともに、企業側が提供する「ラインケア」を並行して行っていきましょう。
 
リモートワークが増えているなか、人が対面で集まるのは難しい側面もありますが、対面ならではの空気感や、微妙な表情の動きなどの非言語情報により、他者との関係性が深まりやすいといわれています。
 
新型コロナ感染症対策を万全にした上で、人数を絞るなどして、対面での交流の場を設けるのも、社内での従業員同士のつながりを強化する方法といえます。
 
やむを得ず対面で集えないときは、短時間でもリモートで少人数で顔を合わせるなど、意識的にコミュニケーションの時間を取るほうがよいでしょう。

 
 
 

<取材先>
ポジティブ サイコロジー スクール代表・久世浩司さん
慶應義塾大学卒業後、P&Gに入社。在職中にレジリエンスについて学び、その後、社会人向けスクールを設立。主にレジリエンスを活用した企業人材の育成に従事する。レジリエンス研修は、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられた。主な著書に『「レジリエンス」の鍛え方』(実業之日本社)など多数。
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan+ 南澤悠佳 + ノオト

 
Indeedが人材募集を サポート スタートガイドのダウンロードはこちら 

準備はできましたか? 求人を掲載

*ここに掲載されている内容は、情報提供のみを目的としています。Indeed は就職斡旋業者でも法的アドバイスを提供する企業でもありません。Indeed は、求人内容に関する一切の責任を負わず、また、ここに掲載されている情報は求人広告のパフォーマンスを保証するものでもありません。