リクルートサイトで応募者が3倍に 採用に強い建設会社の取り組みとは


建設業界ではここ数年、人材不足の状況が続いています。そんななか、順調に入社希望者を集めている建設会社がありました。いったいどのような施策を打っているのでしょうか。
 
自社に適した人材を採用する取り組みや応募数を増やす求人の出し方、選ばれる会社のアピール方法について専門家にお聞きしました。建設会社の採用を支援する株式会社船井総合研究所 HR支援本部のシニア経営コンサルタント・宮花宙希さんと植松拓海さんが解説します。

 
 

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NPO法人と連携し、外国人労働者を受け入れ


――まず、建設業界における人手不足の実態からお伺いします。建設業の有効求人倍率は、どれくらいでしょうか。
 
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」によると、建設業の有効求人倍率は6.61倍(2019年12月)となっており、ここ数年は上昇し続けています。ただ近年は、大手ゼネコンを中心に、「誰でも採用する」というより、今後を見据えて人材の質を重要視する傾向が見られます。
 
――人手不足が続くなか、うまく人材を採用している建設会社もあるようです。どのような施策を打っているのでしょうか?
 
採用する層を広げる、とくに外国人を雇用することで人材不足を解消している会社が増えています。ただ、言語や文化の違いがあるので、意思疎通の面を考慮して慎重に採用しなければなりません。
 
また、多くの外国人は3~5年で出身国に戻ってしまいます。10~20年のスパンでは働いてくれないと理解しながら採用しているのが実情です。
 
――なぜ3~5年で帰ってしまうのでしょうか?
 
国は労働力不足を補うため、2019年に新たな外国人在留資格として「特定技能」を新設しました。特定技能には1号と2号があり、1号は在留できる期間が最長5年となっています。2号は期間の上限はありませんが、熟練した技能が必要となるため、外国人労働者にとってはハードルが高い資格なのです。
 
――期間に制限があるため、長く働くことができないのですね。外国人労働者を採用する場合は、どのような手法をとればよいのでしょうか?
 
カンボジアやベトナムなど東南アジアでは、現地のNPO法人が日本への留学希望者を集め、教育プログラムを組んでいます。建設会社はNPO法人とやり取りしながら、集団面接を実施して欲しい人材を斡旋してもらう形となります。
 
建設会社と労働者の間にNPO法人や斡旋会社が入り、人材紹介をしてもらう。そういうルートをうまく活用している会社は、スムーズに外国人労働者を受け入れることができています。

 
 

先輩社員が出演する動画コンテンツで訴求力アップ


――外国人労働者の受け入れが増える一方で、国内での採用活動がうまくいっていない会社は多いようです。応募者を増やすための求人の出し方や、企業のアピール方法について教えてください。
 
まずは、Webの求人媒体を有効的に活用することをおすすめしています。ただ、既存の求人媒体だけでは不十分でしょう。求職者が転職を決める条件は、入社後すぐ職場に馴染めるかどうか。うまくマッチングさせるためには、給与面や仕事内容についてきちんと訴求できるリクルートサイトを作る必要があります。
 
――リクルートサイトでは、具体的にどのようなコンテンツを掲載すればいいのでしょうか。
 
採用したいターゲットが何を求めているのか、逆算して考える必要があります。たとえば、ある建設会社のリクルートサイトでは、「経験者向け」と「未経験者向け」のページを分けて情報を出すことで、応募者の数が増えています。
 
――経験者向けと未経験者向けのコンテンツは、どう違うのでしょうか?
 
経験者が前職を辞める経緯や転職する理由として挙げられるのは、おおむね人間関係や年間休日(特に勤務時間)、給与です。したがって、「うちでは休日・給与を増やすために、こんな働き方改革を行っていますよ」と発信したり、人間関係や社風を透明性のある形でPRしたり、キャリアアップをしたい方向けのカリキュラムをアピールしたりすると良いでしょう。
 
未経験者向けの例では、「業界の知識がなくてもキャリアアップできました」と話す先輩社員のインタビューを掲載している建設会社がありました。異業種から活躍している社員のリアルな声を届けることが、求職者にとって有益なコンテンツとなります。
 
――自社のリクルートサイトを充実させることで、応募者が増えるのですね。
 
ほとんどの中小企業では、採用に特化したWebサイトを用意していません。仕事を探している側からすると、欲しい情報が極端に少ないのです。逆に、自社でリクルートサイトを作って「こんな研修プログラムを用意しているので、未経験でも安心です」とアピールすれば、他社との差別化を図れます。実際に働いている社員の写真を載せれば、会社の雰囲気が伝わりやすくなるでしょう。最近では社員が出演する動画コンテンツを制作し、サイトにアップしている建設会社も増えています。
 
我々がサポートしている群馬県の建設会社では、専用のリクルートサイトを制作したところ、5カ月間で40件の応募がありました。ハローワークや求人ポータルサイトでの応募は月2、3件程度なので、約3倍の効果が出ています。

建設業で働く社員のイメージ
 
 

採用活動とともに、福利厚生や教育プログラムなど制度を見直す


――自社でリクルートサイトを制作する以外に、取り組むべきことはありますか?
 
採用したいターゲットを見定めながら競合調査したり、自社の制度をリニューアルしたり、やるべきことはたくさんあります。
 
もし経験者がほしいのであれば、「いまゼネコンで働いているけれど、勤務時間が長く疲弊している人」がターゲットとなり得ます。その場合は、休日・休暇制度を整えてアピールするとよいでしょう。未経験者が対象であれば、社労士さんと一緒に教育プログラムを作ったり、評価制度を作成したりする必要があります。
 
ほかにも福利厚生制度など、応募者側のメリットがあれば強みとなるでしょう。採用した後を含めた全体設計をきちんとできるかどうかが、応募者獲得のカギとなります。
 
――単に採用を考えるだけでは不十分ということですね。
 
自社の強みや競合他社との差別化ポイントなど、マーケティング的な視点を持つことが重要です。求職者をお客様と捉えると、欲しい情報が届かなければ意味がありません。リクルートサイトでのコンテンツを充実させたり、Webの求人媒体を活用したりすると同時に、応募者が求めている労働環境を整備していきましょう。
 
――労働環境というと、給与や休日の日数、福利厚生が思い浮かびます。ほかに応募者がほしい情報とは?
 
建設業は分業されているため、人と関わる業務が多くなります。営業、施工管理、設計、職人さん等々、さまざまな担当者とコミュニケーションを取らなければいけません。そのため求職者は、どんな人が働いているのかを非常に気にしています。事実、リクルートサイトの中でもスタッフ紹介ページはアクセス数がかなり高くなります。応募者の不安や疑問に応えるべく、社員が出演する動画などで意識的に情報を発信している会社は、採用が順調に進んでいるようです。
 
もはや、ハローワークや新聞の折り込みチラシだけで応募が来る時代ではありません。どんな会社なのか、働く人にとってどんなメリットがあるのか、こういった情報を企業側から積極的に情報発信しなければ、応募者は増えないでしょう。自社の事業案内サイトと同じように、リクルートサイトも定期的なコンテンツの刷新と継続的なアップデートを繰り返すことが必要だと考えています。

 
 
 

※この記事は2020年3月16日に取材したものです。
 
<取材先>
株式会社船井総合研究所 HR支援本部
HRD支援部 シニア経営コンサルタント
宮花宙希さん、植松拓海さん
 
船井総合研究所/人材開発コンサルティング ホームページ

https://hrd.funaisoken.co.jp/

参考文献:
厚生労働省『職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート)』

https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/201912-G35.pdf

TEXT:村中貴士
EDITING:Indeed Japan + ノオト
 

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