トライアル雇用とは?試用期間や研修期間との違い


企業は労働者を3カ月間試用する「トライアル雇用」を導入し、一定の条件を満たせば、国から「トライアル雇用助成金」が支給されます。トライアル雇用の概要や助成金の種類について、特定社会保険労務士でキャリアコンサルタントの岡佳伸さんに伺いました。

 
 

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トライアル雇用とは


「トライアル雇用」とは、働いた経験が少ないことから、期間の定めのない「常用雇用」での就職に不安のある人が原則3カ月間企業で働く制度です。常用雇用への移行を前提として行われ、企業は3カ月間で仕事への適性を見極めて正式に採用するかどうかを判断します。

 
 

トライアル雇用の背景と目的


トライアル雇用は、様々な事情で就業経験のない人や就労経験にブランクのある人を対象に、雇用機会の救済措置として設けられました。

 
 

◆トライアル雇用(一般トライアルコース)の対象者

 

  • 紹介日(ハローワークが職業紹介をした日。以下同様)の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している人
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている人
  • 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人
  • 紹介日時点でニートやフリーターなどで45歳未満の人
  • 紹介日時点で就職の援助を行うにあたり、特別な配慮が必要な人 
    例)生活保護受給者、母子家庭の母、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留法人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者

 
 

研修期間や試用期間との違い


トライアル雇用と間違えやすいものに、「研修期間」と「試用期間」があります。それぞれの違いを確認します。
 
・研修期間
採用後に仕事の基礎を学ぶための期間です。
 
・試用期間
3カ月などの区切りはなく、正社員として採用された後に設けられる期間です。試用期間といっても懲戒解雇にあたる理由がない限り、企業はすぐに労働者を解雇できません。試用期間が15日以上経過した後に解雇する場合は、30日前の解雇予告または30日分の解雇予告手当を労働者に支払う必要があります。

 
 

トライアル雇用を導入する企業のメリット、デメリット


企業がトライアル雇用を導入する際のメリットとデメリットをまとめました。

 
 

◆トライアル雇用導入のメリット


・”雇用のミスマッチ”を防げる
3カ月間のトライアル雇用期間に仕事への適性などを見極められるため、面接や書類選考のみの採用に比べて雇用のミスマッチを回避できます。
 
・不採用時のトラブルを避けられる
トライアル雇用を導入する企業に本採用の義務はありません。企業と労働者の双方が納得したうえで雇用するため、不採用時のトラブルなどを避けられます。
 
・国から助成金を受給できる
一定の条件を満たせば、「トライアル雇用助成金」を受給できます。

 
 

◆トライアル雇用導入のデメリット


・書類選考が行われない
履歴書や職務経歴書による書類選考は行えないため、面接で採用を判断する必要があります。
 
・人材育成の時間やコストがかかる
 
・一度のトライアル雇用につき紹介される求職者は一人
ハローワークなどから紹介される求職者は一名のため、多くの求職者から採用者を選ぶことはできません。

 
 

トライアル雇用助成金の種類


トライアル雇用助成金は、以下の6種類に分けられます。
 
・一般トライアルコース
一般的なトライアル雇用のコースです。対象者一人あたり月額最大4万円が最長3カ月間支給されます。対象者が母子家庭の母または父子家庭の父の場合は、一人あたり月額5万円となります。
 
・障害者トライアルコース/障害者短時間トライアルコース
障害者に対してトライアル雇用を行う事業主を支援するものです。
 
障害者トライアルコースの支給対象額は、対象者一人あたり月額4万円(精神障害者の場合、雇用から3カ月間は月額8万円)です。
 
障害者短時間トライアルコースは、対象者一人あたり月額最大4万円です。
 
・新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース/新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース
新型コロナウイルス感染症の影響で離職を余儀なくされた人を対象としたコースです。支給条件は、離職期間が3カ月以上で就労経験のない職業を希望する求職者とその事業主を対象としています。
 
支給額は、新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースは一人あたり月額最大4万円、新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースは一人あたり月額最大2万5000円です。
 
・若年・女性建設労働者トライアルコース
35歳未満の若年層または女性の建設労働者の入職や促進を目的として設けられたコースです。若年者または女性を建設技能労働者などで一定期間雇用し、トライアル雇用助成金を受給した中小企業の事業主に支給されます。支給額は、対象者一人あたり月額4万円です。
 
支給額は労働者の勤務日数によって変動します。支給対象事業主などの細かい条件に関しては、管轄のハローワークなどに確認しましょう。

 
 

トライアル雇用期間変更の特例措置


新型コロナウイルス感染症の影響で休業した場合は、以下の条件を満たすと休業した分の日数をトライアル雇用終了予定日の翌日以降に追加できます。

 

  • トライアル期間が2020年4月1日〜2021年6月30日の間に含まれていること
  • 上記期間中に新型コロナウイルス感染症の影響でトライアル雇用対象者を休業させたこと
  • 休業により、対象者の適性の見極めが難しくなったこと
  • トライアル雇用期間の変更について、対象者との間に合意があること


申請の際には、「トライアル雇用実施計画書変更届(新型コロナ特例)」をハローワークなどに提出します。

 

トライアル雇用期間(3カ月)の変更例 1カ月め 間に休業期間あり 2カ月め 間に休業期間あり 3カ月め 間に休業期間なし 条件を満たすと、休業した分の日数をトライアル雇用終了予定日の翌日以降に追加できます厚生労働省の資料をもとに編集部が作成

 
 

トライアル雇用の導入手順


トライアル雇用を導入する際の手順を確認します。いずれのコースも基本的な流れは変わらないため、「一般トライアルコース」の手続きを紹介します。

 
 

◆一般トライアルコースの手続き

 

  1. 企業側がトライアル雇用の求人を出す。
  2. 求人を見た求職者が内容に同意して応募する。
  3. 求職者への採用面接を行う。
  4. 採用決定後、トライアル雇用実施計画書を作成して、ハローワークなどに提出する。
  5. トライアル雇用終了。本採用に移行するかどうかを企業が判断する。
  6. トライアル雇用終了日の翌日から2カ月以内に、管轄のハローワークまたは労働局にトライアル雇用助成金支給申請書を提出する。

 
 

求人の際の注意点


求職者のなかには、病気や家庭の事情などを抱えた人もいます。一人親世帯であれば就業時間を考慮する、就業経験のない人であればビジネスマナーを教えるところから始めるなどの配慮を必要とする可能性もあります。
 
しかし、求職者のプライバシーに関することのため、本人の承諾なしに社内に周知するのは禁物です。採用時に「◯◯さんが安心して働けるために会社で配慮が必要なことはありますか?」のように求職者に寄り添った形で確認するといいでしょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年6月時点のものです。
 
<取材先>
特定社会保険労務士 キャリアコンサルタント 岡佳伸さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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