労働生産性の低下から注目される「プレゼンティーズム」とは

頭をおさえる女性のイメージ


心身の不調で仕事におけるパフォーマンスが上がらない状態を指す「プレゼンティーズム」。予防や解消のために、企業はどのようなことに取り組めばいいのでしょうか。産業保健サービスを提供するエムステージ取締役の歌代敦さんに解説していただきました。

 
 

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プレゼンティーズムとは


プレゼンティーズムとは、心身の不調でパフォーマンスに影響が生じる状態を指します。この状態に該当すれば、不調の内容や期間に関わらず、プレゼンティーズムとみなされます。
例)

  • 頭痛がひどくて業務に集中できない
  • メンタルの不調で仕事への意欲がわかない など

 
 

◆アブセンティーズムとは


プレゼンティーズムと並列で語られやすい言葉に「アブセンティーズム」があります。心身の不調による欠勤や休職を意味するもので、プレゼンティーズムの状態が長期化するとアブセンティーズムを招くと考えられています。

 
 

プレゼンティーズムをどのように測るのか

 
 

◆プレゼンティーズムを測るメリット


従業員がプレゼンティーズムの状態にあることを企業が早めに把握できると、様々な疾病予防や休職、離職の回避につながります。

 
 

◆プレゼンティーズムの測定方法


プレゼンティーズムを測る方法として、たとえば下記の5つがあります。

 

・WHO-HPQ


「WHO 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙」を使用し、3 つの設問で測定する。

 

・東大1項目版


プレゼンティーズムの意味を反映した「病気やケガがないときに発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事を評価してください」という設問に、0%から100%の中から回答する。

 

・WLQ


25 問の設問から測定する。「時間管理」「身体活動」「集中力・対人関係」「仕事の結果」で構成されている。回答は、体調不良によって職務が遂行できなかった時間の割合や頻度を、「常に支障があった」~「まったく支障はなかった」の5段階、および「私の仕事にはあてはまらない」から選択する。

 

・WFun


産業医科大学で開発された方法で、7つの設問の合計得点7点〜35点から測定する。点数が高い方が労働機能障害の程度が大きいと判断される。

 

・QQmethod


最初に、健康問題に関する何らかの症状を確認する。「症状がある」場合は、さらに4つの質問に回答する。
 
出典:経済産業省「企業の『健康経営ガイドブック〜連携・協働による健康づくりのススメ〜(改訂第1版)

 
 

◆プレゼンティーズムの損失割合と労働生産損失割合の算出方法

 

  1. プレゼンティーズムの損失割合の算出方法:「100%−プレゼンティーズム(%)」
  2. 労働生産損失割合の算出方法:「プレゼンティーズム損失割合(%)×賃金(円)」


例)「東大1項目版」で測定した場合
「東大1項目版」の日本人の平均は84.9%といわれています。今回は計算の便宜上、この平均値を使います。
 
・プレゼンティーズムの損失割合
100%−84.9%=15.1%
 
・労働生産損失割合
15.1(%)×賃金(円)
 
設問数や回答方法は、評価ツールによって異なります。「回答者となる従業員の負担を考慮して設問数の少ない方法を選ぶ」など、自社にとって導入しやすいものを選ぶといいでしょう。

 
 

プレゼンティーズムと労働生産性低下の関係

 
 

◆プレゼンティーズムがはらむ問題


プレゼンティーズムが解消されない=不調を放置したままの状態になるため、疾病の重症化や労働災害の発生などにつながる可能性があります。

 
 

◆プレゼンティーズムと労働性低下の関係


プレゼンティーズムと労働生産性低下は、一人の従業員だけに当てはまるものではありません。たとえば、従業員の一人が頭痛や花粉症など、休むほどではないけど集中力が欠けている状態(プレゼンティーズム)にある場合、下記のようなことが起こります。

 

  1. 従業員の心身の不調による集中力や仕事の質の低下(プレゼンティーズム)
  2. 1を補うために残業をしたり、ほかの従業員がフォローしたりする
  3. 当初より、時間や人手が多くかかってしまう(=生産性の低下)

 
 

予防法と解消法


プレゼンティーズムは、身体面の不調やメンタル不調など様々な要因によって生じます。そのため、予防や解消法にも多角的な取り組みが必要です。

 
 

◆基本的な内容を見直す


ほかの施策を実施する前に、法令の遵守や労務管理など、企業として当たり前のことができているかを見直す必要があります。具体的には、下記の方法が挙げられます。

 
 

◆定期健康診断の実施および二次検査の受診勧奨


<従業員が50人以上の事業所の場合>

  • 産業医による職場重視や衛生委員会実施による職場全体の安全衛生の推進
  • 年に1回義務付けられている「ストレスチェック」の実施
  • ストレスチェックや、結果を反映した職場環境改善への取り組み、業務プロセス改善を伴う残業削減などの過重労働対策 など


上記の健康施策について、従業員がその意義を認めた上で参加、または協力するよう働きかけることも重要です。

 
 

健康経営(※1)の方針を発信する


健康に関するリテラシー向上を目的に、イントラネットや会社のホームページなどを活用してトップが従業員にメッセージを発信します。一度メッセージを出して終わりでなく、定期的な発信が重要です。
 
また、緊張感を持って健康経営に取り組むために、外部に向けた「健康経営宣言」として広報発表をする企業もあります。
 
※1 従業員の健康保持や促進のための施策を将来的な収益をもたらす投資ととらえ、経営的な視点から戦略的に取り組むこと

 
 

◆コミュニケーションの円滑化をはかる


企業内で異なる部署や職種の人たちが話す機会をつくれるよう、下記の方法を行う企業もあります。

 

  • オンラインツールで雑談ルームを設ける
  • オフィス設計の見直し(フリーアドレスの導入、共有スペースの設置)など

 
 

◆勤務中に体を動かす仕組みを導入する


座りっぱなしによる運動不足の解消などを目的として、下記を実践する企業もあります。

 

  • 職場でのラジオ体操の実施
  • 一定時間にチャイムを鳴らし、立ち上がるシステムを導入する(座りっぱなしの状態を回避する)
  • 健康器具の設置 など

 
 

◆効果測定をする


プレゼンティーイズムの予防法・解消法の一つに、生活習慣病やメンタルヘルス不調の対策があります。たとえば、健康診断で食生活の指導を受けた従業員の割合や、二次検診の受診率などの数値をプレゼンティーイズムの数値の変化と照らし合わせるなどして評価します。また、その内容を社内に共有することも大切です。
 
プレゼンティーズムを予防・解消するような施策の導入は、生産性を維持できるなど企業としてのメリットにつながります。持続可能な取り組みをしながら、健康経営を目指すことが望ましいです。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2022年2月時点のものです。
 
<取材先>
株式会社エムステージ 取締役 歌代敦さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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