「262の法則」「パレートの法則」で心がラクになる【人間関係や仕事の成績で悩むあなたへ】

更新:2022年10月27日

同僚とコミュニケーションを取っているイメージ画像

「262の法則」とは、どんな組織でも「上位層2割:中間層6割:下位層2割」に分かれるという法則です。「社内評価が低いときどうすべきか」「人に嫌われるのはなぜか」という悩みにも答えを与えてくれます。

今回は262の法則をわかりやすく解説しますので、職場や学校で成績・人間関係に悩んだ際に読んでみてください。

そもそも「262の法則」とは?

「262の法則」とは、どんな内容なのでしょうか。もとになったとされる「パレートの法則」と併せて解説します。

262の法則とは?

262の法則とは、どんな組織でも「上位層2割:中間層6割:下位層2割」に分かれるという法則です。特定の提唱者が確認されていないことから、さまざまな業界・組織のなかで導き出されてきた経験則と考えられています。

ちなみに別名「働きアリの法則」とも呼ばれ、以下のように働きアリの性質になぞらえて説明されることもあります。

アリの巣の中では「2割」の働きアリがよく働いて食料を集め、「6割」は平凡な働きで、「2割」はサボっている

サボっている2割のアリを排除しても、再び「2:6:2」の割合に戻り、2割のアリがサボり始める

人間界では、会社や職場などの組織構成も「262の法則」で説明されることがあります。たとえば、どんな会社でも、「成果の高い人材2割:平均的な人材6割:成果の低い人材2割」に分類されると言われています。

パレートの法則とは?

「パレートの法則」は、経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱され、262の法則のもとになった学説と言われます。

「全体の大部分(8割)は一部分(2割)から生み出されている」という内容で、「20:80の法則」とも呼ばれる学説です。以下のように経済や組織構成など、さまざまな状況に当てはまると言われています。

世の中にある資本の8割は、2割の富裕層が所有している

会社の売り上げの8割は、2割の社員から生み出されている

あるWebサイトでは、8割のアクセス数が2割のページに集中している

人材育成における「262の法則」

ここでは、「262の法則」を人材育成に応用したときの解釈を紹介します。「職場で成果が出ず悩んでいる」という際に、ぜひ読んでみてください。

組織が変われば、自分の立場も変わる

「262の法則」を会社の組織構成に当てはめれば、成果の低い社員が必ず2割生まれることになります。ですが、「下位層2割」というのは、あくまで“ある組織内”におけるポジションにすぎません。組織が変われば、その人材が同じように下位層になるとは言い切れないのです。

実際、ある企業では下位層2割だけで新しい営業組織を作ったところ、全社でのトップセールスが生まれたという例もありました。組織内でのポジションは絶対的なものではなく、相対的だと言えます。だからこそ、組織内の評価や成績に対して、過度に悩まないことも大切なのです。

自分の長所を生かして「上位層2割」へ

もし今の職場で評価が低いことに悩んでいるのなら、別の場所へ移ってみるのもひとつの選択肢です。

自分に向いている仕事・長所を生かせる仕事であれば、「上位層2割」の評価を受けられる可能性もあります。

たとえば、人事に部署異動やチーム変更をお願いしたり、異業界・別職種へ転職したりするのも解決策と言えるでしょう。

人間関係における「262の法則」

ここでは、「262の法則」を人間関係に応用したときの解釈を紹介します。「職場や学校での人間関係に悩んでいる」という際に、ぜひ読んでみてください。

「嫌われる」のは、仕方ない?

「職場・学校で嫌われたらどうしよう」という不安を抱えている人もいるかもしれません。

しかし、「262の法則」によれば、どんな組織にでも自分に対して「好意的な人2割・どちらでもない人6割・好意的ではない人2割」がいることになります。

つまり、どんな組織でどう行動しても、2割の人からは嫌われる可能性があるということです。それは、価値観だったり、過去の経験だったりが影響します。

好意的ではない“2割”を気にするより、自分らしさを大切に

どう気を使っても2割の人に嫌われてしまうのなら、自分の思いを我慢しすぎても仕方がありません。

好意的ではない2割を気にするのではなく、自分の生き方を貫くこともひとつの選択肢でしょう。大切なのは、自分のことを嫌いな2割がいる一方で、何があっても自分を好いてくれる2割の人もいるということです。

「一部の人から嫌われるのは当たり前」「組織には必ず自分の味方もいる」と思って生活することで、心がラクになるかもしれません。

まとめ

「262の法則」を意識することで、心が軽くなることもあります。学校や職場で悩んでしまったときに、思い出してみてはいかがでしょうか。万人に好かれようと無理をする必要はありません。ただ、価値観や考え方が合わないとしても、相手の価値観や考え方を尊重する姿勢は大切にしましょう。


監修
種市摂子
精神科専門医・産業医・合同会社Ridente産業医事務所代表。
香川大学附属病院 脳神経外科・麻酔救急科・国立岩国病院 脳神経外科。
レジデント・スリープクリニック銀座 睡眠外来 院長、早稲田大学 保健センター 専属産業医、東京大学 保健健康推進本部保健センター助教。
和楽会 赤坂クリニック心療内科・神経科、東横会たわらクリニック精神科等を経て、現在合同会社Ridente産業医事務所代表。


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