【等身大の転職ストーリー #1】NPO、公務員、民間企業へと転職し、使命の実現方法を模索

著者Indeed キャリアガイド編集部

投稿:2022年10月23日

Indeed キャリアガイド編集部は、さまざまな分野の知識を持つ才能豊かなライター、研究者、専門家のメンバーで構成されています。Indeed のデータと知見を駆使して、あなたのキャリア形成に役立つ情報をお届けします。

シンクタンクで働く女性のイメージ

柔軟な働き方の浸透やジョブ型雇用への移行が進むなか、今や1人1人が働き方やキャリア構築を主体的に考える必要に迫られています。そこで鍵となるのが、自分自身のキャリアの軸です。

その軸の根をたどると、たいていは個人の原体験やシンプルな価値観に行き着きます。別の言い方をすればそれらがキャリアの土台にあるからこそ、柔軟かつ持続的な選択を行えるのかもしれません。

この「等身大のキャリアストーリー」では、実際にキャリアを主体的に築く人が持つ軸とその背景を掘り下げます。今回は、NPOから地方公務員、さらには大手民間シンクタンクに異例の転職を遂げた竹田春香さん(仮名)のストーリーです。

竹田春香さんのキャリア

関西の大学を卒業後、新卒で四国の山奥にある環境系NPOに4年間勤めたのち、大学院で修士号を取得。その後関東の自治体で環境問題担当として2年間勤務後、東京の大手民間シンクタンクに転職。現在は行政などに環境政策の提言を行う。

無駄のない社会を追求する原点は「買い物好き」な一面

竹田さんのキャリアを貫くのは、「無駄のない社会を実現する」という使命です。その根っこには意外にも、自身の「買い物好き」な一面がありました。

その使命が生まれたのは大学時代です。産業廃棄物に苦しむ地域でのフィールドワークで住民と話したときに、「この問題はごみを出す1人1人の問題。つまりあなたにも責任がある」と言われたのをきっかけに、竹田さんのなかに環境問題にかかわらなくてはという気持ちが芽生えたといいます。

「それまではどこか他人事として捉えていたのですが、この経験で『ものを手に入れたい』という人間の欲望が環境に与える影響を実感し、自分の行動と環境問題が結びついたんです」。こうして竹田さんは、現場での活動にのめり込むようになりました。

モチベーションはお金ではなく、自分が「良い」と思う気持ち

フィールドワークを通して、大学卒業後は自ら現場で手応えを感じながら環境問題に取り組みたいと考えた竹田さん。そうして飛び込んだのが、四国の山奥にあるNPOです。

給与などの条件面はいっさい考慮せず、縁もゆかりもない山奥に単身移住。その原動力は、「自分が良いと思うことなら頑張れる」というシンプルな理屈でした。

「そもそもお金を稼ぎたい欲がなく、学生時代もアルバイトを続けられませんでした。買い物は好きですが、それも手の届く範囲での話。自分が良いと思うものに対してのめり込みますが、そうじゃないことは条件が良くても頑張れません」。こう言い切る竹田さんの姿勢は、それから20年経った今でもぶれません。

本来の自分を抑え込んだ働き方は持続的とは言えない

しかし新卒で飛び込んだNPO生活では、理想の実現を追い求めるあまり、買い物好きな一面や都会暮らしを便利に感じる気持ちを封印。そんな日々に徐々に息苦しさを感じるようになったといいます。

「そんなプレッシャーすら、使命の追求には必要だと思っていました。けれどある日、自分が育ったのとはかけ離れた環境で、本来の自分に蓋をして理想の追求に身を捧げても幸せではないと気づいたんです」。こうして竹田さんは、ついにその町を離れました。

次の職として就いたのは、関東にある自治体の環境担当です。そこでは環境施策を実行するなか、住民の意識が変わっていく場面に立ち会うのに手応えを感じる場面が多かったといいます。それと同時に、NPO時代には見えていなかった行政の現実も見えるようになり、竹田さんの視野はぐっと広がりました。

仕事にやりがいを感じると同時に、ほどよい都会の生活環境も竹田さんに合っていました。こうしてようやく理想の追求と自分らしい生活のバランスが取れてきたと思った矢先、議会によって活動予算が凍結される事態に陥ります。

思うように活動できない日々が続くなか、改めてキャリアについて考えたときに湧き上がったのは、もっと大きな規模で環境問題に取り組みたいという意欲でした。こうして竹田さんは、さらに上流の仕事を手掛けるシンクタンクに移る決断をしたのです。

上流に移って気づいた「現場が好き」という原点

都心のシンクタンクに転職後は世界各国を飛び回り、各地の環境政策をリサーチして行政に提案するようになりました。お金を稼ぎたいという野心を抱いたことがないのにもかかわらず、結果的に収入は倍増したそうです。

こうして充実した日々を送る竹田さんですが、直に手応えを感じられる仕事をしたい気持ちも膨らみつつあるといいます。そもそもシンクタンクの研究員ができるのは提言までであり、それを実行するかどうかまでは関与できません。そこにもの足りなさを感じる竹田さんの原点は、変わらず現場にあるのでしょう。

「改めて私は現場が好きなんだなと思います。目の前で人々の意識が変わる瞬間に立ち会い、手応えを感じながら問題解決に取り組みたいという思いは、キャリアのスタート時点から変わっていないと気づきました」。

無駄のない社会を実現する使命を一貫して追求してきた竹田さん。試行錯誤しながらも自分なりの実現方法を1つずつ見つけてきた今だからこそ、次に進む道も柔軟に考えられるのかもしれません。


関連記事

公務員に向く人、向かない人

こちらの記事もおすすめです