【大企業のビジネスパーソン必見】イノベーションのジレンマとは?解決策も紹介
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年5月25日
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市場で一定のシェアを獲得した企業ほど陥る危険性が高いのが「イノベーションのジレンマ」です。イノベーションのジレンマに陥ると、ビジネスの流れに乗れず、事業に大打撃を受ける可能性があります。
本記事ではイノベーションのジレンマという言葉の意味や起こる原因、克服方法を具体例を交えながら解説します。勤めている企業が当てはまらないか参考にしてください。
イノベーションのジレンマとは?具体的な事例も紹介
イノベーションのジレンマは、1997年にハーバードビジネススクールのクリステンセン教授によって提唱されました。現在でも多くのビジネスパーソンの参考となる経営理論であり、特に大企業に勤めている人にとっては学習の価値があるでしょう。
イノベーションのジレンマとは
「イノベーションのジレンマ」とは、特定の業界で一定のシェアを確立した企業が、時代の変化に対応できずに売り上げを低迷させたり、新興企業に敗北したりする状態を指します。
イノベーションには2つの種類があります。既存商品の改善が「持続的イノベーション」であるのに対し、それまでの市場価値やスタイルを一変させるような斬新な商品や技術の創出が「破壊的イノベーション」です。
一定のシェアを確立した企業は、すでに市場で評価されている既存商品や技術を改善する持続的イノベーションに注力する傾向があるため、新たなニーズの発見が遅れてしまうことがあります。
そこへある企業が新しい発想の技術や商品を出すことにより破壊的イノベーションを起こすと、市場価値が一変します。すると、取り組んでいた既存商品自体の価値の低下や売り上げの低迷につながり、結果的にイノベーションのジレンマに陥ります。
これまでもイノベーションのジレンマに陥った例は数多く見られました。
イノベーションのジレンマの事例
イノベーションのジレンマの代表的な事例として、デジタルカメラとスマートフォンが挙げられます。
デジタルカメラはフィルムカメラの時代から商品の改良が行われ、デジタル一眼レフカメラなどの高性能な商品も登場しました。しかし、2000年代後半からスマートフォンが普及し始めます。スマートフォン内蔵カメラの性能は年を追うごとに向上し、デジタルカメラと遜色のない写真を撮れるようになったため、わざわざデジタルカメラを持ち歩く必要がなくなり、需要は低下しました。
また、テレビ業界と動画配信サービスも代表的なイノベーションのジレンマの1つです。
1950年代から普及したテレビは、人々の生活に欠かせないものでした。しかし、インターネットの普及により、動画配信サービスが急速に伸びました。良質なコンテンツが次々と配信されたため、テレビ視聴に割いていた時間が奪われたことに加え、スマートフォンから手軽に視聴できることもあり、現在では家にテレビがない若者も少なくありません。近年は、民放のテレビ局もインターネットでの動画配信に力を入れる動きを見せていますが、参入が遅かったのは間違いないでしょう。
イノベーションのジレンマはなぜ起こるのか?
イノベーションのジレンマが起こる主な原因は、3つあります。
既存の商品や技術に依存してしまう
市場で一定のシェアを獲得した企業は、現在の技術の延長で改善を続け、市場を拡大しようと考えます。この流れは、既存の顧客や目先の利益があがれば、配当などの恩恵を受けられる株主が望むことではありますが、新たな技術への対応はおろそかになりがちです。
顧客のニーズは常に変化するため、スマートフォンや動画配信サービスのように、新たな技術が市場を席巻すれば既存の人気商品もシェアを失う可能性があります。既存の商品や技術に過度に依存するのは危険な状態です。
顧客のニーズを考えずに必要以上の商品改良を行う
顧客満足度は、商品や技術の改良をすればするほどあがるというわけではなく、一定の水準まで達すると高止まりする傾向があります。
代表例としては、市場の需要が高くない水素自動車の商品改良に資金や人的資本を必要以上に投資するケースが考えられます。
商品や技術の価値は顧客のニーズによって決められることを忘れてしまうと、イノベーションのジレンマに陥る可能性は高まるでしょう。
新たな技術や市場に目を向けない
革新的な商品や技術は、登場した当初は市場規模や得られる利益が小さい場合が多いです。既存市場で高い利益を得られている企業からすると、新しい市場は魅力的に思えないため、参入しないほうがよいと判断してしまうことも少なくありません。
その結果、参入に遅れてしまい新たな市場でシェアを獲得できずに、自社の商品が新しい技術に取って代わられるケースは十分に考えられます。
イノベーションのジレンマを克服する方法
イノベーションのジレンマを克服するには、新たな市場や技術に対して、オープンな姿勢で受け入れるのが重要です。そのうえで、企業の組織を変化させたり、長期的な視野で事業に取り組む必要があります。
小さな組織を作り、小さく挑戦する環境を整える
破壊的イノベーションが起こる可能性のある市場は、はじめは規模が小さいため、意思決定や行動のスピードが速い少人数の組織で商品開発や事業展開を行うのが適しています。市場に出回っていない商品を世に出す場合は失敗する可能性も高いですが、小さな組織であればリスクを抑えやすいでしょう。
このポイントを押さえて、イノベーションのジレンマの克服に取り組んでいる代表的な企業が、株式会社みずほフィナンシャルグループです。
株式会社みずほフィナンシャルグループでは、新規事業創出を目的にしている合弁会社を設立しています。イノベーションのジレンマ克服に挑戦するスタイルは革新的で、今後多くの企業の模範になるかもしれません。
目先の利益にとらわれない長期的な視野で新規事業にチャレンジする
新規事業に挑戦するにあたって重要なのが、社員の評価です。新規事業に取り組む社員は、すでに利益が出ている既存事業の社員と比較すると結果が出にくく、評価が反映されにくいです。
評価されないと社員のモチベーションが低下し、新規事業を断念してしまう事態にもなりかねないので、短期的な利益ではなく長期的な成果を見据えた評価制度が必要となります。
まとめ
イノベーションのジレンマは一定のシェアを獲得した企業が陥りやすい課題ですが、近年は新規事業創出を目的に会社を設立するなど対策を講じる企業が増えています。
既存事業のみ行う現状に危機感がある方は、時代の流れやニーズの変化を先読みして新規事業に取り組む組織を作ったり、新規事業のための予算確保を行ったりするなどの対策をして、新たな取り組みのための行動を起こしてみましょう。
積極的に新規事業に取り組むことで、数年後に勤めている企業の価値が大きく変わる可能性があります。
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