DISC性格診断による12の性格タイプと適職ガイド

更新:2022年8月26日

どんな性格タイプの人にも、それぞれ長所と短所があり、自分がどのタイプなのかを知っておくことで、仕事でもプライベートでも大きな成果を達成しやすくなります。従業員の性格に合わせた業務や職務を割り当てるための手段として、各企業で広く採用されているのがDISC性格診断です。この「DISC」とは、Dominance(主導型)、Influence(感化型)、Steadiness(安定型)、Conscientiousness(慎重型)の4つの頭文字を並べたものです。この記事では、DISC性格診断の特徴と12種類の性格タイプについて、それぞれのタイプに向いている職種を挙げながら説明します。

DISC性格診断とは

DISC性格診断では、心理学者のウィリアム・ムートン・マーストンが今から100年ほど前に提唱した理論に基づき、人の性格特性を他者との関わり方から診断します。「DISC」はこの性格診断の通称であり、正式な表記の「DiSC」はある企業の登録商標となっています。

DISC性格診断では、特定の場面や状況に対する回答者の反応の仕方、周囲の人への働きかけ方、同僚への対応の仕方を分析します。DISCを活用することで、企業は従業員や採用候補者のコミュニケーションの取り方を把握できます。DISCでは、次の4つの性格特性を利用します。

  • Dominance(主導型):意思決定、権力、自己主張に関する特性

  • Influence(感化型):社交性、コミュニケーションに関する特性

  • Steadiness(安定型):寛容さ、粘り強さ、思いやりの強さに関する特性

  • Conscientiousness(慎重型):規律や緻密さに関する特性

DISC性格診断では、回答者が自分に最も当てはまる単語や文と、自分に最も当てはまらない単語や文を1つずつ選んでいきます。回答はそれぞれ4つの性格特性のいずれかに分類され、4つの扇形が集まった円グラフのような図に記録されます。回答者の行動を4つの特性に分類するので、DISC性格診断は結果を理解しやすいという特徴があります。どんな人であれ、この4つの特性は多少なりとも当てはまるものですが、通常は他より際立っている特性が1つか2つ見られます。

DISC性格診断を実施する企業が多いのは、DISCが回答者の行動パターンを分析するものであり、知性や態度、精神状態や価値観を分析するわけではないからです。DISCの結果を活用すれば、企業は共同作業やコミュニケーションが円滑に進むよう各部署を編成することができます。そしてその結果、ミーティングの生産性や効率がアップする場合もよく見られます。多くの場合、意見の対立が減れば、従業員が職場で感じるストレスも減少します。

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DISC診断の性格特性

DISCの性格特性は4つあり、それぞれ長所が異なりますが、実際の結果には12通りの組み合わせがあり、ほとんどの回答者はその中の1つか2つに当てはまります。12の性格タイプは2つのローマ字で表現され、1文字目は最も強く表れている性格特性を指し、2文字目はその次に強い性格特性を表します。次に、12種類の性格タイプをそれぞれ説明していきます。なお、DISC関連のテストは多くの企業で実施されているため、実際のタイプ名は異なる場合があります。

1. D(主導型)

D(主導型)の特性が強く見られる人は、集中力や発想力に優れており、意思の強さや自立心の高さが特徴です。Dタイプの人は、リスクを恐れずに自分から行動するところがあり、物事の全体像を捉えようとしたり、次にやるべきことを判断したり、日常業務を他の人に任せたりする傾向が見られます。

Dタイプの人はタスク指向が強く、スピード感のある職場を好みます。一方、他のメンバーと協力したり、細部を詰めたり、プランを立てたりすることは苦手な場合があります。問題解決の過程に他のメンバーを参加させるのを忘れてしまうこともあり、Dタイプの人の強引でせっかちな性格は、周囲の人を萎縮させる恐れがあります。

Dタイプの人に向いている仕事

  • 最高経営責任者(CEO)

  • 起業家

  • 弁護士

  • 警察官

  • 株式仲買人

2. DC(主導型+慎重型)

DCタイプの人は、D(主導型)の特性が強く表れていると同時に、C(慎重型)の特性の影響が見られます。そのため、リーダーとして困難に挑み、結果を重視すると同時に、正確さを求める傾向があります。DCタイプは成果を達成しようとする意欲が強く、がんばりすぎてしまうことが多いので、いったん気持ちを落ち着かせて、チームの他のメンバーの言うことに耳を傾けた方が良い場合もあります。DCタイプの人は、短期的な成果に満足しようとするよりも、長期的な影響を検討したり、ある選択によって得られる成果が見えにくい場合にそれを分析したりする方が向いています。

DCタイプの人に向いている仕事

  • 建築士

  • 弁護士

  • オペレーションマネージャー

  • 内科医

  • プロジェクトマネージャー

3. DI(主導型+感化型)

DIタイプの人は、D(主導型)の特性が強く表れていると同時に、I(感化型)の特性の影響が見られます。DIタイプはやる気や行動力に溢れており、常に新しいアイデアを模索しながら、革新的でクリエイティブな発想を職場にもたらすことがよくあります。また、集中力が高く、危機意識や目的意識を持って他のメンバーと協力し、大きな成果を達成する傾向が見られます。

一方、分析力や注意力はあまり高くないので、細かいところに気を遣う仕事には向いていない恐れがあります。DIタイプの人が活躍できるのは、じっくり腰を据えて取り組む仕事よりも、状況の変化に柔軟に対応する仕事です。

DIタイプの人に向いている仕事

  • アートディレクター

  • 投資銀行家

  • ジャーナリスト

  • マーケティングディレクター

  • 講演業

4. I(感化型)

I(感化型)の特性が強く見られる人は、社交的で行動力があると同時に、他の人から褒められたいと思っていることがあります。Iタイプの人は、困難な状況の中でも前向きに考えられるので、職場でのコミュニケーションに長けています。また、外交的な性格のため、社交スキルに優れています。

一方、Iタイプの人は決まりきった作業を続けることが苦手な傾向にあります。そのため、ルールや手順を守ることを重視する仕事では、実力を発揮できない可能性があります。

Iタイプの人は人付き合いが好きで、環境の変化の激しい職場を好みます。また、周囲の人と定期的にコミュニケーションを取りたいと思っており、チームワークや共同作業の機会が多い仕事を希望することがよくあります。

Iタイプの人に向いている仕事

  • クリエイティブディレクター

  • グラフィックデザイナー

  • 広報担当者

  • 不動産会社スタッフ

  • 旅行代理店スタッフ

5. ID(感化型+主導型)

IDタイプの人は、I(感化型)の特性が強く表れていると同時に、D(主導型)の特性の影響が見られます。IDタイプはチームで大きな成果を達成したときに得られる気分や感情を好むと同時に、昇進などの外発的な動機づけを重視します。また、自分の裁量で業務を進められる状況で意欲を発揮し、優れた成果を達成します。IDタイプの人は、在宅勤務や外回り営業のように、オフィスでじっと座っていることが少ない仕事を好みます。自分のチームにIDタイプの人がいる場合、大胆なアイデアや革新的な手法を思いついた際には共有するよう促すことで、日々の業務に積極的に取り組んでもらえる可能性があります。

IDタイプの人に向いている仕事

  • 最高商務責任者(CCO)

  • 不動産会社スタッフ

  • 人材獲得担当者

  • 旅行代理店スタッフ

  • ライター

6. IS(感化型+安定型)

ISタイプは、I(感化型)とS(安定型)の特性を兼ね備えています。ISタイプの人は思いやりがあり、相手の話によく耳を傾けます。また、場の調和を重んじ、どんな状況でも物事がスムーズに運ぶようにしたいと思っています。ISタイプの人にとっては、他の人が能力を伸ばせるよう支援することが最大の関心事であり、周りの人たちとコミュニケーションを取っているときに大きな喜びを感じます。また、優しい性格を活かし、人と強いつながりを築くことも少なくありません。

しかし、人と親しくなろうとするせいで、統率者としての能力に欠ける場合があります。また、同じ作業を繰り返すことが苦手で、論理的な判断を下したり、合理的なプランを立てたりする上で苦労することがあります。

ISタイプの人に向いている仕事

  • コピーライター

  • 聖職者

  • 広報担当者

  • 小売店スタッフ

  • 非常勤講師

7. S(安定型)

S(安定型)の特性が強い人は、誠実で頼りになるので、上司と同僚の間を取り持つ存在となることがよくあります。Sタイプの人は、状況を多角的に把握する能力を持ち、傾聴力が高いので、意見の対立を適切に調停できます。

Sタイプの人は思いやりがあり、よく考えてから行動する一方、たとえ見返りが大きくても、大きなリスクを取ろうとしない傾向があります。また、怒っている人や口うるさい人の対応が苦手で、否定的に受け取られかねないことを言ってしまい、感情論にうまく対処できないことも少なくありません。

Sタイプの人は人付き合いを好み、ゆったりとした環境で働くことを好みます。

Sタイプの人に向いている仕事

  • カスタマーサポート

  • カウンセラー

  • 人事ディレクター

  • 看護師

  • セラピスト

8. SI(安定型+感化型)

SIタイプはS(安定型)とI(感化型)の特性を兼ね備えており、チームワークを重視し、他のメンバーを手助けしようとします。SIタイプの人は、仕事の成果と効率を高められるよう、チームのメンバーをまとめることが得意です。また、共感力や傾聴力が高く、チームのメンバーの心情に注意を払います。

こうした性格のおかげで、SIタイプの人はチームワークで大きな力を発揮することができ、優れたリーダーになれる可能性があります。また、技術コンサルタントなど、他の人との協力が必要な仕事で自立的に働くことも得意としています。

SIタイプの人に向いている仕事

  • アカデミックアドバイザー

  • カウンセラー

  • 人事マネージャー

  • 教師

  • セラピスト

9. SC(安定型+慎重型)

SCタイプはS(安定型)とC(慎重型)の特性を兼ね備えています。SCタイプの人は論理的かつ実利的な考え方を持ち、仕事を正確に遂行することを最優先にしようとします。テクノロジーに詳しいとは限らないものの、ツールを適宜活用して、自分の業務で優れた成果を達成します。

SCタイプの人に向いているのは、緻密で正確な作業が求められる仕事です。特にプランやルール、ガイドラインを策定する作業を好みます。他の性格タイプの人と比べて社交性に欠ける場合があるものの、SCタイプの人は業務を消化することに喜びを感じる人が多く、冷静沈着で頼りになるというイメージがあります。

SCタイプの人に向いている仕事

  • 経理担当者

  • データアナリスト

  • 薬剤師

  • 品質保証担当者

  • 科学者

10. C(慎重型)

C(慎重型)タイプは正確さや完璧さを重視する特性です。Cタイプの人はデータに基づいて物事を判断し、情報整理力と細部への注意力が高く、完璧を目指そうとします。また、論理的思考力が高く、感情に流されにくいため、チームでの共同作業で大きな力を発揮できる可能性があります。

Cタイプの人は集中力や洞察力が高い一方、興味や関心を維持できるような業務を必要とします。新しいトピックの調査にせよ、重要なデータの分析にせよ、Cタイプの人は自分の仕事を楽しんでいるときほど業務の生産性と正確さが向上します。

Cタイプの人はタスク指向が強く、ゆったりとした環境で働くことを好みます。

Cタイプの人に向いている仕事

  • アクチュアリー(保険数理士)

  • コンピュータプログラマー

  • 投資アナリスト

  • 研究者

  • 科学者

11. CD(慎重型+主導型)

CDタイプはC(慎重型)とD(主導型)の特性を兼ね備えています。CDタイプの人は、集中力や細部への注意力が高く、業務を完璧に遂行することに喜びを感じます。また、職場での自己主張が強いため、上司としては部下に対する要求が多くなり、期待に応えられない部下がいる場合は、積極的に相談に乗ろうとします。

CDタイプの人が管理職に就く場合は、自分の指導スタイルに注意する必要があります。問題が発生したときに、それを部下に伝えるだけでは、管理の手法として十分とは言えません。今後正しい方法で対処できるよう、部下を指導することも必要です。

CDタイプの人に向いている仕事

  • 建築士

  • 事業戦略担当者

  • 最高財務責任者(CFO)

  • 管理職

  • 内科医

12. CS(慎重型+安定型)

CSタイプはC(慎重型)の特性が強く表れていると同時に、S(安定型)の特性の影響を受けています。CSタイプの人は事前の準備を怠らず、チームのメンバーに対する責任を果たそうとするので、頼りになる存在です。また、責任感が強く、定型的な業務で力を発揮します。

CSタイプの人は内気なので、他の人との共同作業で自分の意見を言うことが苦手な場合があります。また、人に何かを質問する必要がない状況でリラックスできる場合があるので、CSタイプの人が部下にいる場合は、指示を細かく出すことが重要です。

CSタイプの人に向いている仕事

  • 航空管制官

  • データベース管理者

  • ITディレクター

  • リサーチサイエンティスト

  • システム管理者


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