情意評価の意味や目的は?管理職として気をつけるべきポイントを紹介
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年10月20日
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人事評価は管理職の大切な役割の1つで、部下の昇給や昇進に大きな影響を与えるため評価の仕方によっては部下から反発が出る可能性もあり「自分のやり方は正しいのか」と不安になる人もいるでしょう。
特に情意評価は業績評価のように数値で測れるものではないため、人によって評価がわかれやすい傾向にあります。
本記事では情意評価の意味や導入のメリットとデメリット、管理職として部下を評価する際に気をつけるべきポイントを解説します。ぜひ今後の人事評価に役立ててください。
情意評価とは
人事評価の評価軸の1つが「情意評価」です。情意評価では、仕事の取り組み姿勢や結果に至るまでのプロセスのような数値では表せない人間性の部分を評価します。
これまで業績評価だけではなかなか評価されなかった社員にも光が当たるようになり、組織のモチベーション向上にもつながる評価手法です。
情意評価の評価項目
情意評価では、主に 「規律性」「積極性」「責任性」「協調性」の4つが評価ポイントとなるケースが多いようです。
規律性
企業のルールや社会の規範に則って行動しているか
積極性
指示を待つだけではなく、自ら積極的に行動し、改善や提案をしているか
責任性
自分の役割や担当業務に責任を持ち、最後まで全うしているか
協調性
周りの人と協力し、助け合いながら業務を進めているか
情意評価を導入するメリット
企業はもちろん、社員にも複数のメリットがあるのが情意評価です。社員の人間性を評価するため、今まで数字につながらなくても真摯に仕事に向き合ってきた部下を管理職として適正に評価できるチャンスとも言えます。
ここでは、情意評価を導入すると得られる代表的なメリットを3つ紹介します。
メリット1:多角面的に評価ができる
数字やデータがもとになる業績評価では、社員の仕事に対する取り組み姿勢や周りとの協力姿勢は評価されません。そうした人間性の部分を含め、社員を多角的に評価できるのが情意評価のメリットです。
成果には結びついていないけれど真摯に仕事に取り組んでいる社員も評価されるため、社員のモチベーションも上がり、さらに真面目に仕事に取り組むようになり、業績のアップにもつながります。
メリット2:企業の求める社員への育成に効果的
情意評価では、企業側がどのような社員を理想としているか、明確な基準の提示が必要です。社員は提示された基準に対して、自分がどうすれば基準を満たせるか考えて動くようになるため、企業が求める理想の人材の育成に結びつきます。
「望ましい行動をとると正当に評価される」との風潮が組織全体に浸透すると、基準を満たそうと行動する社員が増えます。そうした社員を評価すると「自分が適正に評価されている」と感じる社員が増え、エンゲージメントが向上し離職の軽減に効果的です。
メリット3:組織の連携力が強化される
仕事への取り組み姿勢や周りとの協力姿勢が評価対象になるため、自分の成果だけを出そうとする自己都合的な行動を抑止でき、自然と協調性や気遣いの意識が芽生えます。
人間関係が上手くいくようになると、仕事の進みもスムーズです。職場の居心地もよくなるため連帯感が増し、組織に対する帰属意識の向上につながります。
情意評価を導入するデメリット
メリットだけではなく、デメリットも正しく理解しておきましょう。デメリットを理解し、対応策を知っておくと、情意評価をより効果的に活用できるようになります。
デメリット1:評価する人の主観に左右されやすい
情意評価で評価される「仕事への取り組み姿勢」が評価する人の主観に左右されやすいのは、評価の基準がわかりづらいためです。評価者が自分の感情や主観に影響を受けて適正ではない評価をしてしまう「評価エラー」が起こる可能性も高まります。
ここでは、情意評価を行う際に懸念される評価エラーの例を紹介します。
中央化傾向
極端な評価を避け、どの評価対象者に対しても標準値に近い無難な評価をしてしまう
ある1つの目立った能力に引きずられ、他の評価項目も実態より高い評価をしてしまう
寛大化傾向
評価者からの反発を恐れたり、気を遣ったりして評価が甘くなってしまう
逆算化傾向
昇進や昇給の基準から逆算して評価を決めてしまう
評価エラーによる不当な評価を防ぐには、多面評価の実施が有効です。多面評価とは、1人の上司による評価だけではなく、同僚や部下など複数の人によって評価する方法で、360度評価とも呼ばれます。
普段から関わりのある人によって、さまざまな方向から評価対象者を評価できるので、上司1人だけでは判断できなかったその人の良い部分も見えてきます。
デメリット2:具体的な目標を設定しにくい
仕事への取り組み姿勢は、具体的に目指すべき数字がなく、どうすれば評価があがるかをイメージしづらいため、工夫が必要です。
たとえば、1on1ミーティングで評価者と評価対象者の認識を合わせるのが効果的です。企業側が期待している役割や行動を具体的に伝え、それをどれだけ実現できているか、こまめに状況を把握する機会を設けます。
情意評価をつける際のポイント
管理職として、部下に情意評価を行う際のポイントを紹介します。多角的な評価が社員のモチベーション向上につながる情意評価ですが、実際に評価をする管理職が正しい評価方法を知らなければ、効果が発揮できません。ポイントをおさえた運用を心がけましょう。
評価基準をなるべく明確にする
具体的な数値目標が設定できず評価者の主観に左右されやすいからこそ、人によって解釈がわかれないよう工夫が必要です。明確な評価基準を設け、誰が見ても判断が変わらないようにします。
たとえば「責任性」の項目では、「自分に割り振られた仕事を途中で投げ出さずに最後まで遂行したか」「仕事の納期は守れているか」のような内容を評価対象とします。
「責任性」の言葉からイメージする内容は一人ひとり違うため、可能な限り具体的な行動に落とし込んで基準を策定し、それを評価対象者が理解できるように伝えるのが重要です。
客観的な視点を意識して評価する
意識的に客観的な視点を持つようにします。具体的には、実際に起こった事実や評価対象者の行動をもとにして評価するのがポイントです。評価対象者の行動を見て「きっとこう考えて行動したに違いない」と、評価者が自分で勝手に解釈し、評価をするのは避けます。
自分にとっての良し悪しではなく、あくまで起こった事実と評価基準を照らし合わせてどうか、と考えるのが大切です。評価者の考えを伝えたいのであれば、事実と考えは明確にわけて伝えるようにします。
具体例を挙げフィードバックする
評価対象者に対して良かった点と改善してほしい点を伝える際は、具体的な事例を挙げて説明します。たとえば「もう少し周りと協力してほしい」とだけ伝えても、評価対象者はどうすれば良いかイメージがつきません。
「周りが忙しければ、積極的に電話対応をするように気をつけてほしい」というように、望ましい行動を具体的に伝えます。
具体的なフィードバックは、評価対象者が自身の行動を振り返るきっかけになります。これからどのように改善すれば良いか、今後の行動も考えやすくなるように配慮するのもポイントです。
まとめ
情意評価は、成果だけでは図れない社員の人間性を評価できます。真摯に仕事に向き合っているのに成果が出ず、高く評価できなかった部下の良さを企業に伝えられる評価手法です。
ただし、人間性の評価は数値化するのが難しく、どうしても主観に左右されやすい傾向にあります。
正しく評価するためにも、本記事で紹介した評価エラーや情意評価のデメリットを理解し、意識して評価に取り組む姿勢が大切です。
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