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モチベーションの公平理論入門

努力の対価として適正な報酬を受け取っていると感じる従業員は、モチベーションを保ち、仕事で充足感を得ている傾向にあります。このような考え方を公平理論といい、チームのモチベーション維持に活かすことができます。この記事ではモチベーションの公平理論と、この理論を職場で応用する方法を説明します。

モチベーションの公平理論とは

モチベーションの公平理論とは、仕事の対価として得られる報酬が従業員のやる気に直結するという考え方です。職場にこの理論を当てはめて考えた場合、一般的に従業員は企業に対して提供したものと、その対価として企業から得たものを比較して、バランスを保とうとします。 

仕事に対するチームの意欲を適切に保ち、仕事ぶりが評価されていると従業員に感じてほしい場合、職場環境における公平理論の役割を理解することが役立ちます。チームの貢献に対して適正な報酬を提供することができれば、チームはモチベーションを高めたままで維持することができるでしょう。これにより、チームワークや仕事に対する姿勢、コミュニケーションといった要素にも良い影響が出ます。

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モチベーションの公平理論の構成要素

公平理論は、投入量(Input)と報酬(Outcome)という2つの主要素で構成されており、これらを従業員がどのように認知するかがモチベーションに影響するという考え方です。

投入量

投入量とは、報酬を得るために提供する努力や経験、能力、仕事量など自分が投入するものです。仕事に費やす時間、日常業務の遂行、企業に対する忠誠心、自分の仕事に対する熱意も含まれます。 

通常、従業員は自分に決定権がある投入量と、そうでない投入量を区別します。たとえば、決定権を持つ投入量にはコミュニケーションや出勤があり、そうでない投入量には研修の受講や年功序列があります。

報酬

報酬は、従業員が投入量として提供したものの直接の対価として受け取る報酬を指します。 

報酬のうち、物質的な対価には次のようなものがあります。

  • 給与や昇給
  • 雇用の安定性
  • 医療や休暇などの福利厚生

一方、精神的な対価には次のようなものがあります。

  • 同僚からの称賛
  • 評価の向上
  • 自分の仕事に対する誇り

報酬としての対価は、投入量として提供されたものの重要性と釣り合うことが理想的です。たとえば、大卒者は、学位保有の見返りとしてより良い就職のチャンスに恵まれるべきだと考えるはずです。 

公平理論に影響を与える要因

公平理論では、参照対象と調整変数という要因が使用されます。これらの要因は、従業員が何をもって公平と認知するかに影響を与えます。

参照対象群

参照対象とは、従業員が受け取る報酬を評価する際に使用する、比較対象を指します。これには、主に次のような4つの比較対象があります。

  • 内部の自己:現在の企業で異なる役職に就いていたときの経験

  • 外部の自己:別の企業で別の役職に就いていたときの経験

  • 内部の他者:同じ企業の別の従業員の投入量および報酬との比較

  • 外部の他者:別の会社の類似の役職に就く従業員との比較

従業員はこれら4つの参照対象を使って、企業が自分を公平に評価しているかを判断することがあります。たとえば、以前に所属していた企業で働きぶりを認めてもらえなかった従業員がチームにいる場合、目標を上回ったときにその従業員を必ず褒めるようにすると、他社での自分の経験(外部の自己)と比較して、現在は 働きぶりに対する公正な報酬を得られていると感じるようになります。

調整変数

従業員の学歴や経験レベルといった調整変数も、公平さの判断に直接影響を与えます。たとえば、高学歴の従業員は、自身の専門分野で幅広い人脈を構築してきた可能性が高く、外部の他者と自分を比較しようとするでしょう。専門分野での経験や過去に所属した企業でのキャリアが長い従業員は、社内での経験や他の従業員との比較で判断する傾向にある一方、キャリアの短い従業員は個人的な知識に頼りがちになります。

モチベーションの公平理論を職場で応用する方法

公平理論は、チームのモチベーションに影響を与えるさまざまな要因を深く理解するのに役立ちます。公平理論を職場で応用したい場合は、次のようなヒントを参考にしてみてください。

1. チームメンバー間で公正なバランスを保つ

従業員の多くは、対価として得られるであろう報酬に応じて仕事への貢献度を決めるため、公平性と平等の基準を定めておくことはチーム全体のためにもなります。すべてのチームメンバーが同量の仕事に対して同等の報酬を与えられるようにしてください。定期的なチームミーティングを開いて、全員が努力に見合う評価を得ていると感じているかを確認しましょう。

2. 比較対象と同等の報酬を与える

チームメンバーは、社外との違いについて比較していることがあります。従業員は、自分の専門分野で同じ経歴を持つ他者と同等の報酬を得られていることを知ると、仕事に対する満足感が持続する傾向にあります。比較の基準を定める際は、給与や福利厚生、ボーナスについて社外の役職を調査することをおすすめします。こうした情報を活用することで、従業員が自分の仕事に対して安心感を持つようになります。 

3. チームが何を重視しているのかを理解する

チームメンバーはそれぞれ投入量と報酬について、個々に違った評価を下している場合があります。学習やスキル向上、研修の受講を重視する従業員もいれば、時間と労力に対してもっと報酬が与えられるべきだと考える従業員もいます。チームメンバーの貢献を公平に評価し、感謝の気持ちを表すことで、職場におけるチームのモチベーションと満足度を維持できます。個々のメンバーにやる気の原動力を聞いて、実践的なプランを立てるのも有効です。

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