目標設定理論のメリットとデメリット

著者Indeed キャリアガイド編集部

2021年11月30日

目標設定理論は、従業員の貢献意欲を高めるための重要な戦術であると同時に、企業の成果をより優れたものにするための効果的な方法でもあります。この理論では、具体的で測定可能な目標を設定することにより、その目標を達成する可能性を高めます。目標設定理論を職場に取り入れることで、従業員の仕事での成果を向上させ、貢献意欲を強化することができます。この記事では、目標設定理論の定義、理論の原則と使い方、そしてメリットとデメリットについてご紹介します。

目標設定理論とは

目標設定理論とは、不明確な目標を設定するよりも具体的で測定可能な目標を設定する方が効果的である、という考えに基づいた理論で、1986年にエドウィン・ロックが著書**『タスク動機と誘因の理論に向けて(Toward a Theory of Task Motivation and Incentive)』の中で展開したものです。この本の中でロックは、従業員は明確に定義された目標と前向きなフィードバックによってモチベーションを高めることができ、具体的で測定可能な目標であれば、その目標を達成する可能性が高くなることを示しました。

ロックは、明確な目標を設定することに加えて、達成できるかどうかわからない困難な目標に直面したときに従業員が力を発揮するという事実を強調しています。難しい目標に取り組むことで、従業員は自分のスキルを向上させるよう努力し、その結果、前向きなフィードバックや全体的な達成感を得ることができるのです。これにより、従業員の貢献意欲や生産性、職場での満足度が向上することが期待できます。

目標設定理論の原則

目標設定理論によると、効果的な目標を設定するために守るべき、次のような5つの主要な原則があります。

  1. 明確性:目標は明確かつ具体的でなければなりません。

  2. 困難度: 目標は、従業員がそれぞれの目標を達成するために必要な作業を行いながら、意欲と集中力を維持できるような、適度に困難なものでなければなりません。あまりにも退屈で簡単な目標はやる気を失わせる可能性があり、達成満足度が低くなってしまいます。

  3. 積極性:従業員は、自分に課せられた目標を最初から理解し、支持する必要があります。従業員が目標に対して積極的に取り組んでいると感じられなければ、その過程を楽しめず、最終的に目標を達成することが難しくなってしまいます。

  4. フィードバック:フィードバックは目標設定理論の重要な要素です。目標達成に向けて作業が順調に進むように、目標達成の過程を通じて定期的にフィードバックを行う必要があります。

  5. 作業の複雑性:目標は小さな中間目標に分ける必要があります。それぞれの中間目標が達成されたら、完了についての確認を行い、大きな目標に向けた全体的な進捗状況を従業員に報告することが重要です。

職場で目標設定理論を活用する方法

次のようなステップに従って、目標設定理論を職場に取り入れることができます。

  1. 目標の目的を明確にする。

  2. 従業員と面談する。

  3. SMARTモデルを使って計画を立てる。

  4. 目標達成に必要なものを従業員に与える。

  5. 定期的なフィードバックを提供する。

1. 目標の目的を明確にする

目標を設定すべき理由は複数あります。たとえば、ある従業員は、仕事を続けるために新しいコンピュータープログラムを学ぶ必要があるかもしれません。全従業員が使用する新しいシステムを導入したばかりの企業であれば、各従業員がシステムを確実に習得するための最善の方法を判断するために、目標設定を実施することが求められます。目標の理由が何であれ、経営陣と、その目標を達成する従業員の両方に対して、目的を明確にしておかなければなりません。

2. 従業員と面談する

1人の従業員に対して目標を設定する場合は、その従業員と面談を設定し、目標設定に対するニーズを確認します。ニーズについて従業員の意見を聞き、目標達成のための責任を従業員が確実に理解するよう努めます。また、次に経営陣が目標達成に向けた進捗状況を確認するタイミングについても、こうした面談で伝えておきましょう。

3. SMARTモデルを使って計画を立てる

SMARTモデルは目標を設定して達成するための効果的な方法で、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Aggressive(挑戦的)、Realistic(現実的)、Time-bound(期限)の頭文字をとったものです。

Specific(具体的)

Specificは、目標ができるだけ具体的であるべきだということを意味しています。たとえば、「従業員の顧客満足度を上げてほしい」と言うのではなく、「従業員の顧客満足度を今後1か月間で10%向上させてほしい」と具体的な目標を設定します。

Measurable(測定可能)

目標は測定可能であるべきです。「目標は売上を増やすこと」と言うのではなく、「今後6か月間で売上を12%増やす」など、測定可能な売上目標を設定します。

Aggressive(挑戦的)

ロックの目標設定理論によると、従業員のやる気を維持し、達成したときにより良い報酬を与えるために、目標は比較的困難なものに設定すべきです。従業員のスキルよりも少し高い目標を設定することで、目標達成までの過程で従業員の貢献意欲を維持することができます。

Realistic(現実的)

目標は現実的なものでなければなりません。不可能な目標や手の届かない目標を設定しても、従業員のモチベーションは上がらず、目標達成を目指すための興味や忍耐力が失われてしまいます。

Time-bound(期限)

目標をいつまでに達成すべきかという明確な時間枠が必要です。たとえば「売上を10%アップさせる」という目標ではなく、「今後3か月で売上を10%アップさせる」という期限をつけるようにします。

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4. 目標達成に必要なものを従業員に与える

従業員が特定の目標に向かって取り組み始める前に、まず目標を達成するために必要な機器や時間、リソースが揃っているか確認することが重要です。従業員と面談して必要なものを利用できているか質問し、利用できていない場合は目標に向かって取り組む前に提供するようにしましょう。

5. 定期的なフィードバックを提供する

定期的に従業員と面談し、これまでの進捗状況を評価し、作業の基になっている行動計画を確認し、その時点で達成された結果について話し合います。従業員が目標を達成したときは、前向きで励みになるようなフィードバックを提供しましょう。設定した期間内に目標を達成できなかった場合は、修正すべき点を話し合い、従業員がどう改善できるか建設的なフィードバックを与えるようにします。

目標設定理論のメリット

職場に目標設定理論を取り入れることには、いくつかのメリットがあります。

  • 目標設定は、職場における従業員の貢献意欲を高めることができます。

  • この理論は、効果的な方法で目標を設定し達成するための明確な指針となります。

  • 目標設定は、努力と全体的なモチベーションを高めることにより、従業員の仕事での成果を向上させます。

  • 目標設定により、定期的に建設的なフィードバックを与えられるため、従業員は向上し続けることができます。

  • 目標を設定し達成することで、従業員は全体的な達成感を得ることができ、士気や職場における満足度が高まります。

目標設定理論のデメリット

一方で、目標設定理論を職場で使用する際に注意すべきデメリットもあります。

  • 経営陣、そして企業全体が達成しようとしている困難な目標が複数ある場合、両立しない方策によって成果が低下することがあります。

  • 従業員のスキルや能力に対して高すぎる目標を設定すると、従業員の仕事における成果や目標達成へのモチベーションに悪影響を及ぼします。

  • より複雑で困難な目標を短時間で達成しようとすると、リスクの高い行動につながる可能性があります。