キーワードは「Unlearn」?シリコンバレー発、アジア人のアメリカ転職事情最前線(後編)

著者Indeed キャリアガイド編集部

投稿:2022年4月3日

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アメリカを拠点とする多国籍企業などでの転職活動では、転職者本人の自己評価がそのまま希望給与額につながることも多く、「謙遜は美徳」というような、特に東アジア圏出身者にありがちな文化的背景が思いがけずネックになってしまうことがあります。

前編に続き、実例や体験談も交え、希望の転職を成功させるまでの道のりや考え方などをお伝えします。

「謙遜をUnlearn」して攻める転職

前編で、人種間、そして男女間の賃金格差のカラクリに大いに憤っていた韓国人女性同僚の話をしましたが、彼女とは年齢差もあり、転職も含めた人生相談なども受けていたので(これもまた、目上の人間を敬う、儒教的な教えなのでしょう)、彼女が次に狙っていた転職先も知っていました。

知らない人はいない、大人気のストリーミングサービスです。「アジア人女子的な謙遜のせいで年収が半減」説(注:前編を参照のこと)に取り憑かれたように、彼女は攻めに出ました。

その頃にはもう、職場の仲良しアジア人女子の間では「謙遜を美徳とする母国文化の呪縛を意図的にUnlearnするぞ!」が合言葉になっていて、給与の大幅アップが狙えそうな転職情報を互いに送り合う状態になっていました。

Unlearnとは、「習慣や先入観などを意識的に捨てる」という意味です。職場ですれ違うたび、冗談めかして「Unlearn!」とウィンクしながらグータッチし合うくらい盛り上がった時期もありました。

仕上げは「10秒ルール」で給与交渉にトドメをさす

同僚女子は、たとえ転職が成功しなくても、何事もなかった顔で現職に留まればいいだけで、失うものはありません。

加えて彼女は新卒からすぐに現職の業界の下請け会社に入り研鑽を積んできたので、現場知識が豊富でした。

筆者と一緒になった勤務先が彼女にとっては初めての「下請けではない上場企業」だったこともあり、すでに過去の年収の倍には達していたものの、「履歴書に上場企業のロゴがあればきっと給与交渉もしやすくなるはず」と踏み、今まで謙遜してきたことで取りこぼしてきた金額を取り戻すのだ、とあくまで強気の姿勢でした。

さらには、最後の賃金交渉の電話(注:オファーの内定後、正式に書面で報酬や待遇が確定される前に、だいたいの希望年収や待遇などを口頭でやりとりする局面)では「10秒ルール」を発動するのだ、と。

彼女が独自に仕入れてきた情報なので出典は定かではありませんが、つまり、先方からオファー内容を伝えられた後「電話口で10秒黙る」だけで、リクルーターが「もしや不満を持たれている!?」と心配し「じゃあ○○はどうですか?」というように「勝手にオファーが上乗せされる」現象が起こるらしいのです。

あまりにも単純すぎて怪しいと思う方もいるかと思います。しかし、彼女はこれで見事希望の年収を勝ち取り、さらには手に入れたオファーレターを現職に見せ、「私をこの職場にキープしたいなら、オファー額以上は払ってほしい」と交渉し、現職も合意し、一晩のうちに職務内容はそのままで年収が数百万円アップしたのでした。     

さらに数か月後、筆者にも同じようなチャンスが訪れ、すかさず「10秒ルール」を試してみましたが、実際のところはものの5秒くらいで勝手に待遇面で「数千株の自社株授与」が追加され、このルールの底力を思い知らされました。

もちろん、履歴書の書き方や自己アピールなど、他にも大事な要素はたくさんありますが「オファーに飛びつかず、最後の最後まで攻めの姿勢を崩さない」ためのリマインダーとしての「10秒ルール」はかなり有効だと実感しました。

就職は就社にあらず。あくまでも「個」で勝負

親世代などからの影響で、就職よりも就社に近い感覚がいまだ根強い傾向のある日本では定着しづらいコンセプトかもしれませんが、特にアメリカのミレニアル世代以下にとって、「自分の人生とは自分で守る」ものであり、会社に面倒を見てもらうのではなく、いちプロフェッショナルである「個」としての自分のスキルや経験値を高く評価してくれる会社を選び取ろうという意識を強く感じます。

同じく、転職を狙う会社のリクルーターも、社員である前にいち個人であり、迅速で的を射たコミュニケーションや、相手との時差を踏まえた連絡など(相手が違う時間帯にいる場合)、その人にとっても仕事が進めやすいような相手であることを心がけることも重要です。

というのも、リクルーター自身が転職し、転職先で似たような職種の求人があった場合、以前のやりとりでポジティブな印象のある求職者に声がかかることも多いにあるからです。

男女問わず、このような意識を持つことで、個としての自分の価値を「自分で」見極め、高めていくことができます。「unlearn」で早期退職にもつながるような希望の待遇を皆さんが勝ち取られていくことを心から応援しています。

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