ジョハリの窓のやり方とは?4つの窓と適切な手順を解説

更新:2022年7月9日

ジョハリの窓をイメージした画像

自分の所属している部や課、チームなどで、他者とコミュニケーションを行う機会はたくさんあります。

他者とのコミュニケーションでは、自身がどのような人間かを把握するのはもちろん重要ですが、自分が他人にどのように見られているかを把握するのも、同じくらい重要です。

自己分析を行いながら他者との関係を把握して、コミュニケーションの方法を模索する心理学モデルの1つに、「ジョハリの窓」あります。

本記事では、ジョハリの窓の概要やジョハリの窓を実践する際の方法などを解説します。

ジョハリの窓とは?

ジョハリの窓とは、他者とのコミュニケーションをより円滑に行えるように模索するための心理学モデル、自己分析ツールです。

ジョハリの窓を用いると、これまでに見えていた自分と見えていなかった自分の両方を確認できます。
また、自分と他者の認識のズレの理解にもつながります。

ジョハリの窓の4つの窓

ジョハリの窓の手法では、自身の性質を以下に挙げる4つの「窓」に分類して考察します。

  • 開放の窓

  • 盲点の窓

  • 秘密の窓

  • 未知の窓

それぞれの窓の性質、特徴を説明します。

開放の窓

開放の窓は「open self」とも呼ばれ、自分も他者も認識している自己の状態や性質を表します。

開放の窓に含まれる要素が多いと、周囲の人間に自己開示ができている状態となります。

そのため、一般的には開放の窓の領域を広げていくのが望ましいとされています。

盲点の窓

盲点の窓は「behind self」とも呼ばれ、自分は気付いていないものの他者には認識されている自己の状態や性質を表します。

自分自身の分析が苦手だったり、自身を客観的に見るのが苦手な人は、盲点の窓に含まれる要素が多くなる傾向にあります。

自己理解が低いと、自分自身のスキルや能力を十分に生かせなかったり、周囲の人に迷惑をかけてしまったりする可能性があるので注意が必要です。

秘密の窓

秘密の窓は「hidden self」とも呼ばれ、自分は知っているが他人には知られていない自己の状態や性質を表します。

秘密の窓に含まれる要素が多い人は、自己開示を行っていなかったり、行っているつもりでも上手にできていなかったりする可能性が高いです。

自分の個性を周囲に知られていない状態なので、より意識的に自己開示や自己表現を行うように心がけるとよいでしょう。

なお、秘密の窓に含まれる要素には、意識せずに含まれてしまったものと意識的に含まれているものに分けられ、後者にはコンプレックスやトラウマなどが該当します。

後者は無理に開示する必要はないので、前者を中心に開示できると良いでしょう。

未知の窓

未知の窓は「unknown self」とも呼ばれ、誰からもまだ知られていなく、自身も他人も知らない自己の状態や性質を表します。

未知の窓に含まれる要素はまだ誰にも分からず、まさに未知の可能性を秘めていると言えます。

未知の窓は「新しい自分」を見つけるための大きなヒントになります。今後、自身のなかで新たに開発されていく可能性があります。

こうして、今まで未知だった要素は「未知の窓」から「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」のいずれかに移り、未知の窓の領域は少し狭まります。

自己開発とは、このように未知の窓の領域をできる限り狭めて、開放の窓の領域を広げることを指します。

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ジョハリの窓を行う方法

ジョハリの窓を行うためには、第三者からの「自分に関する情報」が必要となるため、第三者には自分をよく知る人物を選んでください。

お互いに相手をよく知っている5~10人程度で行うと良いでしょう。

これまで知られていなかった自己を開示したり、他者に関して知らなかった内面を知るため、信頼できるメンバーで行うのが重要です。

ジョハリの窓を行う方法は、大きく以下の3つに分けられます。

  1. 相手に対して感じていることを自由に記述する方法

  2. 性格、能力などの要素を複数項目決めておき、相手に該当すると思うものを選択する方法

  3. 既存のシートやWebサイト、アプリなどを利用する方法

上述した方法のうち、1と3の方法は特にややこしい手順などはありませんし、Webサイトやアプリなどを利用する場合は、指示に従うだけでジョハリの窓を完成させられます。

そこで以下では、2の方法でジョハリの窓を作成する際の手順を説明します。

まずは、紙面を4つの格子状に区切った紙を準備し、手元に置きます(4つのスペースはそれぞれ、開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓にあたります)。

続いて、性格や能力などに関する要素(前向きで明るい、判断力がある、忍耐強いなど)の項目を、必要な種類、個数準備し、各参加者に参加人数分配布します。

自分およびほかの参加者に関して、性格や能力などに関して当てはまる項目に〇を付けていき、○を付け終わったら該当の参加者に渡します。

自分の手元に、自分が○を付けた用紙およびほかの参加者が○を付けた用紙が集まったら、集計を行います。

集計では、開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓それぞれに、以下の要素を当てはめていきます。

自分が○を付けた項目 自分が○を付けていない項目
他人が○を付けた項目 開放の窓 盲点の窓
他人が○を付けていない項目 秘密の窓 未知の窓

各参加者の集計が終わったら全員で結果を見せ合いましょう。

なお、ジョハリの窓を行うにあたっては、性格や能力などに関する要素にネガティブなものや、人間性を否定するようなものは用いないようにするのが重要です(性格に関して「暗い」ではなく「明るい」を用いるようにするなど)。

また、こういった分析が苦手な人もいますし、コンプレックスに触れられることで多大なストレスを感じる人もいます。

そのため、参加したくない人を強制的に参加させようとするのも好ましくありません。

ジョハリの窓を用いて自己分析を進めよう

ジョハリの窓を利用すれば、自身が認識している自分および他人が認識している自分を把握できます。

両者の差を把握すれば、自身に対する新たな気付きを得られるので自己分析に効果的です。

分析結果をもとに自己開示を進めていき、開放の窓の領域をなるべく広げられるよう心がけましょう。

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