マズローの欲求5段階説(自己実現理論)を仕事やビジネスで活用する方法

更新:2023年2月10日

自己実現理論とも呼ばれるマズローの欲求5段階説は、人間が満たされていると感じるための欲求を5段階に分けて表したものです。この理論は、従業員のモチベーションを高め、欲求を満たすためにはどうすればよいかを判断する手段として、しばしば職場でも応用されます。5つの階層を理解することで、職場で自分の欲求が満たされているかを判断したり、チームの欲求を満たす方法を考えることができます。この記事では、マズローの欲求5段階説についてと、職場で応用する方法をご紹介します。

マズローの欲求5段階説とは?

マズローの欲求5段階説とは、心理学における動機づけに関する理論の1つです。自己実現理論とも呼ばれ、人間の欲求を5段階の階層に分け、個人が満たされていると感じるための具体的な欲求がそれぞれの階層に割り振られています。ピラミッド型に描かれており、下位の階層を満たすことで次の階層に進むことができることを表しています。下の階層が満たされていないとモチベーションが上がらないため、人は前に進むことができません。

欲求の5段階

マズローの欲求5段階説を職場で応用する際には、欲求についてと、それがモチベーションにどう影響するかを理解する必要があります。それぞれの欲求は下の階層にある欲求の上に成り立っており、その結果、人はより満たされた気持ちになり、やる気や創造的な思考が促されます。

  1. 生理的欲求

  2. 安全の欲求

  3. 所属と愛の欲求

  4. 承認の欲求

  5. 自己実現の欲求

1. 生理的欲求

生理的欲求の階層は、人間の最も基本的な欲求を指します。最も基本的な欲求が満たされていると従業員が感じるためには、仕事中に欠かせない欲求を満たす設備や時間を利用できるようにする必要があります。トイレや水飲み場、食事や間食をとるための休憩時間、快適な職場環境などを提供することが重要です。職場では、自分の生活を支え、住む場所や食費、光熱費、その他の必需品を購入するための安定した収入も生理的欲求と言えます。

2. 安全の欲求

安全性も、職場での満足度を左右する重要な欲求です。自分や家族の安全を心配するのは自然なことです。たとえば、家族のために安全な生活空間を提供することが優先事項の1つであるため、懸命に働いているという人もいるでしょう。職場においても、自分の身体の安全が重視されていると従業員が感じることが重要です。

自分のリソースや個人的な財産が安全に保護されていると感じることも必要です。安全な職場を確保するためには、体を適切に支え怪我のリスクを減らす、人間工学に基づいて設計されたオフィス家具を用意したり、危害を加える可能性のある人物が侵入しないように建物を保護することなどが考えられます。

職場における安全性のもう1つの側面は、精神的な安全とサポートを感じられることです。人員や予算の削減で失業することを心配しているような状況では、次の階層に移動して実力を最大限に発揮しようというモチベーションを得ることが難しくなります。不安定な将来は、職場の士気の低下にもつながります。

3. 所属と愛の欲求

職場におけるこの欲求は、人生の他の場合とは少し異なります。従業員が職場で所属意識を感じられないと、仕事への愛着や成功へのモチベーションが低下することがあります。

職場で人間関係を築くことは、必ずしも容易ではありません。交流のためのイベントを開催したりオフィス外で人間関係を築く機会を多く提供している企業は、 ワークライフバランスの側面を重視していない企業よりも、従業員との結びつきが強い傾向にあります。自分が職場やチームに属していると感じられれば、一生懸命働いて結果を出そうという気持ちになりやすくなります。 

4. 承認の欲求

承認とは、自分がより高い目標に向かって貢献し、その貢献が認められていると感じられることです。職場では、自分が成長し、進歩し、結果を出しており、周囲がその結果を認めてくれるという自尊心を感じることが重要です。自分自身と自分の能力に自信を持ち、 前向きなフィードバック や励ましを受けることができれば、成功する確率も高まります。

従業員の自尊心は、最終的に企業全体に対する愛着にも影響します。従業員の仕事を定期的に認めて感謝を示すことで、伸び悩んでいるときでも自尊心に前向きな影響を与えることができます。フィードバックが年に一度の評価という形でしか得られない場合、従業員の自尊心は低下してしまう可能性があります。 

5. 自己実現の欲求

マズローの欲求5段階説の最後の段階は自己実現への欲求で、これは仕事における個人の可能性を最大限に引き出すことを意味します。誰もが、最終的には自分がその立場でベストを尽くしていると感じたいと思っており、それがキャリアパスを継続し、成功するためのモチベーションにつながります。自己実現した従業員は自信がつき、信頼されていると感じ、その結果、個人の成長と企業への貢献意欲が高まります。 

この欲求を満たすためには、従業員が成功できる機会を与えることが重要です。上司は部下のスキルや能力に注目し、適していない職務を押し付けることなく、キャリアアップの方法を探す手助けをする必要があります。自己実現のためには、仕事にやりがいを感じるようにしながらも、職務を重荷に感じたり仕事量が増えすぎることのないよう注意しましょう。 

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マズローの欲求5段階説の応用

マズローの欲求5段階説を仕事に応用することで、改善できる部分が見つかるかもしれません。企業はこれらの欲求の多くを満たす方法を提供することができますが、現在の役職において自分の欲求が全体的な成功にどう影響するかを認識しておく必要があります。たとえば、拒絶されるのが苦手な人が営業職に就くと、自分の欲求を満たすのが難しくなる可能性があります。

職場でこの動機づけ理論の最上位階層に到達するためには、自己実現をしなければなりません。つまり、自分のスキルや能力、そして自分がどんなことに対処できるのかを理解することが求められます。健全で働きがいのある職場は、マズローの欲求5段階説の最上位階層に到達した従業員で満たされています。

自分の欲求を特定し、その欲求が前向きな形で満たされるようにする能力は、成功のチャンスを高めるのに役立ちます。安全な環境でサポートを受けられていると感じ、所属意識を持ち、自己実現ができている従業員の姿勢は、同僚にも影響を与えます。自分の欲求が満たされていると感じている人が集まったチームは、より前向きで魅力的な文化を職場で生み出すことができるのです。

従業員の貢献意欲が低い企業は離職率が高いだけでなく、士気の低下や従業員の不満といった問題を抱えている傾向があります。従業員の全体的な幸福に投資することで、企業は満足度を高め、貢献意欲とモチベーションを向上させ、最終的には生産性に影響を与えることができます。

現在の役職で自分の欲求が満たされていると感じるか、自己評価することが大切です。自分の欲求は重要で価値のあるものなので、優先順位を高く保つようにしましょう。また、仕事に変化をもたらし、前向きで魅力的な職場の雰囲気を作る方法を模索することもよい方法です。

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