つながらない権利を尊重しつつ、柔軟な働き方を実現するコツとは

著者Indeed キャリアガイド編集部

投稿:2022年4月7日

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自宅、PCの前でスマホを操作する女性のイメージ画像

コロナ禍をきっかけに、多くの企業で業務システムのクラウド化やオフィス外でのセキュリティ対策が進み、場所を問わない働き方が急速に進みました。

その結果、通勤時間の削減や、生活コストの安い地方都市への移住が進んだほか、仕事と休暇を合体させたワーケーションなどにも注目が集まっています。

その一方で注目されているのが、仕事とプライベートの境目が曖昧になる問題です。実際に、NTTデータ経営研究所が行った調査によると、同僚から就業時間外に緊急性のない電話やメールが届いた場合、25%の人が週に1回以上対応しているようです。

さらに、リモートワーク実施者のなかで継続に前向きではない人のうち、その理由として34.2%の人が「仕事と私生活の区別がつかないから」を挙げました。

実はいち早くリモートワークが導入されていた欧米では、コロナ禍の前から各国や地方の政府が「つながらない権利」の保障に取り組んできました。

しかし日本では積極的な法制化は行われず、2021年3月に厚生労働省はテレワークガイドライン内で長時間労働対策として「時間外メールの自粛が有効」と記述するにとどめています。

新しい働き方にあった法整備は必要ですが、従来と同じ枠組みで考えてしまうと働く時間の柔軟性というメリットが失われかねません。柔軟な働き方と生活の質を両立させるための鍵は何なのか、本記事で一緒に考えてみましょう。

勤務時間外の連絡対応は心身の健康に影響

近畿大学の論文によると、心身とも健康な状態で働き続けるためには「心理的ディタッチメント」が重要だそうです。

これは勤務時間外に仕事とプライベートを心理的に分ける概念で、論文内では「心理的ディタッチメントが低い者は,情緒状態が悪く,仕事上のストレスが多く,劣悪な職場環境にあることが明らかにされている」と説明しています。

さらに同大学が心理的ディタッチメントの低さと勤務時間外の連絡対応の相関を調べたところ、勤務時間外に業務の遅延や周りへの迷惑を心配する傾向が高いほど、ストレスを溜めやすいとわかりました。

一方で、勤務時間外の連絡に対する返事を保留する傾向が高いほど心理的ディタッチメントを保っているようです。

これについて、同論文では「日本における周りとの協調や足並みを揃えることを重視する文化が,業務が遅れることや迷惑を掛けるという意識を高めやすい一因となっている可能性がある」と考察しています。

一律の勤務時間を前提とするルールはもはや時代にそぐわない

こうした問題を懸念した結果か、勤務時間外の連絡を禁じるルールを設けている企業もあるようです。しかし、そもそもリモートワークの大きなメリットは、従来の勤務地や勤務時間帯に働くのが難しい人も成果を出しやすい点にあります。

実際にFuture Forumの調査では、ナレッジワーカーの78%が働く場所の柔軟性を、95%が時間の柔軟性を求めているという結果が出ています。

たとえばコロナ禍で保育園にこどもを預けられない従業員は、こどもが寝たあとや起きる前に仕事を進めたい場合もあるでしょう。そんな時に一律に時間外メールを禁じられてしまうと、そうした事情を持つ人たちが不利になる可能性があります。

またリモート採用が進むにつれ、異なるタイムゾーンにいるメンバーが同じチームで働くケースも増えてきました。全員が同じ時間に働くのを前提にしたルール設計自体が、もはや時代にそぐわないのかもしれません。

鍵は非同期的に仕事を進められる環境作り

とはいえ、心理的ディタッチメントが低い状態で働き続けるのは現実的ではありません。心身の健康を保ちつつ、リモートワークの柔軟性を享受するためには、意識的に境界線を設ける必要があります。

その手段の1つが「送らない」のではなく「受け取らない」ことです。メールやメッセージツールの通知設定を細かく設定し、勤務時間外には通知を受け取らないようにしましょう。そうすれば、異なる時間帯で働く人が気兼ねなくメールやメッセージを送ることができます。

また、自分のステータスを常に共有するのも大切です。「〇時以降に届いたメッセージは翌朝〇時に見ます」などあらかじめ伝えておけば、周りもそれに合わせて仕事の段取りをつけやすくなります。

自分が勤務時間外にメッセージを送る際も、返信を期待しないようにしましょう。あからさまに求めなくても、「すぐに返してくれたらうれしい」といった雰囲気をさりげなく出してプレッシャーをかけるのも禁物です。

このように非同期的に仕事を進めれば、働く時間を柔軟に変えつつ、つながらない時間をしっかり確保できます。皆さんの職場でもぜひ取り入れてみてください。


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