iDeCo(イデコ)は年末調整で所得控除が受けられる!申請手順をわかりやすく解説
更新:2023年1月23日

iDeCo(イデコ)は、国民年金や厚生年金に上乗せして任意加入できる私的年金制度ですが、加入している会社員や公務員のなかには「iDeCoは年末調整が必要?」「どんな手続きをすれば良い?」など、悩む人もいるでしょう。
本記事では、年末調整でiDeCoの所得控除を申請する手順、申請時に必要な書類をわかりやすく解説します。
iDeCo(イデコ)とは?
iDecoは個人型確定拠出年金とも呼ばれ、国民年金や厚生年金の上乗せとして任意に加入できる私的年金制度です。毎月掛金を拠出して自身が選んだ方法で運用し、60歳以降に掛金と運用で得た利益を受け取れます。
iDecoの大きなメリットは、掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象になる点です。小規模企業共済等掛金控除は所得控除の1つであり、所得税や住民税を計算する際に所得から差し引けます。
つまり、掛金の額だけ所得が少なくなり、所得税、住民税を抑えることが可能です。
また、iDeCoは運用で得た利益が非課税になる、受給時に所得控除(退職所得控除または公的年金等控除)が受けられるメリットもあります。
iDeCo(イデコ)は年末調整が必要?
会社員や公務員がiDecoで所得控除を受ける際、掛金を「個人振込」で納付している場合は、年末調整での手続きが必要です。
掛金の納付方法は、以下2種類から選択できます。
年末調整が必要:個人払込
年末調整が不要:事業主払込
「事業主払込」は、掛金を給与から天引きし、事業主の口座から払い込む方法です。事業主払込を選択している方は、事業主が所得控除を行ってくれるため、特に手続きは必要ありません。
一方、「個人払込」は、本人の口座から引き落として掛金を払い込む方法です。個人払込を選択している方は、年末調整で手続きをすれば所得控除が受けられます。
年末調整での手続きを忘れた方は、確定申告が必要です。
なお、年末調整で手続きできるのは、国民年金第2号被保険者の方(会社員や公務員)です。第1号被保険者、第3号被保険者、任意加入被保険者は、確定申告が必要です。加入区分は、以下のとおりです。*¹
第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、学生など
第2号被保険者:厚生年金の被保険者(会社員や公務員)
第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
任意加入被保険者:国民年金に任意で加入した方
*¹出典:iDeCo公式サイト「iDeCoの仕組み|iDeCoってなに?」
iDeCo(イデコ)で税負担はいくら減らせる?
iDeCoの掛金で所得控除を受けた際に軽減できる所得税、住民税は以下の式で算出した金額です。
年収400万円(所得税率10%とする)の25歳の会社員が、毎月掛金を2万円拠出した場合に軽減できる税金を「掛金合計額×税率」で計算してシミュレーションしてみましょう。*²
・年間の掛金合計:2万円 × 12か月 = 24万円
・軽減できる所得税:24万円 × 10% = 24,000円
・軽減できる住民税:24万円 × 10% = 24,000円
所得税と住民税でそれぞれ24,000円ずつ軽減されるため、iDeCoで所得控除をしないときと比べて合計48,000円税金が安くなります。
60歳まで35年間拠出し続けた場合、48,000円 × 35年 = 168万円の節税効果が得られるので、メリットは大きいといえるでしょう。
なお、拠出できる掛金には限度があります。会社員、公務員などの第2号被保険者は、会社で加入している企業年金の種類により上限が変わるので、よく確認してください。
また、軽減できる税金の金額は、所得税率など条件により異なります。上記で計算した金額は、実際に軽減できる額ではないので注意してください。
*²参考:iDeCo公式サイト「よくあるご質問」
年末調整でiDeCo(イデコ)の所得控除を申請する手順
iDeCoの掛金を「個人払込」で払い込んでいる会社員や公務員が、年末調整で所得控除を受けるための手順を確認しましょう。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届く
「給与所得者の保険料控除申告書」を記入する
証明書を添付のうえ申告書を勤務先に提出する
毎年10月頃より、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。証明書が届いたら、年末調整まで大切に保管しましょう。
年末調整の時期がきたら、勤務先から渡された「給与所得者の保険料控除申告書」に証明書に記載された掛金の金額を記入します。記入するのは、右下の「小規模企業共済等掛金控除」の欄にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と「合計(控除額)」です。
申告書は、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。
記入できたら、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して勤務先に提出してください。
なお、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を紛失してしまった方は、再発行の手続きが可能です。ただし、再発行には日数がかかるため注意してください。
払いすぎた所得税は、後日還付されます。一方、住民税は還付されるのではなく、翌年度に納める金額が軽減される仕組みです。
確定申告でiDeCo(イデコ)の所得控除を申請する手順
年末調整での所得控除が間に合わなかった方や、iDeCo以外の理由で確定申告が必要な場合は、確定申告をすれば所得控除が受けられます。
手順は以下のとおりです。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届く
「確定申告書」を記入する
証明書を添付のうえ期限までに税務署に提出する
確定申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。「確定申告書 第一表、第二表」の所得控除の欄にある「小規模企業共済等掛金控除」にそれぞれ金額を記入します。
なお、これまで会社員は確定申告書Aを使用していましたが、2023年1月より確定申告書Bに一本化され、AやBの表記がなくなります。
記入できたら、源泉徴収票や小規模企業共済等掛金払込証明書などの必要書類を添付し、税務署に提出してください。確定申告は原則、毎年2月16日から3月15日までの間に行います。
まとめ
iDeCoは、任意に加入できる私的年金制度であり、拠出した掛金が全額所得控除の対象となります。
所得控除を受けるためには、年末調整または確定申告での手続きが必要です。ただし、掛金の納付方法に「事業主振込」を選択している会社員や公務員の方は、手続きが必要ありません。
毎年10月頃より順次届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を大切に保管し、忘れず手続きを行いましょう。
監修者:松崎 みづき
大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当。資産運用の相談、保険販売などを経験する。退社後CFP認定を取得し、フリーのFPライターとして活動を行う。
資格情報
CFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記検定2級
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