デューデリジェンス(DD)とは?不動産やM&Aにおける意味や手順をわかりやすく解説
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年7月11日
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不動産取引やM&A、資産運用を行うときには、リスクを回避するために事前の情報収集が欠かせません。しかし、相手先から得られる情報は限定的で、判断するうえで十分とは言えない場合があります。そこで重要になるのがデューデリジェンスです。
なじみが薄いかもしれませんが、ビジネスパーソンなら覚えておきたい言葉の1つです。意味や目的、種類、実際にどのように行うのかを知っておきましょう。
不動産取引やM&Aで行われるデューデリジェンスとは?
デューデリジェンスとは、不動産の買収やM&Aなどにおいて、対象となる不動産や企業を評価、査定するために行う手続きを指します。原語は英語の「Due Diligence」で、日本語では「適正な評価手続き」と訳されます。また、頭文字を取ってDDと表記されることもあります。
デューデリジェンスで買収のリスクとリターンを適正に把握
デューデリジェンスの目的は、買収予定の不動産や企業について、買収対象としてふさわしいか調査をすることです。買い主にとっては多額の資金を動かすため、損害を被らないようにリスクとリターンを適正に把握する必要があります。
不動産取引では、買収後に何らかの欠陥が判明しないよう事前にしっかり調査をします。M&Aでは円滑な経営統合のために不可欠なプロセスです。
いずれの場合も、短期間で多くの項目を調査するため、手順をしっかり把握して優先順位をつけて効率よく進めていきます。
デューデリジェンスの種類
デューデリジェンスにはいくつかの種類があります。
まずは、M&Aで行うものについて見ていきましょう。
事業に関するデューデリジェンス
買収対象企業の事業を正確に把握するために、ビジネスモデル、事業計画、抱えているリスク、競合、合併によるシナジー(相乗効果)などを調査します。
財務税務のデューデリジェンス
買収対象企業の財務や税務の状況を調査します。先方が開示した情報が正確とは限らないため、収益性やキャッシュフロー、債務、税務申告内容を詳細に調査します。
法務のデューデリジェンス
買収対象企業の事業に、法律上のリスクがないかを調査します。各種契約書、許認可、登記、知的財産、訴訟に関する書類を確認します。
人事のデューデリジェンス
買収対象企業の組織や人材に関する調査を行います。人件費、人事制度、人事方針、人材、組織文化を確認します。組織において人材の価値は高く、統合後にシナジーを生み出せるかどうか判断するためにも必要です。
ITのデューデリジェンス
買収対象企業の情報システムに関する調査です。合併後のシステム統合や新システム導入に向けて、移行のための費用や新規投資費用を把握していきます。
環境のデューデリジェンス
買収対象企業の業務内容によっては、土壌汚染や地下水汚染に代表される事業用地の環境リスクや、大気汚染や産業廃棄物などの環境リスクに関する調査を行います。
次に、不動産の買収で行うものを紹介します。
不動産のデューデリジェンス
買収対象の不動産において、建物の価値、状態、設備、立地、老朽度、権利関係、トラブルの有無を調査します。また、上で説明した土壌汚染などの環境リスクに関する調査も行います。売り主には、契約前に物件や契約に関する重要事項説明の義務はあるものの、十分ではないため詳しく調べなければなりません。
デューデリジェンス実施の手順
デューデリジェンスのフローについて、M&Aの場合を例に紹介します。
1. 調査チームを作る
社内の担当者を決め、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士をはじめとする外部の専門家に調査を依頼します。
2. 買収対象企業と秘密保持契約を結ぶ
調査では重要な情報を扱うので、買収予定の企業と秘密保持契約を結びます。
3. 調査方針を決定する
限られた時間で十分な調査をするには、方針を固め効率よく調査を進める必要があります。予算やスケジュールも決定します。
4. 調査
請求資料のリストをつくり、買収対象企業に必要な資料の提出を依頼します。届いた資料をもとに、外部の専門家とともに内容を確認していきます。調査は不動産やITなど分野別に分けて行うと効率的です。
5. 聞き取り調査
資料だけでは足りない情報については、買収対象企業に対して専門家による聞き取り調査を行います。
6. 専門家からの調査報告
専門家がまとめた調査報告書を受け取ります。
7. 調査結果をもとにした判断
調査結果を確認したうえで、経営陣がリスクとリターンを判断し、取引を進めるかどうかの決定を下します。
調査に要する期間は案件の規模により異なりますが、通常、1~2か月程度の期間がかかります。
まとめ
企業にとって、不動産取引やM&Aは社運を左右する重要な取引です。一歩間違えばリスクを背負うため、慎重な調査が必要です。
日常の業務には関係ないかもしれませんが、将来的に関わる可能性もあるので覚えておくといいでしょう。
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