今注目されているESGとは?定義やSDGs、CSRとの違いを簡単に解説!
更新:2022年9月7日

企業の活動として注目を集めている概念に「ESG」があります。企業として売り上げをあげるだけが目的ではなく、環境への配慮や社会的意義が重視される昨今において知っておいたほうがよい考え方ですが、どのようなものかわからない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、ESGの基本を簡単に解説します。また、関連するワードや取り組むメリット、企業の取り組み事例も紹介しますので参考にしてください。
ESGとは?
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った単語で、企業の経営を長期的に考えたときに重要視される3つの観点です。
Environment(環境)では、代表的なものとして、二酸化炭素の排出量削減をはじめ、資源の再利用や汚染対策などが挙げられます。
Social(社会)は、自然環境以外のあらゆる社会問題が含まれますが、女性の管理職登用や人権問題への対応が該当するでしょう。
Governance(企業統治)は、企業が法律違反をしないよう管理体制を整えることを言いますが、法令遵守や適切な情報開示、社外取締役による監視などがあります。
近年注目されている理由
2006年に当時の国際連合事務総長のコフィー・アナン氏が、金融業界や機関投資家が企業に投資する際にESGの観点を組み入れる「責任投資原則(PRI)」を提唱しました。以来、世界でESGが注目を集めるようになりました。
企業が数字に表れる財務情報の改善ばかりを重視した結果、環境汚染や労働問題、不祥事などの問題を引き起こした事例が相次いだことも一因です。
日本でも、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人が責任投資原則に署名し、徐々に認知が広がっており、意識的に取り入れる企業も増えています。
ESG経営とESG投資
ESGをもとに、社会課題解決に貢献している企業に投資することを「ESG投資」と言います。売り上げや利益といった財務情報だけでなく、社会的意義などの非財務情報を重視した投資が行われる傾向にあります。
タバコやギャンブルのような事業を展開している企業や、人権侵害や環境破壊を行っている企業をあらかじめ投資対象から排除するなど、ESG投資をするうえでの基準も設けられました。
また、ESGに重点を置いた経営を行うことは「ESG経営」と呼ばれます。環境や社会問題に考慮した事業は、中長期的な利益にもつながりやすいと考えられているため、企業の経営にとっても有用な考え方です。
CSRやSDGsとの違い
ESGと近いイメージを持つ用語に、CSRとSDGsがあります。
「CSR(Corporate Social Responsibility)」は、「企業の社会的責任」と訳され、企業は利益を追求するだけではなく、多くの利害関係者に対し責任を負うべきという考え方です。
ただし、業績には関連性が低いボランティアなどの活動も含まれるため、投資家からは評価されないケースも少なくありません。一方で、ESGは投資家の評価向上につながりやすい取り組みです。
「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、国連に加盟している国々が2030年までに達成するべき目標として、17のゴールを定めたものです。そのなかに環境や社会問題に関する目標も多く存在するため、SDGsというゴールのプロセスとして取り組むべき具体的な施策がESGといえるでしょう。
ESGに取り組むメリット
ESGは取り組むことで、投資家だけでなく企業側にもメリットがあります。代表的なメリットとして以下の2点が挙げられます。
顧客や投資家からの評価があがる
「この商品のパッケージは再生紙を利用しています」「マイボトルをお持ちいただくと◯円割引」といった注意書きを見たことがある人もいるでしょう。環境に配慮している企業はイメージがよく、顧客から選ばれやすい傾向があります。
「女性管理職30%以上」を掲げている企業は求職者にとって魅力的ですし、ESGに積極的に取り組んでいる企業として投資家からの評価があがる可能性が高いです。
新しい考え方や経営方針が見つかるきっかけになる
新たにESGに関する取り組みを行う企業は、これまでになかった発見が見つかるかもしれません。環境にやさしい商品を開発することで思わぬヒットを生み出すかもしれませんし、社内のガバナンスを強化した結果、取引先からの信頼性が高まり新しい仕事の依頼がくる可能性もあります。
ESGを意識して新たな挑戦を行うと、社員の考え方が広がったり、新たな経営方針を定めるきっかけになるといった期待は十分考えられます。
ESGの取り組み事例
「ESGが重要な理由は理解できたものの、どこから手をつけたらよいのかわからない」という人もいるでしょう。そのような人のために、ESGの具体的な取り組み事例を2つ紹介します。ESGに力を入れている企業の事例なので参考にしてください。
損害保険ジャパン株式会社
大手保険会社である損害保険ジャパン株式会社では、自然災害が増えると保険金の支払金額が増加して利益を圧迫してしまうなど業績に直接影響を及ぼすため、ESGへの取り組みを重要視しています。
そのため、全国の自治体と協定を結び、地域住民と協力して森林整備活動や環境教育を実施したり、脱石炭を促進する取り組みを行うなど、環境面で社会に貢献できる活動を推進しています*¹。また、女性管理職比率や男性の育児休業取得率は平均以上と、働きやすい職場の整備にも力を入れています。
株式会社丸井グループ
百貨店を展開する小売り大手の丸井グループでは、グループ全体で、未来への投資という観点での事業展開を推進しています。
例えば、「DRENi」というドレスレンタルサービスにより、ドレス購入の環境負荷を大幅に削減したり*²、再生可能エネルギーでの電力供給を全国の丸井モディの店舗に取り入れたりしています*³。
また、高校生や大学生向けの返済不要の奨学金給付事業の展開*³、人権や労働環境について議論する説明会の開催*⁴、新規事業の社内公募*⁵など幅広く活動しています。
このような活動が功を奏し、環境のみならず社会性や企業統治においても高い評価を受けています。
*¹出典:損害保険ジャパン株式会社|環境・美術・社会貢献|環境|地域貢献プロジェクト|森林整備活動
*²出典:株式会社丸井グループ|サステナビリティ|『共創を基盤とした3つのビジネスですべての人の「しあわせ」を拡大』
*³出典:株式会社丸井グループ|共創経営レポート 2021|「OUR IMP ACT 将来世代と共にインパクトを起こそう」
*⁴出典:株式会社丸井グループ|サステナビリティ|人権尊重への取り組み
*⁵出典:株式会社丸井グループ|キャリアイメージ|自らチャレンジする取り組み
まとめ
ESGは、企業活動の将来的な成長に寄与する環境、社会、企業統治の3つの観点の取り組みのことであり、近年はESG経営やESG投資が注目を集めています。
ESGに積極的に取り組むことで投資家にアピールできるだけでなく、これまでになかった分野への挑戦するよいきっかけとなるケースも多く、新しい発見が得られる可能性が高いため、取り組み価値のある内容です。
社内で社会貢献性の高い活動を推進したいと思っている人は、本記事を参考にESGを意識した取り組みを強化してはいかがでしょうか。
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