企業の内部顧客とは?(事例とヒントあり)
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年10月20日
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従業員などの重要な利害関係者は、企業における内部顧客の代表的な例だと言えるでしょう。
内部顧客との関係構築は、従業員の定着率の向上や従業員間のコミュニケーションの改善に役立つ可能性があります。また、内部顧客について理解を深めることで、内部顧客に対するベストプラクティスの構築が自社の成功に結びつくかどうかを判断できるようになるでしょう。
この記事では、内部顧客とは何か、また外部顧客との違いを説明し、企業において内部顧客との関係を大切にすることのメリットに加え、内部顧客との関係性の例や、良好な関係を築くのに役立つヒントをご紹介します。
内部顧客とは
内部顧客とは、同じ組織内の従業員から特定のサービスを提供される個人を指します。
通常は、別の従業員の仕事の成果に直接的な影響を及ぼす、特定の業務を遂行する従業員がこれに該当すると言えるでしょう。
たとえば、送信されるすべてのメッセージのコンテンツを作成したりデザインしたりする従業員にとっては、企業のメールアドレスを管理する従業員が内部顧客となります。
同様に、ある部署が別の部署の日常業務に影響を与える場合、前者もまた、内部顧客になる場合があります。
ある特定の状況で、内部顧客になり得る重要な利害関係者が存在する可能性もあります。たとえば、非営利団体の理事が理事長代理の職務を監督し、組織の複数の分野で重要な財務的支援を管理することがあるかもしれません。
しかし、ほとんど場合、理事が別の仕事を持っているため、組織との関係は一般の職員とは異なることが多いでしょう。
内部顧客と外部顧客の違いとは
外部顧客は企業運営の外で企業と関わりを持つ個人を指しますが、内部顧客には企業からの期待に関して外部顧客といくつかの共通点があります。
たとえば、外部顧客であれば製品価格、内部顧客であれば給与実態というように、重要な事柄に関しては、いずれの顧客もコミュニケーションプロコトル(意思疎通の手順)が明確であることを好むかもしれません。
また、内部顧客と外部顧客には根本的な違いがいくつかありますが、特に重要な点について次に例を挙げます。
企業活動
企業が提供するサービスや製品に対して金銭を支払う人は外部顧客となるのに対し、社内業務の一環として情報や物品をやり取りする人は内部顧客となります。
役職や分類
通常、外部顧客はクライアントであり、これには製品やサービスを1回だけ購入した個人も、長い間取引のある得意先も含まれます。状況によっては、組織内で活動する複数の人が内部顧客に相当する場合もあります。
カスタマーサービスの目標
外部顧客のニーズに対応する場合の目標としては、購入数、紹介数、肯定的なクチコミ数を増やすことなどが考えられるのに対し、内部顧客に関するカスタマーサービスの目標は、従業員の満足度を高め、職場全体の生産性を向上させることになるでしょう。
関わり方の種類
通常、外部顧客との関わりは直接的ですが、内部顧客との関係は相互的になる場合がよくあります。たとえば、マーケティング担当者がブログ記事を書き、SNS運用担当者がそれをオンラインプラットフォームに投稿した場合、両者は互いの内部顧客だと言えるでしょう。
内部顧客を大切にすることのメリット
組織という枠組みの中で内部顧客を大切にすることのメリットと、ベストプラクティスについて見ていきましょう。
建設的な職場環境が構築される
同僚から尊重されていると感じる従業員は、より強固な人間関係を築き、1日を通して積極的に行動できるようになるでしょう。
全体的な生産性が向上する
従業員が同僚のために重要なサービスを提供できると理解すれば、成功へのモチベーションが高まり、より短い時間で質の高い仕事を完了させる可能性があります。
優先順位づけが改善できる
同僚を大切な顧客として認識すると、従業員は社内業務と外部顧客との関わり方のバランスをうまく取ることができるようになるでしょう。たとえば、ITチームは同僚と顧客の両方にサービスを提供することが多いため、どちらも顧客に該当すると認識することで、より効果的に業務の予定を立てることが可能になります。
企業のコミュニケーションが合理化される
顧客にあたる同僚に使用するのと同じ手順や基準を同じ部署内の同僚などにも使用すれば、より明確で正確かつ有用な情報を、より的確に伝達できるようになるでしょう。
外部顧客への対応力が向上する
従業員の士気が高く、協力体制が整っていれば、外部顧客のニーズをより的確に見極めることができます。その結果、長期にわたって顧客を維持することができるでしょう。
内部顧客関係の例
企業における内部顧客の関係として、よくある例をご紹介します。
同じ部署の従業員
同じ部署で働く同僚同士は、プロジェクトの異なる領域や段階をそれぞれが担当しているため、互いの内部顧客になることがよくあります。
内部顧客となる従業員は、別の従業員の専門知識を頼りに、互いのプロジェクトや作業をうまく完了させることもあるでしょう。
たとえば、ソフトウェア開発チームでは、1人のメンバーがプログラミング言語を書き、別のメンバーがあとからテスト段階でデバッグすることで、プログラムのユーザーに機能的かつ効果的な製品を届けることが可能になります。
内部顧客の関係を持つことの多いチームには、他にも次のようなものがあります。
レストランのスタッフ
レストランという職場には、一般的に料理を運ぶホールスタッフ、調理師やシェフ、洗い場スタッフ、店長、オーナーが含まれます。オーナーは、料理を作る調理師やシェフのサービスを頼りにし、調理師やシェフは料理をお客様に運ぶホールスタッフや、レストランの衛生状態を維持する洗い場スタッフのサービスを必要とします。
小売店のスタッフ
店舗の必要に応じて、内部顧客にはレジスタッフ、品出しスタッフ、経営者などが含まれます。経営者は、商品を販売するレジスタッフと、棚に商品を陳列する品出しスタッフのサービスを必要とします。
マーケティングスタッフ
企業では、SNS運用担当者、コピーライター、グラフィックデザイナーなどのマーケティングスタッフを置くことがあります。SNS運用担当者は、自分がオンラインに投稿するコンテンツを作成するコピーライターや、グラフィックデザイナーのサービスを必要とします。
情報技術(IT)
情報技術(IT)部門は、パソコンやその他の技術的なサービスを企業内の他の従業員に提供するため、これらの従業員は内部顧客となります。
またIT部門では、他の部門の従業員がソフトウェアのサポート、プリンターの設定、ネットワークの管理といったサービスの提供を受ける際の窓口となる、サービスデスクを運営することがあります。
ITスタッフと他の従業員との間で良好な顧客関係が築かれている場合、特にテクノロジー関連の業界であれば、企業はコンピュータシステムを使って複数の日常業務を遂行できるでしょう。
人事(HR)
人事(HR)部門は、従業員の福利厚生に関係した日常業務をこなすため、従業員が主要な内部顧客となります。
人事部が提供するサービスとしては、新人の採用、福利厚生の管理、従業員と上級管理職との間のコミュニケーションの仲介などが挙げられます。会社の状況によっては、人事スタッフが別の従業員の内部顧客になることもあるでしょう。
たとえば、ある部署で人材を募集している場合、採用プロセスにはその部署の従業員によるサービスの提供が必要になります。
ファシリティマネジメント
ファシリティマネジメント(FM)担当者は、従業員が必要なリソースを得られるように、企業の物理的な職場環境を維持します。
保安、清掃、輸送といった複数のサービスを取り仕切ることが多いため、あらゆる職種の従業員がFM担当者の内部顧客になる可能性があります。
FM担当者とその他の従業員間で効果的な顧客関係を築くことができると、日々の活動を行い、運営を成功させるために企業が必要としている環境設備を、職場に整えておくことができるでしょう。
コンサルティングサービス
コンサルティングサービスでは、企業独自のニーズに応じた戦略、ガイダンス、ソリューションを提供します。
コンサルティングサービスは、特定の企業の仕事を請け負うことで内部顧客となり得る、外部の利害関係者の一例です。
たとえば、企業でコンサルティングサービスを雇い、従業員の長期定着に向けた戦略の監督について、アドバイスを受けることができるでしょう。コンサルティングサービスは組織の中で働いているため、企業がその内部顧客になる可能性もあります。
内部顧客と良好な関係を築くためのヒント
次のヒントを参考にして、内部顧客と良好な関係を築きましょう。
測定可能なフィードバックを集める
さまざまな内部顧客との関係の中で働く従業員にアンケートを実施して、重要な改善点を見極めましょう。データは今後、プロジェクトや手順の新しい戦略を決定する際に使用できる可能性があります。
カスタマーサービスに関する標準手順を定める
顧客との関わり方に関する企業の標準を企業全体に展開すれば、改善点を特定する機会が増え、全体的な効率も上がるでしょう。
研修プログラムを実施する
従業員がコミュニケーションに関するベストプラクティスを学ぶため、能力開発の研修プログラムを予定しましょう。こうした研修プログラムで過去の状況を取り上げ、新しいコラボレーション戦略を実践してみると役立つ可能性があります。
従業員のアイデア交換の場を設ける
複数の部門の力が必要なプロジェクトを効率的に進めるための戦略など、従業員が内部顧客を満足させるためのアイデアを交換できる、オンラインポータルを開設すると良いでしょう。
同僚の仕事に感謝する
内部顧客とのコミュニケーションの終わりには、自分の仕事を完成させるために不可欠なサービスを提供してくれたことに対して感謝の気持ちを伝えることが大切です。そのような行動が、最終的には内部顧客との強固な関係につながるでしょう。
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