バリデーションとは?言葉の意味と業界ごとのニュアンスの違いを紹介

更新:2023年7月20日

ビジネスの場で、「バリデーション」という言葉を聞く機会がある方もいるのではないでしょうか。

バリデーションは医薬品業界、介護業界、IT業界などで使用されますが、業界によって言葉のニュアンスが異なります。

本記事では、バリデーションの意味や各業界での使い方を詳しく解説します。

バリデーションとは

バリデーション(validation)は、「確認」や「検証」を表す言葉です。

動詞の「validate」は「有効にする」などと訳し、正当性を立証していないものに対して「有効であるかを検証する」意味を含みます。

ビジネスシーンでは、決められた作業工程のなかでの一連の確認プロセスと仕組みを「バリデーション」と呼びます。

医薬品業界でのバリデーションとは、「高品質な医薬品を安定して製造するためのプロセスを確認して検証、手順化する流れ」を指します。

医薬品の開発において製造方法が適切か、製造条件、薬剤の条件、そして服薬後に安定した効能を得られるのかなどを検証します。

また、医薬品の製造においては、ムラのない品質と正確な成分配合が必要です。一定の基準を保つためにバリデーションが実施されます。

以下、医薬品業界でのバリデーションの使用例を紹介します。

医薬品を製造する上で安全性を保つためには事故を起こさないよう、バリデーションが必要になる。
医薬品の製造では、開発段階だけでなく製造現場でもバリデーションを実施しなければならない。

バリデーションとベリフィケーションの違い

ベリフィケーション(verification)には、「検証」などの意味があります。

たとえば商品を製造する時、完成品が設計どおりに仕上がっているかを確認するのがベリフィケーションです。

それに対してバリデーションは、「この工程で設計どおりの製品が作れるか」を検証します。

質の確認をするのがベリフィケーション、プロセスの妥当性を確認するのがバリデーションです。

バリデーションとチェックの違い

バリデーションと同じく確認の意味があるチェック(check)は、「検査」「点検」など「目を通す」というニュアンスが強く、「妥当性の確認」までは含まれていません。

また、チェックはビジネスシーンのみならず、日常的に使用される機会が多いのも「バリデーション」と異なる点です。

その他業界でのバリデーションの使い方

バリデーションは、医薬品業界のほかにITや介護の業界で利用されます。バリデーションという言葉の意味自体は、「確認」や「検証」を示しますが、利用する業界によってニュアンスが異なります。

IT業界のバリデーションの使い方

IT業界でのバリデーションは、「成果物が規定の条件や仕様に適合しているかの検証や確認」を指します。

データの形式などがマニュアルに沿っており、意図したとおりの製品ができているかを確認するために行われます。

開発のプロセスが煩雑な場合、作業が進むうちに本来の目的から外れてしまう可能性があります。

元々の意図や目的から外れておらず、用途などに関する条件が満たされているかを判断するためにバリデーションが必要とされます。

IT業界での「バリデーション」の使い方は以下のとおりです。

バグをなくし、質の高いWebサービスを提供するためにはバリデーションが欠かせない。
作成した入力フォームがバリデーションチェックに引っかかり、エラーメッセージを取得した。

介護業界のバリデーションの使い方

介護業界で使われるバリデーションとは、認知症の方とコミュニケーションをとるための手法の1つです。

認知症高齢者による徘徊や大声を出すなどの行為は問題行動とされていますが、認知症高齢者の感情を認めて無条件で承認し、一挙一動に意味があると捉えた接し方を「バリデーション」と呼びます。

喜び、楽しみなどのプラスの感情はもちろん、不安や怒りといったマイナスの感情にも向き合い、共感するコミュニケーション技法で、認知症高齢者のストレスをやわらげ自尊心を高める目的があります。

たとえば、支離滅裂な言動も頭ごなしに否定せず、相手の考えや思いをヒアリングするといった対応です。

介護業界の「バリデーション」の使い方は以下のとおりです。

認知症の高齢者との関わりを深めたいと思いバリデーションの考え方を勉強した。
バリデーションによって認知症患者のストレスや不安が緩和された。

まとめ

バリデーションとは、「確認」や「検証」を意味する言葉です。

医薬品業界やIT業界では、主に成果物が仕様に沿っているかの検証などの意味で使われます。介護業界での意味は少し系統が異なり、認知症の方とのコミュニケーション手法の1つを指します。

ビジネスの幅広いシーンで使用されていますが、業界により意味が異なる場合があるため、状況に応じて使い分けましょう。


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