有給休暇の時季指定義務とは?対象者や違反した場合の罰則まで詳しく解説
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年8月30日
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有給休暇の時季指定義務とは、使用者が、時季指定権を行使することにより、労働者に1年間で最低5日の有給休暇を取得させる義務です。
社会人の方のなかには具体的な内容を知らず、有給休暇の取得に躊躇する方もいるでしょう。
本記事では、有給休暇の時季指定義務について対象者や内容を解説します。有給の取得を予定されている方はぜひ参考にしてください。
有給休暇の時季指定義務の意味
有給休暇の時季指定義務は、使用者が、有給を10日以上付与される労働者に対して、最低年5日有給を取得させなければならないルールのことです。
有給取得の要件は以下となり、正社員だけでなく契約社員やパート社員も有給休暇の時季指定義務の対象になります。
雇い入れの日から6か月経過している
その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
有給休暇の時季指定義務の対象は?
有給休暇の時季指定義務の対象になるのは、有給が年10日以上付与されるすべての労働者です。具体的には以下の条件に当てはまる人が対象者になります*¹。
入社後6か月が経過している正社員またはフルタイムの従業員
入社後6か月が経過している週5日以上または週30時間以上勤務の従業員
入社後3年半以上経過している週4日出勤の従業員
入社後5年半以上経過している週3日出勤の従業員
入社後6か月が経過している正社員またはフルタイムの従業員
正社員もしくはフルタイムの契約社員の場合、入社後6か月が経過したときに8割以上出社していれば、原則10日の有給が付与されます。
そのため、有給付与から1年以内に有給休暇の時季指定義務が発生します。
入社後6か月が経過している週5日以上または週30時間以上勤務の従業員
パート社員であっても、入社から半年が経過して週5日以上勤務しているか、週30時間以上勤務している場合は対象になります*²。
入社後3年半以上経過している週4日出勤の従業員
週4日以下のパート勤務の場合、所定労働日数に応じて有給が比例付与されます。週4日勤務する場合は、初年度の有給付与日数は7日となるため、対象外です。
ただし、3年6か月たったタイミングで年10日の有給が付与されるため、同様に対象者になります。
入社後5年半以上経過している週3日出勤の従業員
週3勤務のパート社員の場合は、年あたりの有給が10日を超えるまでさらに時間がかかります。4年目までは有給が10日未満のため、消化義務の対象とはなりません。
5年6か月の時点で10日の有給を付与され、これ以降は毎年5日の有給休暇の時季指定義務が発生します。
有給休暇の時季指定義務の例外
有給休暇の時季指定義務のある労働者から要望があれば、できる限り希望に沿った時季に有給を取得させなければいけません。
また、先程紹介した10日の有給を付与された時期から1年以内に有給を与える必要があります。ただし、以下の場合は例外になります。
計画年休を導入する場合
労働者の時季指定に基づき有給を基準日より早く付与する場合
計画年休を導入する場合
計画年休とは、企業やグループ単位で同一の日に有給を付与する方法です。
計画年休で5日以上を消化する場合は、その分を義務化された分から控除できますが、労働者自身で取得できる年次有給休暇を最低5日残す必要があります。
チームが一斉に休みを取れたり、全員が平等なルールで休暇を作れたりするので、周りを気にせずにすむのが労働者側のメリットです。
有給を基準日より早く付与する場合
入社して6か月待たずに、10日の有給を付与する企業もあります。
この場合は10日分の有給を付与した日から1年以内に、5日以上の有給消化をさせなければいけません。
また、企業によっては入社時に数日の有給を与え、試用期間が終わったタイミングでさらに有給を追加する場合もあります。この場合は、付与日数の合計が10日に達した日から1年以内に5日消化しなければいけません。
たとえば4日1日に入社して有給を7日付与(試用期間3か月)して、7月1日に残りの有給3日を付与した場合は、翌年の6月30日までに5日分の有給を消化させる必要があります。
有給休暇の取得義務を違反した場合
有給休暇の時季指定義務に違反した場合は、罰金もしくは6か月以下の懲役になる場合があります*¹。
年5日の有給を取得させなかった場合、労働者1人当たり30万円以下の罰金が課せられる可能性があります*¹。
また、労働者の請求する時期に有給を与えなかった場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります*¹。
まとめ
有給休暇の時季指定義務の具体的な内容について紹介しました。
働き方改革によりルールが厳格化し、労働者にとっては休みを取りやすい環境が整えられています。有休消化義務の対象に自分が当てはまるかどうか、有休消化義務の例外などを確認してルールを理解することが大切です。
その上で有意義に有給を利用し、しっかりと心身のリフレッシュに当てましょう。
*¹出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」
*²出典:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」
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