財務諸表の役割は?作成する目的と分析できることを解説
更新:2022年8月25日

一般的に「決算書」とも呼ばれる「財務諸表」とは、どのような性質を持つ書類なのでしょうか。
本記事では、財務諸表の概要、作成する目的をわかりやすく解説します。
また、財務諸表のなかでも特に重要とされている「財務三表」(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)のそれぞれの役割と、そこから読み取れる内容を詳しく紹介します。
財務諸表とは
財務諸表とは、企業が利害関係者(ステークホルダー)に対して「一定期間の経営成績や財務状態等を明らかにするため」に作成される書類のことで、日常的には「決算書(又は決算報告書)」と呼ばれています。
財務諸表の作成は法律*¹で義務付けられており、株主や投資家は財務諸表を投資の判断材料にできます。
*¹出典:金融商品取引法第193条
財務諸表を作成する目的
財務諸表を作成する目的は、利害をともにするステークホルダーに対して「必要な情報を公開すること」です。
企業の主なステークホルダーには、「株主」「投資家」「債権者」「従業員」「取引企業」などがあり、財務諸表はそれぞれのステークホルダーにとって重要な役割を担っています。
株主や投資家に対する役割
株式の売買など投資に関する意思決定で重要な指標となるのが、会社の経営状況です。
株主は所有する株式を維持するか売却するかを判断するために、また、投資家はこれからの投資先を決定するために、財務諸表を参考にできます。
金融機関(債権者)に対する役割
金融機関などの債権者は、企業の売上や利益、お金の流れなどを把握して「融資した資金が問題なく回収できるかどうか」を確認する必要があります。
財務諸表はこれらの情報が網羅されているため、融資継続の判断材料にできます。
従業員に対する役割
従業員にとって経営状況は労働環境や雇用の存続にかかわる重要な情報です。
財務諸表で自社の経営状況を把握しておくことで、条件の良い企業への転職など必要に応じた判断を下せるようになります。
取引先企業に対する役割
経営状況が悪い企業との取引には、売上金の回収などでトラブルが生じる恐れがあります。
また、取引に依存しすぎると「共倒れ」のリスクも少なからず存在します。
取引先の財務諸表は、「取引をこのまま継続して良いかどうか」の指標にできる他、「リスク分散のために他の販路を探す」など、経営的な判断の材料にできます。
財務三表とは
財務諸表は「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」「株主資本等変動計算書」「附属明細表」などの書類から構成されます。
なかでも特に重要な「貸借対照表(BS)」「損益計算書(PL)」「キャッシュフロー計算書(CF)」の3点は「財務三表」と呼ばれています。
ここからはそれぞれの役割や、読み取れる情報を解説します。
貸借対照表(BS)
貸借対照表は企業の財政状態を表す書類で、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3つに分けて記載します。
「資産」には、現金、売掛金、商品、有価証券などの「流動資産」*²だけではなく、土地や建物などの「固定資産」*³も含まれます。
「負債」には買掛金、借入金、社債などが該当し、「純資産」は「資産から負債を差し引いた額」のことを指します。
貸借対照表からは資産や負債の内訳が明確になるため、資金の調達先とその割合、運用方法などを読み取ることができます。
*² *³注釈: 1年以内に現金化できる資産を「流動資産」、1年以上現金化できない資産を「固定資産」と呼ぶ。
損益計算書(PL)
損益計算書は、収益と費用の状態を表す書類です。
記載する項目は以下のとおりです。
売上高
売上原価
売上総利益(1−2)
販売費及び一般管理費
営業利益(3−4)
営業外収益
営業外費用
経常利益、損失(5+6−7)
特別利益
特別損失
税引前当期純利益、損失(8+9-10)
法人税等
法人税等調整額
当期純利益、損失(11-12-13)
損益計算書からは企業の「利益や損失がどのような形で出ているのか?」を明確にできます。
また、固定費と変動費を分けることで損益分岐点を算出できるので、経営判断をする上でとても重要な書類です。
キャッシュフロー計算書(CF)
キャッシュフロー計算書とは、期中の収入と支出(キャッシュフローの状況)を「営業活動」「投資活動」「財務活動」ごとに区分して表示した書類です。
他の資料だけではわかりにくい「お金の流れ」を活動ごとに詳しく記しているので、企業の具体的な資金繰りを確認できる資料となっています。
まとめ
財務諸表は、経営成績や財務状態を公開するもので、ステークホルダーにとっては「投資」「融資」「取引」などの指標となる重要な書類です。
一方、経営者にとっても自社の利益構造やお金の流れを客観的に把握できる貴重な資料です。
財務諸表を正しく「読み取る」ことは、自社、他社問わずビジネスでとても重要なだといえるでしょう。
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