タレントマネジメントの意味を解説!注目の背景や目的も紹介
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年8月2日
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ビジネスを取り巻く社会環境が大きく変化し、人材の多様化が進んでいる昨今、これまでの人事管理方法では思うようにパフォーマンスを上げられなくなりつつあります。
そこで注目されるようになったのが「タレントマネジメント」の概念です。
本記事では「タレントマネジメント」の意味や注目されるようになった背景を解説し、メリット、実際に導入する際の流れなどをわかりやすく紹介します。
タレントマネジメントとは
タレントマネジメント(Talent Management)とは、自社の社員がもつ個性(スキルや能力、性格など)を把握、管理し、個々の特性を活かして最適な「人員配置」「評価」「採用」「育成」などが行えるようにするための人材マネジメントです。
タレントマネジメントの概念は1997年、アメリカのMcKinsey & Companyによって提唱され、21世紀になると欧米を中心に導入する企業が広がっていきました。
一方、日本国内でこの概念が注目され始めたのは2010年代に入ってからですが、社内人材の多様化が進む今、人的資本をしっかりと把握してマネジメントを行うことの重要性が認識され、大手企業を中心に導入企業が徐々に増えつつあります。
タレントマネジメントが注目される背景
国内でタレントマネジメントが注目されるようになった背景は次の3つが考えられます。
雇用環境(日本型雇用システム)の変化
働き方の多様化
少子高齢化
終身雇用、年功序列、新卒一括採用が特徴の日本型雇用では、企業が社員を教育して育てていく考え方が一般的でした。
しかし、昨今は社員一人一人が主体的にキャリアを積み上げていく世の中になりつつあります。
また、以前に比べて働き方や能力、スキルが多様化している現在では、社員一人一人の個性を把握して適切な配置、業務指示を行うことが生産性向上に直結します。
さらに少子高齢化により若い働き手の確保が難しくなることが予想されており、今後はより効果的な人材マネジメントが必要とされていくでしょう。
このような側面から、日本国内でもタレントマネジメントを導入する企業は増加傾向にあります。
タレントマネジメントのメリット
では、働く人にとって、タレントマネジメントの導入はどのようなメリットがあるのでしょうか。
適材適所で自分にあった仕事ができる
1つ目のメリットは「自分にあった仕事ができる」点です。
タレントマネジメントでは社員のスキルや能力を経営資源ととらえ、最大限の成果が得られるよう適切な人材配置を行います。
社員に適性のない仕事をさせることはパフォーマンス低下につながってしまうため、結果「自分にあった仕事」に従事できるようになります。
レベルに応じた目標が与えられる
2つ目のメリットは、「レベルに応じた目標が与えられる」点です。
タレントマネジメントでは成果が重視されるため、人材配置後も定期的に効果の検証が行われます。個人がより高いパフォーマンスを発揮できるよう、社員の能力、実績に合わせて短期的なスパンで細かい目標設定が行われます。
これにより社員は企業や所属部署が掲げる高い目標を意識しながらも、自身のレベルに応じた「達成可能な目標」にコミットできます。
能力が向上しやすい
3つ目は能力の向上です。
タレントマネジメントでは、全社画一的な社員教育ではなく、個人の能力やスキルに応じて中期的な人材育成、開発が行われます。
これにより企業が「自分に期待していること」も明確になり、自分自身のキャリアビジョンも立てやすいため、能力の向上にもつながりやすいです。
タレントマネジメント実施の流れ
タレントマネジメントの導入は、以下の4ステップで実施されます。
人事データの集約
人事計画の策定
適正な配置、育成
効果測定と見直し
まずは実績や評価、スキル、前職の経歴などさまざまな人事データを収集し、整理が行われます。
収集したデータをもとに配置、育成、採用などの人事計画が策定され、配置転換や新規採用などが実施されます。
人員配置後も定期的に効果測定が行われ、目標管理や育成計画、必要に応じて再配置などの措置が講じられます。
従って、仮に勤務先の企業で新しくタレントマネジメントが導入されるとなると、配属先、仕事内容、目標、評価方法などに大きな変化が現れる可能性が高いでしょう。
タレントマネジメントを導入する企業で働く際のポイント
次に、タレントマネジメント制度を導入している企業で働く際に確認しておきたいポイントを紹介します。
自分の適性を理解しておく
まず確認しておきたいことは、自分適性を客観的に理解しておくことです。
タレントマネジメントでは個人の適性を重視した人材配置が行われます。
たとえば自分では「これまで営業一筋で頑張ってきたから、新しい会社でも営業職として働きたい」と考えていたとしても、タレントマネジメントを導入している転職先で「事務職に適性がある」と判断されれば、自分の希望する営業の仕事に就けないでしょう。
事前に適性検査などを受けたり、前職の実績をまとめたりしておけば、客観的な指標で自分自身の適性を企業の人事担当者に示せます。
キャリアパスを確認しておく
次に確認しておくことは、転職先でのキャリアパスです。
タレントマネジメントを導入している企業は、全社的な成果を重視して個人のキャリアパスを考えるため、たとえばジョブローテーションなど「さまざまな部署を経験してできる業務を増やしていきたい」と考えている人には向いていない場合もあります。
入社後、どのような業務に就き、どのようなキャリアパスが用意されているのかを確認したうえで就職しなければ、早期離職につながってしまう恐れもあります。
まとめ
日本国内でも最近注目されているタレントマネジメントですが、「適材適所で働ける」と「自分の好きな仕事ができる」は同義ではありません。
導入されている企業へ就職・転職を考えている人は、タレントマネジメントを正しく理解し、自己分析や企業情報の収集などの事前準備を怠らないよう心がけましょう。
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