変形労働時間制とは?メリットやデメリット、他の働き方との違いを解説

著者Indeed キャリアガイド編集部

投稿:2022年8月30日

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変形労働時間を計るイメージ画像

「変形労働時間制」とは、労働時間を月や年単位で調整できる制度です。

本記事では「変形労働時間制の企業への転職を考えている」「自社に導入されているけれど仕組みがわからない」という方に向けて、変形労働時間制の仕組み、メリット、デメリットを解説します。

変形労働時間制の意味

変形労働時間制とは、1日単位ではなく、一定の時期に合わせて労働時間を柔軟に調節できる仕組みを指します。

変形労働時間制を採用すると、繁忙期と閑散期がある働き方をする場合、繁忙期は10時間勤務、閑散期は6時間だけ働くというように、法定労働時間を月単位、もしくは年単位で調整できます。

変形労働時間制を導入する場合は、労使協定や就業規則などで具体的に事前に通知し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

変形労働時間制のルール

年単位で変形労働時間制を採用する場合は、以下のルールを守れば勤務時間を調整できます*¹。

  • 対象期間で平均した場合に1週間あたりの労働時間が40時間を超えない

  • 労働日数の限度は280日

  • 1日の労働時間の限度は10時間

  • 1週間の労働時間の限度は52時間

  • 対象期間のうち連続して労働できる日数の限度は6日

たとえば、繁忙期は10時間×5日労働し、閑散期に6時間×4日などの調整が可能です。

*¹出典:厚生労働省 週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制 (3)1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制 ロ)1年単位の変形労働時間制 

変形労働時間制の労働時間と残業時間の計算方法

実際の残業時間の対象となるのは主に以下の3つです*²。

  1. 所定労働時間が8時間以上の場合は所定労働時間を超えた部分

  2. 週40時間を超えた部分で計上していない部分

  3. 対象期間の歴日数/7×40時間を超えた部分

残業時間は日、週、年の順に以下のように順を追って計算します。1週間の例で考えましょう。

  • 月:所定労働時間/6時間、実労働時間/6時間

  • 火:休み

  • 水:所定労働時間/7時間、実労働時間/9時間

  • 木:休み

  • 金:所定労働時間/9時間、実労働時間/10時間

  • 土:所定労働時間/10時間、実労働時間/10時間

  • 日:所定労働時間/7時間、実労働時間/8時間

*²出典:厚生労働省「1年単位変形労働時間制の導入の手引」

1. 所定労働時間が8時間以上の場合は、所定労働時間を超えた部分

上記の例では、所定労働時間を超えているのは水曜日、金曜日、日曜日です。ただし、日曜日は実労働が8時間なので、残業時間とはカウントしません。

また、水曜日は8時間を超えた部分が残業になります。

この場合、以下の2時間が残業として計上されます。

  • 水曜日:9-8=1時間

  • 金曜日:10-9=1時間

2. 週40時間を超えた部分で計上していない部分

次に、週の実労働時間を計算すると、43時間になります。これは、週40時間を超えているので、残業代が支給されます。

ただし、すでに1の項目で2時間分の残業代を支給しているため、以下が追加される残業時間となります。

週の残業時間:43−40+2 =1時間

3. 対象期間の暦日数/7×40時間を超えた部分

1年の所定労働時間は

「365/7×40=2085.7時間(ただしうるう年は2091.4時間)」

と計算できます。

もし、年間の労働時間がこれを超えていた場合、日や週の残業時間として計上されていない分が残業代として発生します。

変形労働時間制のメリット

変形労働時間制には、企業、従業員ともにメリットがあります。無駄のない働き方ができるため、繁忙期と閑散期がはっきりしている業界で取り入れられています。

企業側のメリット

変形労働時間制では忙しくない時季は労働時間を短くでき、残業代の削減につながる場合もあります。

またスケジュールを調整できるため、人員の過不足や、従業員の体調不良や過労の防止にも効果的な制度です。

従業員側のメリット

従業員側は、メリハリを付けて働ける点がメリットです。

閑散期には労働時間を短くできます。6時間勤務の日で考えると、10時に出社して17時に退社、その後は友人とご飯に行ってリフレッシュするなどワークライフバランスの向上につながるでしょう。

変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制には、知っておきたいデメリットもあります。企業、従業員それぞれの視点から解説します。

企業側のメリット

企業側としては申請や手続きなどの手間が増える点がデメリットです。

変形労働時間制を導入するためには、就業規則の整備が必要となります。また、部署を超えて会議などがある場合は、各部署でスケジュールを事前に調整しなければなりません。

従業員側のメリット

繁忙期と閑散期でメリハリを付けて働ける分、繁忙期の負担が大きくなる傾向にあります。

また残業代が少なくなる可能性もあります。1日で考えると時間外労働は以下のように分けられます。

  • 所定労働時間が8時間を超える日:所定労働時間を超えた時間

  • その他の日:8時間を超えた時間

このように、所定労働時間を10時間と決めている場合に10時間労働をした場合は、時間外労働時間が0となり、残業代は発生しません*¹。

変形労働時間制に似た制度

労働時間を柔軟に計算する以下の制度があります。

  • フレックス制

  • 裁量労働制

フレックス制

フレックス制度では、原則勤務する時間が決められた「コアタイム」と出社が自由な「フレキシブルタイム」があります。つまり、コアタイムに出社していれば、出社、退社の時間は個人で管理できるというルールです。

日々の始業時間や就業時間を一人一人で調整できるため、さまざまな働き方に対応できる制度です。

裁量労働制

裁量労働制は、実労働時間が労働者の裁量に委ねられている制度です。実際の労働時間に関係なく、契約した労働時間を働いたとみなして報酬が支払われます。

研究職やクリエイティブ職などの、時間に縛られずに自分のペースで働くほうがパフォーマンスのあがる業種や職種で採用されていることが多い制度です。

まとめ

変形労働時間制は、繁忙期と閑散期のある仕事で、労働時間を柔軟に変更できる制度です。

企業側は残業代削減や人員の過不足の調整ができ、従業員側はメリハリのある働き方ができるため、双方にメリットがあります。

変形労働時間制を導入している企業への転職を検討している方は、本記事を参考にして、事前に運用のルールや残業時間の計算方法を理解し、働き方をイメージしておきましょう。

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