仕事図鑑

マーケティングの仕事をするには

IT化の進展に伴い、昨今のマーケティングの仕事も変化しています。デジタルマーケティングやWEBマーケティングなど、最新の技術を駆使したマーケティング手法により、目覚ましい成果を上げている企業も増えています。

高度な知識とスキルが要求されるマーケティング職は、一般企業において未経験者がチャレンジできる機会は少ないかもしれません。
しかし、広告会社やマーケティング専門会社のように、企業活動自体がマーケティングに関連している会社であれば、マーケティング業務につく確率は高くなるでしょう。
今回は、マーケティング職の内容と、必要な資格と年収、将来性や求人傾向について解説します。

マーケティング職とは

マーケティング業務には様々な種類があります。マーケティング職とは何を指すのか、どのような種類があるのか簡単に見てみましょう。

マーケティングとは

まず、マーケティングとは何か、確認しておきましょう。
企業活動の基本原則は、自社商品やサービスを顧客に提供し、収益を上げることです。かつて、「製造業立国」として存在感を示してきた日本では、製造業を中心に、「いいものを作れば売れる」という考えが常識とされてきた面もらいました。確かに良質な原材料と高度な技術を用いて、生み出された製品はいくつもあります。しかし、それが「いいもの」であると、誰が判断するのでしょう。それは、顧客です。

マーケティングの大家であるフィリップ・コトラーは、自著『コトラーのマーケティング・マネジメント』(ピアソン・エデュケーション/2002年)などで、マーケティングを”顧客ニーズに応えて、利益を上げること”と定義しています。これにもう少し説明すると、「どのような価値を提供すればターゲットとする市場のニーズを満たせるかを探し、その価値を商品化し、顧客に適正な価格で届け、利益を上げる」ということです。つまり、マーケティングの本質は、「自社商品やサービスを売れる仕組みを作ること」と言えるでしょう。

インターネットが浸透しつつある現在、顧客の購買行動も多様化しています。ある商品に興味を持った消費者は、スマートフォンやタブレットを使って情報を集めます。商品が気に入れば、店頭に出向くか、あるいはECサイトで購入します。このように、リアルとWEBとの境界線があいまいになっている今日、従来のようにテレビCMや新聞広告などを主とするマスマーケティングだけでは、顧客の細かいニーズに対応できなくなってきています。これに代わる手法として注目を集めているのが、デジタルマーケティングです。

アナログ、デジタルを問わず、マーケティングが目指すのは、「顧客と、最適なタイミングで、最適な場所で出会うこと」です。デジタルマーケティングとは、インターネットを介し、検索エンジンや自社サイト、EメールやSNSなどのあらゆるチャネルを利用して顧客とつながる手段です。

これとよく似たマーケティング手法に、「WEBマーケティング」があります。これは、WEBサイトに特化したマーケティング手法です。自社サイトに訪問したユーザーが、サイト内でどのような行動を取ったかを分析し、ユーザーがどんな情報を求めているかを探り、購買行動につなげる手法です。

マーケティングとよく混同されるのが、「企画開発」という仕事です。マーケティング職は、自社商品やサービスを市場に知らしめ、ターゲットとする顧客との接点を作るのが仕事です。顧客はどんな商品を欲しがっているのか、競合他社はどのような商品を市場に投入しているかを分析し、販売戦略を立案します。企画開発は実際には、商品の開発や企画を行うのが仕事ですが、それはマーケティング職が策定した戦略と照らし合わせながら行われるのです。

マーケティング職の種類

一口にマーケティング職と言っても、その種類は様々です。ここでは、それぞれどのような仕事か、簡単に触れておきます。

・マスマーケティング

マスマーケティングとは、顧客を絞り込まずに、テレビや新聞、ラジオなどのマスメディアを利用して商品の告知を行い、販売につなげる手法です。実行するには莫大な費用がかかるため、マスマーケティングが行えるのは、一部の企業などに限られてきました。

・CRM

CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、日本語に訳せば、「顧客管理」です。具体的には、顧客情報を分析して、マーケティング活動を行うものです。顧客ありきの発想で、顧客との良好な関係を構築するシステムを指します。

・WEBマーケティング

WEBマーケティングは、WEBサイトやWEBサービスを利用して行われる手法です。WEBを利用して、自社商品やサービスを売り込まなくても、売れる仕組みを作り出す行為です。デジタルマーケティングの一部で、自社サイトに訪れたユーザーの行動を分析し、どのような情報を求めているかを割り出し、購買行動を促すのが狙いです。

・SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、FacebookやTwitterなど、ソーシャル・メディア・ネットワーク(SNS)を利用したマーケティング手法です。SNSを活用して、自社と顧客との距離を縮め、自社の存在や商品・サービスのブランド価値を高めるものです。企業が顧客にダイレクトにメッセージを送り、反応を直に受け取ることができるのが特徴です。

・動画マーケティング

文字通り、動画を活用したマーケティングです。テレビCMも動画ではありますが、ここではWEB上で動画を使ってプロモーションする方法を意味します。企業や商品のイメージを喚起する動画を作成し、自社サイトやYouTubeなどの動画サイトに投稿します。

・O2Oマーケティング

O2Oとは、「Online to Offline」の略で、企業がオンライン(ネット上)で情報発信を行い、オフライン(実店舗)での購買行動につなげる手法です。たとえば、実店舗を持つレストランチェーン店が、オンライン上でクーポン券を提供することで、顧客に実際に店舗に来店してもらい、消費してもらう効果が期待できます。

・コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、自社サイトにおいて、ユーザーの抱える課題に対して、解決策や気付きとなる情報を提供し、イメージ想起や購買意欲を喚起する手法です。

・インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、著名人やカリスマブロガー、YouTuber、インスタグラマーなど、一般消費者に影響力を与えられる人物(インフルエンサー)に、自社の商品・サービスを紹介してもらうことで、顧客の購買行動を促す手法です。

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マーケティング職の仕事

次に、マーケティング職としての働き方について見てみましょう。同じマーケティング職でも、取り扱うサービスや商品によって仕事内容や働き方が変わります。働いている姿をイメージするための参考にしてください。

マーケティング職の主な職場と仕事内容

では、マーケティング職の実際の職場と、仕事内容について見てみましょう。大まかに言うと、自社の商品やサービスを売ることを目的とするか、他社の商品・サービスの販促を目的とするかに分けられます。

・自社商品やサービスを扱う事業会社でのマーケティング

自社で生産した製品を、マーケティング活動を通して、顧客に購入・利用してもらう仕事です。メーカーなどのマーケティング部に所属して、マーケティング業務を行います。自社がフィールドとする市場を分析し、ターゲットとなる顧客が何を求めているかを把握し、商品開発に反映させるための戦略を練ります。商品の開発や企画、広告宣伝に携わることもあります。

・他社の商品を売る手助けをするマーケティング

メーカーなどの事業会社から依頼を受けて、その会社の商品やサービスを売る方法を提供する仕事です。業種は、以下の3つに分類されます。

広告会社
マスメディアやWEBを介した広告やプロモーション活動を展開することで、クライアントの商品やサービスを「売る仕組み」を提供するのが仕事です。

コンサルティング系の会社
依頼された企業の利益を最大��するのが目的であり、そのために必要なあらゆる手段をアドバイスします。クライアントの商品・サービスを売るために、商品開発からプロモーション活動、販売チャネルの選択など、多岐に渡る提案を行います。

リサーチ/データ系の会社
市場の動向や消費者の行動、あらゆる情報をリサーチ・分析し、データとしてクライアントに提案します。広告代理店や、コンサルティング会社の一部門に所属して活動するケースや、データ分析を専門とする企業が存在します。

マーケティング職の働き方

マーケティング職の勤務形態や、雇用形態について、簡単にご説明します。
マーケティング職は、市場調査や分析、商品開発、プロモーション、価格設定、販売チャネルの選択など、非常に多くの仕事をこなさなければなりません。通常は、大手企業であればマーケティング部、中小企業であれば営業部か営業企画部の一員となり、正社員として働きます。経営活動の大部分に関わるため、契約社員やアルバイト、パートなどが仕事を任されることはあまりありません。企業の一員として組織に深く関わり、マーケティング業務を通して長く貢献することを求められるためです。

マーケティング職の労働時間は、企業により様々で一様には語れません。ただ、市場リサーチから分析、商品開発、生産・販売、プロモーションなど、幅広い業務に携わるので、社内での関係部門との打ち合わせなど、意見調整に時間を要するため、多忙なことが多いです。勤務時間は、出社が8時から9時半の間で、退社時間は19時から19時半の間が多いようです。マーケティング職は、他部門の担当者と連携して働くことが多いため、日頃からコミュニケーションを密に取り、人間関係を円滑に保っておく必要があります。そのため、仕事が定時で終わっても、その後、情報収集も兼ねて、他部門や他社の社員と交流を図るということもあるでしょう。

マーケティング職になるには

では、マーケティング職になるにはどうすればよいでしょうか。業務を行う際に取得しておくとよい資格やどのような人が求められ、向いているのかをご紹介します。

マーケティング職に必要な資格は

マーケティングの仕事につくために、必要な資格は特にありません。ただ、業務を円滑に遂行するために、取得しておくと便利な資格はいくつかあります。未経験者であれば、資格の試験に備えることで、マーケティングを体系的に理解することができるでしょう。
では実際に、マーケティング職に関係した資格には、どのようなものがあるか見ておきましょう。

・マーケティング・ビジネス実務検定

マーケティング実務において必要な知識を、総合的に判定するための検定試験です。机上のマーケティング理論にとどまらず、マーケティング業務に役立つ実務知識や実務特例、時事情報などが身につきます。

・マーケティング検定

公益財団法人 日本マーケティング協会主催の、マーケティング能力を測定する試験です。マーケティングの幅広い知識が問われます。マーケティングの基礎的な概念から、価格設定や製品戦略、サービス・マーケティングのスキルが習得できます。

・ネットマーケティング検定

インターネットマーケティングに関する、基礎知識全般を診断する試験です。ネットを活用した集客やプロモーション、WEBブランディングのスキルを習得することができます。

・WEBアナリスト検定

Googleアナリスティクスのデータを正確に解析し、業務を改善する能力を取得できます。
検定試験では、解析ツール上でデータを読み取り、業務を改善するためにそのデータをどう活かするかが問われます。

・Google Analytics Individual Qualification (GAIQ)

Googleアナリティクスの習熟度を判定する、資格試験です。Googleアナリスティクスを活用して、マーケティングに最大限に利用する能力が習得できます。

・Google 広告認定資格

Google広告の基礎知識を正しく身につけているか、また実務に活用できるかを判定する試験です。この試験に合格することで、オンライン広告のエキスパートであることを証明することができます。

・データ解析士

マーケティングリサーチに必要なデータを、統合的に解析できるスキルが習得できます。指定講座である「多変量解析実務講座」を修了すれば、受験資格が得られます。統計情報から必要とするデータを抽出し、未来に起こる事象を予測する能力を身につけることができます。

マーケティング職に向いている人はこんな人

では、どのような人がマーケティング職に向いているのでしょうか。たとえば、商品を開発するためには、インターネットを駆使したアンケートを通して定量調査を行います。また、実際の消費者から意見を聴取して定性データとしてまとめます。そうして収集した各種のデータを、統計手法や解析ツールを用いて分析する必要があります。従って、数字やデータに抵抗のない人が向いています。
そして、市場調査で取得したデータを客観的な視点で眺め、仮説を立てて検証する作業が必要です。論理的な思考で情報を整理し、消費者の目線で企画を立案する能力が求められます。

では次に、マーケティング職のやりがいについて、考えてみましょう。
顧客の購買につなげるための企画を自分が手掛け、功を奏して多くの消費者が商品・サービスを購入してくれることに、大いなるやりがいを感じる人は多いようです。

また、マーケティング業務において、特にプロモーション活動の過程では、ポスターや商品パッケージなどの制作に携わることも多くあります。自分の発案したアイディアが、クリエイターの手を通して成果物として形になれば、手ごたえのある達成感を味わうことができるでしょう。

マーケティング職の年収とキャリア形成

多忙なマーケティング職は収入もよいイメージがありますが、実際はどのくらいあるのでしょうか。また、マーケティング職におけるキャリアパスについても紹介します。

マーケティング職の収入の目安

ここからは、気になるマーケティング職の給与について、見ておきましょう。マーケティング担当者の年収の全国平均は、Indeedで検索可能な求人情報によると529万円となっています。営業職の年収の全国平均は514万円、一般事務の全国平均年収が365万円ですから、給与設定は比較的高いと言えるでしょう。

マーケティング職を極めて最高マーケティング責任者CMOに

マーケティング職がキャリアプランを策定するとき、まず確かめておきたいことは、会社に「CMO(Chief Marketing Officer)=最高マーケティング責任者」がいるかどうかです。CMOというポストがあるかないかによって、その企業がマーケティングをどのように考えているかがわかります。また自分のキャリアパスのあり方も、大きく変わってきます。

CMOとは、マーケティング職における幹部待遇の役員職であり、マーケティングにおける一連の施策を統括する仕事です。CMOを置いている企業は、マーケティングを経営活動の重要な要素と捉えており、マーケティング部門を重視しています。

CMOという名称は、日本ではまだあまり馴染みがないかもしれません。
しかしアメリカでは、CMOはポピュラーな存在です。
経済産業省商務情報政策局が発表した「ビジネスモデル革新について」によると、フォーチュン500社に選ばれたアメリカ企業の62%が、社内にCMOという役割を設けています。
日本においても、公益社団法人日本マーケティング協会では2017年に「CMOソサエティ」という組織を発足させ、CMOという役職を産業界に広く浸透させるべく、活動しています。前述した「ビジネスモデル革新について」では、日本の時価総額上位300社において、CMOを設置している企業は、2014年の時点では全体のわずか0.3%であるのに対し、2018年には12%まで上昇しています。この傾向はこれからも続き、CMOの役割はますます重視されていくものと思われます。

もし、マーケティング職として働くならば、ご自身もCMOを目指してはいかがでしょうか。

マーケティング職の将来性と求人傾向

マーケティング職に就けたとしても将来性に欠けていては不安が残ります。ここでは、マーケティング職の将来性や現在の環境、就職、転職について見ていきましょう。

デジタルマーケティングが不可欠に

これまでのマーケティング職は、プロモーションに特化した業務が主でしたが、IT化の進展により、マーケティングを取り巻く状況も変わり始めています。
多くの企業がWEBサイトを、マーケティングに活用するようになりました。検索エンジンの機能が進化し、データ分析ツールも様々なものが開発されました。また、スマートフォンの普及に伴い、消費者にSNSが活発に利用されるようになると、膨大な顧客情報を集めて分析し、より細かく顧客ニーズを把握できるようになりました。このような分析結果をもとに、顧客の好みや購買までの行動を予測し、商品開発、営業、プロモーションなどに反映させる技術を、「デジタルマーケティング」と呼びます。多くの企業がこのデジタルマーケティングの重要さに気づきはじめ、本格的に取り組むようになりました。
今後、デジタルマーケティングのスキルを持つことは、マーケティング業界に就職する場合、重要かもしれません。

マーケティング職は就職・転職しやすい?

マーケティング職は、転職市場においてどのような求人傾向があるのでしょうか。Indeedにおいて、「マーケティング」というキーワードで検索すると、9万7,000件以上の求人が表示されました。それぞれの求人内容を見ていくと、「WEBマーケティング」や「デジタルマーケティング」のスキルの需要が高いことがわかります。
マーケティング職への転職、就職をご希望の方は、Indeedで仕事を探してみてはいかがでしょう。

※平均年収および求人検索件数は、Indeed調べ(2020年3月現在)

【まとめ】
今回は、マーケティングの仕事がどのようなものか、またどんなスキルが必要か、収入事情と求人状況について、詳しく解説しました。マーケティングの仕事は、市場調査に始まり、商品開発、営業、プロモーションなど、多岐に渡ります。IT化が進んだ結果、デジタルマーケティングなど、マーケティングに求められるスキルも多様化しています。これからのキャリアプランを練りながら、求人サイトを積極的に活用して、転職・就職を有利に導きましょう。