社会保険労務士になるには

著者Indeed キャリアガイド編集部

更新:2021年7月19日

投稿:2020年8月25日

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企業において「ヒト」に関する法律の専門家であり、各種書類の作成や手続き代行、アドバイスをするのが社会保険労務士(社労士)です。

従業員の雇用から退職までに関わり、企業と従業員の円滑な関係のために重要な役割を果たす存在です。そして、ヒトの働き方が多様化する中で、社労士の果たす役割はさらに大きくなっているとも言われています。

社労士の仕事内容、資格取得から登録まで、収入、募集案件の傾向まで解説します。

社会保険労務士とは

社労士という言葉は聞いたことはあっても、その中身は知っていそうで知りません。まずは、社労士の概要と、行政書士との違いも交えてご紹介します。

社会保険労務士法に基づいた国家資格者のこと

社労士は企業の成長に欠かせない、「ヒト」に関する専門家です。社会保険労務士法に基づいた国家資格であり、厚生労働省が管轄しています。

労働に関する様々な法律に精通し、役所に提出する書類の作成や、雇用に関するアドバイス、労務に関する指導、就業規則や雇用契約書の作成、年金に関する相談への対応など、人事や労務に関する幅広い業務を行います。

人が企業の中で安心して働けるように、そして、企業が円滑に活動できるようにする重要な仕事です。

社会保険労務士と行政書士の違い

ところで、社会保険労務士と似た士業に行政書士があります。どちらも国家資格の士業ですが、以下のような違いがあります。

■社会保険労務士

社労士は企業の人事に必要な法律の専門家です。おもに社会保険や年金、労働に関する書類作成や提出代行業務、コンサルティングなどを行います。社会保険や、労働者の権利を保障する制度全般についての知識が必要です。

■行政書士

おもに官公署に提出・手続きをする書類を作成するのが仕事です。営業許可や建設許可などの申請のための書類、遺言書、内容証明などの作成を行います。

つまり、行政機関に提出する書類の作成を専門とする行政書士に対し、企業の労務関係を幅広くカバーするのが社労士となります。

社会保険労務士の仕事

「ヒト」にまつわる業務を行う社労士ですが、その業務の中身はどのようなものでしょうか。より具体的な業務内容と働き方について見ていきます。

社会保険労務士の主な仕事内容

社労士は企業における労務・社会保険のエキスパートですが、実際の業務には以下のようなものがあります。

・書類等の作成代行・提出代行

雇用保険、健康保険、厚生年金などについて、労働基準監督署へ提出する書類の作成などを行います。また、提出する書類の申請代行を行います。

・労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等

人事、労務に関する相談やコンサルティング業務などを行います。パワハラや賃金の相談にものります。

・年金相談

地域の年金相談センターなどで、年金制度に関する相談に応じます。

・紛争解決手続代理業務

解雇や雇止め、いじめ、会社所有物の破損への損害賠償などの紛争について、あっせんや調停、仲裁などの手続きをして解決します。
※特定社会保険労務士だけが行うことができます。特定社会保険労務士になるには社会保険労務士連合会に登録後に、年1回実施される特別研修を受講し「紛争解決手続代理業務試験」に合格するとなることができます。

社会保険労務士の働き方

社労士の働き方には、大きく分けて2つあります。

一つが企業の人事や総務に勤めて資格を生かす方法です(勤務社労士)。現在、働き方改革や人手不足などの課題もある中、人事・労務に関するエキスパートとして活躍します。

企業によっては資格取得の費用を出して、社員に社労士の資格取得を推奨している場合もあります。社労士の資格を取得すると手当がつく企業もあります。

もう一つが独立して開業する方法です(開業社労士)。企業から依頼を受けて顧問としてコンサルティングを行います。複数のクライアントを持てば収入も安定します。自分自身の力で収入をアップさせられるのがメリットです。ただし、営業力がなければ、勤務時代よりも収入が下がるおそれもあります。

社会保険労務士になるには

企業内で働くだけではなく独立の道もある社労士ですが、資格を取得するにはどのような手順を踏めばいいのでしょうか。実は試験に合格するだけではなく、その先の手続きもあるので見ていきましょう。

試験の難易度と合格率

社会保険労務士になるためにはまずは資格を取得しなくてはいけません。

社会保険労務士試験は毎年1回、8月に行われています。

受験資格については学歴、実務経験、国家試験合格の3つのいずれかの基準を満たしていることが必要になります。

条件次第では学歴に関係なく受験することができます。また、年齢制限は設けられていません。

社労士の試験は以下が試験の出題範囲となります。

  • 労働基準法

  • 労働安全衛生法

  • 労働者災害補償保険法

  • 労働保険(労災保険・雇用保険)徴収等

  • 雇用保険法

  • 労務管理その他の労働に関する一般常識

  • 社会保険に関する一般常識

  • 国民年金法

  • 健康保険法

  • 厚生年金保険法

全国社会保険労務士会連合会 試験センターによると、社労士は毎年4万人ほどが受験をしています。国家資格である八士業(弁護士・弁理士・司法書士・行政書士・税理士・土地家屋調査士・海事代理士・社労士)の試験はいずれも難易度が高いと言われていますが、社労士の2019年の合格率はわずか6.6%。合格率が11.5%の行政書士と比べても、難易度はかなり高くなっています。

資格取得から登録までの流れ

次に社労士として働くための、登録申請の流れをご紹介します。

まず、社労士の試験に合格するとともに、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験を積みます。

実務経験が2年未満の場合は連合会が実施する事務指定講習の修了が必要となります。

次に入会予定の社労士会に登録申請書類を提出します。都道府県社会保険労務士会、次いで全国社会保険労務士会連合会で審査が行われます。

そして、登録完了となります。

社会保険労務士は独学で合格できる?

社会保険労務士を目指すには、独学で勉強する方法があります。

デメリットとしては、自分だけで勉強の時間をコントロールするのはとても難しいという点が挙げられます。ちなみに、受験勉強には800~1,000時間は欲しいと言われています。

また、社労士試験で学ぶ必要のある法律は幅広く、個人では最新の法改正を追いきれない可能性もあります。出題傾向の分析や合格に向けてのコツも、個人で知ることは難しいかもしれません。 

しかし、独学ならばかかる費用は参考書程度で済みます。また、自分のペースで勉強ができるので、現在働きながら資格を取得したいという人に適しているかもしれません。

独学ならば2年、3年と長い目で見ながら準備を進めるのが良いのではないでしょうか。社労士試験は8月にあるので、そこから逆算して、1年目は基礎をみっちりと学び、2年目は実践的に試験問題を解くといった感じで、計画的に進めるのがおすすめです。

社会保険労務士の年収・給与

難しい試験を合格して取得できる社会保険労務士の資格ですが、収入はどのようなものでしょうか。また、ほかの士業と比べた場合、収入に差はあるのでしょうか。

社会保険労務士の収入の目安

Indeed(インディード)で検索可能なデータによれば、勤務社労士の年収の目安は458万円となっています。ほかの士業としては行政書士が477万円、弁護士767万円、司法書士407万円、税理士590万円、土地家屋調査士396万円。弁護士や税理士に比べると安く、司法書士や土地家屋調査士と比べると高くなっています。行政書士とはほぼ同じといった感じです。

一方、開業社労士の場合には顧問をしている企業の数や業務内容により収入が大きく異なるので、一概には言えません。1,000万円を超える場合もあれば、200万円を下回る社労士もいます。

そんな開業社労士の場合、以下の資格を併せ持っていると業務の幅が広がり収入が安定しやすくなるとされています。

・行政書士

補助金申請や名義変更など役所に申請する書類を作成するのが行政書士です。社労士として人事や労務に関する手続きをするとともに、行政書士として会社の様々な手続き業務を引き受けられるようになれば、企業からより頼りにしてもらうことができます。

・ファイナンシャルプランナー(FP)

クライアントの貯蓄や保険など、お金にまつわるコンサルティングをするのがファイナンシャルプランナーです。公的な保険や年金を扱う社労士の業務にプラスして、FPとして民間保険の相談にものることで、顧客のライフプランについて丸ごとアドバイスすることができます。

・中小企業診断士

経営戦略や業務の診断を行い、企業にアドバイスをするのが中小企業診断士です。中小企業診断士としてコンサルティングを行い、社労士の資格を使って実務的な手続きを行うことができます。

・キャリアコンサルタント

現在、勤務中の人や、これからキャリアを形成していきたい人をサポートするのがキャリアコンサルタントです。企業の人材育成にもアドバイスを行います。社労士としての人事・労務に関するコンサルタント業務を強化したいときにうってつけです。

社会保険労務士の将来性と就職状況

働き方の多様化などの時代性も反映し、社労士はますます必要とされていると言われています。今後、どのような社労士が企業に求められるのでしょうか。

コンサルティング業務をこなせる社労士が求められている

多様化する労働問題に対応できる人材が必要だと考えられます。人材の募集や社員のための制度改革などについて、コンサルティング業務ができると、より仕事の幅が広がるのではないでしょうか。

独立する場合にはコンサルティング能力のほか、クライアントを獲得するための営業力が必要でしょう。

Indeed で検索可能なデータによれば、全国での求人件数は6,221件です。社会保険労務士の事務所のほか、一般企業での募集もあり、なかには社会保険労務士資格取得の補助がある企業もあります。

地域では東京都が1,849件、北海道が183件、愛知県475件、大阪府558件、福岡県214件となっています。当然、企業の多い地域で社労士の募集も増える傾向となっています。

※平均年収及び求人検索件数は、求人検索エンジン Indeed において検索可能なデータより抜粋(2020年3月現在)

まとめ

企業の労務や社会保険に関する業務を行う国家資格の社労士は、勤務社労士として働くほか、営業力があれば独立開業する道もあります。円滑で安心のできる労使関係になくてはならない仕事で、今後も需要が見込まれます。企業によっては社労士の資格取得の支援を行っているところもあります。気になる人は、Indeed で検索してみてはいかがでしょうか。

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