出版業界の市場規模は衰退する?業界動向と就職事情や将来性について
著者Indeed キャリアガイド編集部
投稿:2022年5月10日
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「本や雑誌を読むのが好き」「人に影響を与える仕事がしたい」などの理由で出版業界を目指す人もいるかと思います。しかし、出版業界にはどのような職種があるのか、実はよく知らない人も多いのではないでしょうか。出版業界の概要から、目まぐるしく変わるメディアを取り巻く環境、将来性、就職に必要な条件を見ていきます。
出版業界への就活事情について
出版業界とは主に書籍や雑誌、ガイドブック、MOOK、電子媒体などを制作して世に送り出す業界です。一口に出版業界といってもコンテンツを制作する編集プロダクション、企画から出版までを行う出版社、流通を行う出版取次、販売を行う書店やネット書店などさまざまな会社があります。
近年、出版業界を取り巻く変化として特に気になるのが、インターネットやデジタル書籍など電子媒体の普及によって、紙媒体の市場規模が減少している点です。電子媒体の登場により出版業界がどう変わったか、具体的に見ていきましょう。
出版業界の市場規模と現状
書籍や雑誌の発行部数は年々減少傾向にあります。
その大きな要因がインターネットなどのデジタル媒体の存在です。多くの人がスマホやタブレットなどで情報を得る時代となり、雑誌や書籍など紙媒体への接触時間が減り、出版物が売れにくくなったと言われています。インターネット上には無料の情報があふれており、無料で読めるコンテンツが数多くあることも、出版業界を圧迫する一因と考えられています。
公益社団法人全国出版協会の出版科学研究所が発表した『2021出版指標年表』によると、雑誌や書籍など紙媒体の出版物の売り上げは1996年をピークに、年々減少の一途をたどっています。ただし、電子書籍の売上は年々伸び、出版物全体の売り上げは2019年頃から回復傾向に転じています。
また、書籍や雑誌と、アニメやテレビ、ゲーム、映画などメディアをまたいだ展開でヒットコンテンツを生み出すクロスメディアや、電子媒体の定期購読なども、売上を底上げしている要因と考えられます。
インターネットでの販売が伸びている一方で、書店の店舗数は年々減少が続いています。
出版業界の将来性
紙媒体が年々売上を落とす一方で電子媒体の売上が急伸しています。業界全体の売上は下り坂でしたが、数年前にコミックスの爆発的なヒット作が生まれたことで、紙媒体と電子媒体を足した出版市場が2019年、2020年と2年連続で前の年を上回るなど、明るい材料もあります。しかし、長期的な発展には、電子媒体を含む新しいメディア展開へと、さらに挑戦し続ける姿勢が大切です。
書籍やコミックがドラマや映画の原作となり大きなヒット作が生まれたり、コロナ禍での巣ごもり需要が増えると児童書や文芸書などの売上が好調になったりと、さまざまな要因を受けて売上増に転じることもあります。
また、発行された書籍や雑誌などを書店に配布していた従来の出版取次各社や書店も、インターネット書店などの運営に乗り出すことで、活路を見出し始めています。
出版社の採用状況
今も昔も、出版社への就職は狭き門とされています。たとえば小学館の2021年の採用実績は男女合わせて11人と、採用自体が少ない点も競争率を上げています。そのため、出版社に入社するには、しっかりと会社研究を行うとともに、早い段階で対策を練っていく必要があります。
出版業界の職種と業務について
一口に出版業界といってもさまざまな職種の人が働いています。一般的な出版社の場合、以下のような職種があります。
企画、編集
出版社の花形の職種が企画、編集を担当する編集者です。ヒット作を目指してさまざまな出版物の企画を考え、編集作業を行います。大手出版社の場合、実際の編集作業は編集プロダクションやフリーランスの編集者に外注するのが多く、デジタルコンテンツでも作業の流れは同様です。
デジタルコンテンツ担当
電子書籍、電子コミック、雑誌電子版の企画、制作、編集、配信、プロモーションや、電子書店の運営などデジタルコンテンツビジネス全般に関連する業務を行います。
版権担当
出版物に関する権利を管理する部門です。作品のアニメ化、ドラマ化などの契約や金銭的な管理を行います。
広告営業、書店営業
広告営業は出版物に入れる広告を取り扱います。出版物では広告収入が大きな利益を生むため重要な職種です。書店営業は取次や書店を対象として活動していましたが、コンテンツのデジタル化に合わせ、IT系企業やWeb系メディアなど、新しい市場開拓を行っています。
広告、宣伝
広告、宣伝は自社の出版物を買ってもらえるように広く周知する仕事です。
制作
制作は印刷に使う紙の選定から印刷、製本までの進行管理を担当します。
事務、管理部門
経理、総務、法務、人事など社内の管理業務を担います。
出版業界に就職するために必要な資格やスキル
出版社に正社員として入社を希望する場合は、多くの企業で4年制大学卒以上が条件となっています(一部で短大以上)。ただし、契約社員や委託契約などで、学歴に関係なく出版社で働く人もいます。
4年制大学以上の学歴があっても、出版社への入社は競争率が高く、難易度も高いですが、契約社員や委託契約として働いて実力を付けたあと、正社員となる人も少数ながらいます。
また、編集プロダクションは出版社に比べると、新卒採用の間口が広いため、まずは編集プロダクションで編集のスキルを磨き、出版社へと転職する人もいます。
必須の資格は特にありませんが、個性を感じさせる資格を持っていると、採用担当者に興味を持ってもらえ、就職につながる可能性はあります。
また、お金の雑誌を担当したいのであればファイナンシャルプランナー関連の資格、学術書の編集をしたければ教員免許など、業務に直接関連した資格を持っていると採用の際に有利になることもあります。
取次や書店については、電子メディアへのシフト傾向があるなかで、出版社同様、新しいことにチャレンジできる人であればチャンスがありそうです。
まとめ
出版業界には出版社をはじめ編集プロダクションや取次、書店など多くの関連企業があります。紙媒体の売上が減少する一方で、コンテンツのデジタル化や、デジタルコンテンツとのクロスメディアなど、新しい試みも盛んで、出版業界は今後も文化や情報流通において大きな役割を果たすと考えられています。
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