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考古学者になりたい人のための徹底ガイド

考古学とは、過去に生きた人々の文化に対する理解を深めるために、遺跡や遺物などの人工遺物を研究する学問です。考古学では、数世紀前から数千年前に至るまでのあらゆる文明を研究対象としています。考古学者は今まで、人類の歴史におけるいくつもの重要な発見をしてきました。考古学者としてのキャリアを追求することは、こうした発見に立ち会える可能性があることを意味します。この記事では、考古学者はどうやったらなれるのか、どこでどのような仕事をするのか、そして平均的な給与などもご紹介します。

考古学者とは

考古学者は、過去の文献や人工遺物の研究を通して専門知識を獲得する、歴史の専門家です。発掘調査を行うべき場所の特定とその後の発掘作業だけでなく、発掘調査中に発見したあらゆる人工遺物の解明にも考古学者の力が必要となります。そこで得られた情報に既存の知識や史料を当てはめて、人工遺物の年代を特定します。

考古学者の仕事内容

考古学者は多くの場合、発掘現場の責任者であると同時に、専門的な学術領域における責任も負います。考古学者の一般的な仕事内容には、次のようなものがあります。

  • 航空写真や地理調査データ、史料を評価して発掘調査すべき場所を特定する
  • 人工遺物の発掘を監督および記録して、記録の正確性を維持しつつ、発掘中の損傷や破損の可能性を減らす
  • 発掘された人工遺物を特定して、分析や年代測定を行う
  • コンピューターを使って発掘場所の解析やシミュレーションを行い、過去の建造物や文明の復元サンプルを作成する
  • 発掘と人工遺物の記録および分析の両方で作業員を指揮する
  • データをデータベースにまとめて分析を行い、研究対象の地域や文化についての理解を深める
  • 発見事項に関する報告書や学術論文、プレゼンテーションを作成し、情報を共有する
  • 開発事業者の開発許可申請書を評価し、提案されている建設事業によって価値ある遺跡が破壊されないことを確認する
  • 分析データに基づき科学的な仮説を立て、発掘調査やその後の研究と分析を通してそうした理論を検証する
  • 調査の地域と期間について他の専門家の意見を聞き、調整を行って評価や予測の精度を向上する
  • 博物館や学校で働き、歴史的な事柄や文化に関する教育を提供する

考古学者の平均給与

一般的に、考古学者はフルタイムでの雇用となります。日本における考古学者の平均給与はこちらを参照ください。年収は、就職先や仕事内容、経験に応じて年間300万から370万円までの幅があります。

考古学者の就職先

考古学者として働く場合は、就職先を探す際にいくつかの選択肢があります。たとえば、次のような働き方が考えられます。

発掘現場で働き、発掘の監督と作業に携わる

発掘現場は世界中の至るところに点在しているため、長距離の移動と発掘調査中の長期滞在が必要になる可能性があります。

大学で考古学の教授として働く

この場合、個人または共同の研究室での通常の勤務時間に加えて、学生に対して講義を行う時間があるはずです。考古学の教授は、フルタイムの教育者であり、フルタイムの考古学者でもあるといえるでしょう。また、非常勤として講義を受け持つこともあります。

研究所で働き、修復された人工遺物の分析に携わる

研究所で働く場合、機械を使って修復された人工遺物を詳しく評価し、有用な情報を得るためにそれらを入念に調査する仕事があります。

博物館で働き、収蔵品の検証と分析に携わる

博物館に雇用される考古学者は、展示の構想や展示物の説明、来館者向けツアーやプレゼンテーションの原稿作成に力を貸すような仕事にも携わることがあります。

規制当局や民間企業のオフィスで働く

一般に考古学者は、歴史的な人工遺物に崩壊の危険性がある場合に、候補に挙がった発掘現場の予備調査を求められます。現地に出向いて調査を行うほかにも、過去や現代のあらゆる史料を調べて、崩壊の可能性があるかどうかや、現場の建設事業前に発掘を必要とする重要な人工遺物が埋まっている可能性がないかどうかを判断します。

考古学者になるには

考古学者になるには、最低限の要件が求められます。考古学の仕事に関心がある場合にやるべきことには、次のようなものがあります。

  1. 四年制大学を卒業する。
  2. 発掘調査に参加する。
  3. 大学院で修士号や博士号を取得する。
  4. 考古学協会への入会を検討する。
  5. 履歴書を作成する。

1. 四年制大学を卒業する

考古学に関わるほぼすべての仕事では、四年制大学で考古学または類似の研究分野(人類学、歴史学、言語学など)で専攻し、卒業していることが、応募の最低条件となっています。在学中は、歴史的な人工遺物の評価を専門的に行うために必要なスキルを身に付け、人工遺物を傷つけないよう安全に発掘調査に参加する方法を学んでください。このような教育を受けることは、ちょっとした失敗が歴史的に価値のある情報や遺物の喪失を招きかねない、考古学プロジェクトの仕事を安心して任せてもらうためにも重要です。

2. 発掘調査に参加する

考古学の理論が楽しいからというだけで、肉体的にきつい作業でも興味を失わない保証はありません。そのため、在学中にはインターンシップやフェローシップなどのプログラムを通して、実際に発掘調査に参加してみることをおすすめします。これにより、監督される立場で貴重な経験を積むことができるほか、この分野に対する適性を判断して、自分に合ったキャリアが選択できているかを確認できます。

3. 大学院で修士号や博士号を取得する

四年制大学の関連学部を卒業していれば、考古学分野で新卒レベルの仕事を見つけられる可能性があるものの、考古学者のほとんどはそのまま大学院に進み、修士号または博士号の取得を目指します。研究を通してその分野の理解を一層深めることができるため、専門家としての能力が高まります。大学院の学位は、考古学者が働くさまざまな分野でキャリアアップの要件となっていることが多いため、必須ではないものの取得が望ましい要件となっています。

4. 考古学協会への入会を検討する

考古学分野の求人は競争率が高くなる傾向にあるため、他の応募者にない強みがあれば採用において有利になります。自国の協会や国際交流協会に加入して、真剣に取り組む姿勢や自分の価値を求人の応募先にアピールしてください。米国で定評のある考古学協会には次のようなものがあります。

Archeological Institute of America(AIA、アメリカ考古学研究所)

1879年に設立されたAIAは、世界で最古かつ最大の考古学協会です。1906年に米国議会から正式に認められ、米国やカナダ、その他諸外国の100を超える地域を管理しています。地元地域の学会に参加して、考古学研究に携わる身近な学者とつながりを持つことは、人脈作りや研究の共有、スキルの向上に役立ちます。

Society for American Archaeology(SAA、アメリカ考古学協会)

SAAは、考古学の専門家と一般の人々の両方の考古学研究の促進に取り組む組織です。考古学者の権利を守るための支援およびロビー活動団体として機能するほか、考古学者が情報を共有し、その分野の専門家から知識を学んで専門性を高めることのできる、年次総会を開催しています。

協会とのつながりを持つことで、就労の機会が広がると同時に、そこで得た情報によってキャリアアップの準備もしっかりと整えられるようになります。

5. 履歴書を作成する

専門家としての履歴書は、優れた適格性を求人の応募先の採用担当者に強く印象付けることができます。応募者が何人もいる場合には、最初の選考での合否の判断材料が履歴書のみになることがあります。

職務経験を書く際には、考古学関係で、働きたいと考えている特定分野に関連のある職務に重点を置いてください。たとえば、考古学の教授の仕事に応募する場合には、発掘現場で働いていたことよりも、教員助手としての経験のほうが重要になります。

考古学者に求められるスキル

考古学者には、技術的なスキルと対人スキルの両方が必要です。考古学の知識を活かす仕事の分野によっては、求められるスキルの比重が技術寄りになったり、他者との関係構築やコミュニケーション能力寄りになる可能性があります。考古学者として身に付けておきたい重要なスキルは次のとおりです。

体力

発掘現場で働く際には、しゃがんだ状態や不安定な足場で発掘などの作業を行うだけの身軽さが必要になると考えられます。発掘現場によっては、現場に到達するために、整地されていない、草木が茂った地形に沿って歩かなければならないこともあります。肉体労働を長時間行うための持久力も必要です。

細部への注意

発掘現場で、人工遺物を慎重に探して掘り出す場合にも、掘り出した人工遺物を研究所で分析して分類する場合にも、考古学者は常に細心の注意を払わなければなりません。どのような些細なことであっても一切見落とさない注意力は、この分野で成果を出すために不可欠です。

コミュニケーション

他者と的確に意思の疎通ができる能力も考古学者として重要です。これは教育現場で働く場合に特に当てはまりますが、発掘調査で全員が正しい手順に必ず従うためや、評価を任せられた際に関係者に分析結果を正確に伝えるためにも、コミュニケーション能力は欠かせません。

歴史に関する知識

考古学者が専門的な作業に従事する際は、人類の文明史に関する深い造詣が頼りになります。この知識は、人工遺物の特定だけでなく、正確に年代を見出して、それがどういったもので、どのような使われ方をしたのかを正確に判断するためにも使われます。歴史的背景に対する理解が深い考古学者ほど、こうした評価を行うのにふさわしいといえるでしょう。

探究心

考古学は新たな発見によって発展していく分野であるため、わからないものについて自発的に調査を行い、情報を探し求めようとする姿勢を持つことが、考古学者としての成功につながります。探究心を持っていると、常に仕事を楽しむことができ、最善の成果を得るために細心の注意を払うことも容易になります。

リーダーシップ

考古学者は、発掘調査の指揮、研究グループの管理、博物館展示物の監督など、さまざまな場面でリーダーを務めることがあります。リーダーシップスキルを活かすことで、作業者が実力を発揮できるように支援し、作業チーム全体の仕事を効率よく進めることができます。

チームワーク

考古学者は、屋外の現場や研究所、オフィスなど、場所を問わず定期的に他の人と共同で作業することが求められます。チームとして円滑に働ける性格であることは、考古学者として成果を出すために大切です。

技術的なスキル

現在では、考古学者の仕事のほとんどで、コンピューターなどのテクノロジー機器を使用する必要があります。デジタル機器の台頭により、考古学者の仕事における多くの作業が大幅に効率よく行えるようになりました。できる限り作業効率を高めるためにも、こうしたテクノロジーを効果的に使う能力は必須です。

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