年収とは?給与収入の意味や手取り、所得との違いを解説

更新:2023年7月20日

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仕事をして得られるお金を指す言葉には、年収、手取り、所得などさまざまな表現がありますが、それぞれの違いをきちんと把握していない方もいるのではないでしょうか。

「年収」は、転職活動や入社時に必要となる重要な情報です。正しく理解しておきましょう。

本記事では、年収の意味、手取りや所得、年俸や額面など似た言葉との違いを解説します。

年収とは?

「年収」とは、総支給額のことで、1月1日~12月31日の1年間で会社から支払われた給与や各種手当、時間外手当などの税金が引かれる前の金額を指します。

一般的には、通勤手当など一部の手当や祝い金など非課税となるものは含めず、「税込年収」や「額面年収」と呼ぶこともあります。

転職活動や面接の場面で、年収を聞かれた場合は、年収から社会保険料などを差し引いた金額「手取り」ではなく、総支給総額となる年収を答えましょう。

また、家賃や食費などの支出や貯蓄、資産形成などを考えるうえで、「1年間の総収入」である年収の把握は欠かせません。

「世帯収入」は、同一の生計を立てる世帯全員の年収を合計したものです。夫婦共働きであれば、それぞれの収入を合わせた金額が世帯年収となりますし、子どもが学生でも、アルバイトなどで収入を得ていればその金額も合計します。

なお、会社からあなたに支払われるお金には毎月の給与以外にボーナスなどもありますが、年収を計算する際は給与だけでなくボーナスも含めて考えます。

たとえば、毎月の給与総支給額が25万円でボーナスが夏と冬それぞれ50万円ずつだとすると、年収は(25万円×12)+(50万円×2)=400万円です。

手取りや所得との違いは?

会社から支払われる給与や収入について、「年収」以外に「手取り」や「所得」、「年俸」、「額面」という言葉を用いることもあります。

手取りとの違い

手取りとは「手に取る」、つまり実際に手元に入ってくる金額です。

会社から支払われるお金は、すべてがあなたの手元に入るわけではありません。総支給額から主に以下の税金や保険料が差し引かれた金額が「手取り」となります。

  • 健康保険料

  • 厚生年金保険料

  • 雇用保険料

  • 介護保険料(40歳以上65歳未満)

  • 所得税・住民税

そのため、「会社が支払った金額≠あなたが受け取る金額」であり、違いを区別するために前者を額面収入、後者を手取り収入と呼んでいます。

所得との違い

所得とは「自分の所に得る」「利益」「もうけ」、一般的には年収からそれを得るために必要な経費を差し引いた残りの金額です。

なお、会社員には、自営業者やフリーランスのような「経費」の概念はありません。経費に代わるものとして「給与所得控除」が認められており、年収から給与所得控除を引いた残りの金額が所得となります。

年俸との違い

あらかじめ決められた年俸額が支払われる給与形態を「年俸制」と言います。

年収が1年間に支払われた総支給額を指すのに対し、年俸は「1年単位で定められる給与」です。年収とは違い、事前に年間の給与額が決まります。

年齢や勤続年数を踏まえて決定されることが多い月給制に対し、年俸制は前年の成績や評価をもとに決められるのが一般的です。

額面との違い

額面年収は、年収と同様に税金や社会保険料が引かれる前の総支給額を指します。つまり、基本給に時間外手当や住宅手当などを加えた金額です。

実際に手元に入ってくる手取りとは異なるため、ご注意ください。

年収を確認する方法

     年収は、主に以下の書類で確認できます。

  • 源泉徴収票

  • 給与明細

  • 所得証明書

源泉徴収票

源泉徴収票は、年収や所得、控除などが記載されている書類です。

年収は、「支払金額」の欄で確認できます。また、支払金額から源泉徴収額や社会保険料などの金額、住民税額を差し引けば、手取り収入も把握できます。毎年12月ごろに会社から交付されるので、大切に保管しましょう。

給与明細書

給与明細書は、支給額や控除額が記載されている書類です。給与が支払われる際に、会社から紙やデータで交付されます。

給与明細書に記載された1か月の総支給額と賞与明細書の総支給額を合計すれば、年収の把握が可能です。

所得証明書

所得証明書は、市区町村で発行される前年の収入や所得内容が記載された書類です。総支給額が知りたいときは、「所得金額」ではなく「収入金額」の欄を確認しましょう。

所得証明書が必要なときは、お住まいの市区町村に請求すれば発行が可能です。窓口や郵便で請求できますが、市区町村によって異なるのでご確認ください。なお、発行には数百円の手数料がかかります。

転職活動時の年収表示の金額や注意点

転職活動を行う際、転職後の年収がいくらになるかは重要なチェックポイントです。

求人情報に記載されている「給与」は、多くの場合「年収」または「月給(基本給+変動しない手当)」のいずれかです。

「手取り」ではなく、税金や社会保険料が引かれる前の「額面」での金額が記載されている点にご注意ください。

求人情報に記載されている給与(額面)が、今の職場でもらっている給与(手取り)よりも高い場合、転職によって収入を増やせると考えてしまいがちです。

しかし、額面から社会保険料や税金が差し引かれることを考えると、転職した結果、手取り収入が下がってしまう可能性も考えられます。

また、転職時の面接で給与の交渉を行う場合、先方と自分の考えている「給与」についての認識を事前にすり合わせておく必要があります。

先方は「額面での給与」、自分は「手取りでの給与」をベースとして話していると、認識のズレが生じてしまい、転職後に想定していた収入よりも少なくなるかもしれません。

手取り額の計算方法

手取り額を計算する際には、総支給額から各種控除額の総額を差し引きます。手取り額の目安は額面給与の約8割となるでしょう。手取り額の詳しい計算方法については、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:給与と手取りの違いは?手取り額の計算方法も解説

まとめ

収入には、年収や手取り、額面などのさまざまな表現があり、混同してしまうことがあります。
しかし、それぞれの意味をきちんと把握しておかなければ、収入をもとにした生計をうまく立てられません。また、転職活動で不利な選択を行ってしまう可能性もあります。

収入に見合った生活を送るためにも、そして納得のいく転職活動を行うためにも、それぞれの意味や関係性を今一度確認しておきましょう。


監修
羽場 康高(はば やすたか)
社会保険労務士、1級FP技能士、簿記2級。
現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

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