退職面談の目的は?よく聞かれる8つの質問や回答例を紹介

更新:2022年9月2日

多くの企業では、従業員が自社を離れる直前に、退職の理由についての情報を集めることを目的として、退職面談を実施します。退職面談は、会社が現状を改善できるように、さまざまな提案やフィードバックをするためのチャンスとなります。この記事では、退職面談でよく聞かれる質問と、効果的な回答を準備する際のポイントをご紹介します。

企業が退職面談を実施する理由

企業が退職面談を実施する目的は、退職する従業員から職務内容や上司、部署などについての意見を聞くことにあります。退職面談は、退職者とその会社の担当者(多くの場合は人事担当者)の間で行われ、退職者にとっては、仕事に対する満足度を説明したり、その会社の方針や方向性に対する意見を伝えたりするための場となります。

退職面談でよく聞かれる質問と回答例

次に、退職面談でよく聞かれる質問とその回答例を紹介していきます。異業種に転職する、キャリアアップを目指す、今の仕事に不満があるなど、退職の理由が何であれ、社会人としてふさわしい態度で客観的かつ丁寧に回答するのが賢明です。

退職の理由や退職を決意したきっかけは何ですか?

この質問は、退職の理由が引き抜きを受けたからなのか、または個人的な事情なのかを判断するために聞かれることがあります。この質問に答える際は、理由を正直に伝えつつ、失礼にならないよう意識しましょう。また、次の仕事で手に入れたいスキルや経験がある場合は、それについても説明します。

回答例:「この会社で働くことが本当に好きで、これまでさまざまなことを学ばせていただきました。しかし、私がこの仕事でできることはやり尽くしたので、別の仕事に移らなければならないと感じております。この仕事を通じていろいろなスキルを磨き、多くの経験を積ませていただきましたが、そろそろ次の道に進むべきではないかと考えております。この仕事で手に入れた貴重な経験を活かして、今後はさらに経験を積み、スキルを磨いていきたいと思います」

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上司や経営陣についてはどう思いますか、また今後の改善につながる意見や提案などはありますか?

この質問は、現在の職務や役職に対する自分の考えを上司や会社に理解してもらうチャンスとなります。自分の意見を伝える際は、客観的で公平な内容になるよう意識しましょう。現状の改善につながる内容に重点を置きつつ、具体的かつ前向きに意見や提案を伝えることが重要です。

回答例:「経営陣の皆さんのご指導については、基本的に満足しておりますが、改善できる部分もあります。たとえば、私にどんな業務を割り振ればよいのかについて、経営陣の皆さんが見落とされていることがあり、私としては意欲の低下を感じておりました。新入社員が入ってきたら、最初から裁量を与えるようにすれば、事業にとってプラスになるような革新的で斬新なアイデアが生まれやすくなるはずです。これはただの指示待ちよりも有効な方法だと思います」

仕事にやりがいを感じたことはありましたか?

この質問は、今の会社で経験した有意義な時間について説明するのにちょうどよい機会となります。退職の理由が何であれ、今の仕事に関して良かったところを伝えましょう。自分の判断が正しかったかどうかは誰もが知りたいと思うものですが、それは上司も同じです。

回答例:「はい。最後のプロジェクトでは、想定よりも時間がかかったものの、お客様が完成度の高さに満足してくださったので、このチームで働けてよかったと感じました」

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トレーニングは十分かつ適切だったと思いますか?

企業は自社の従業員が仕事に対する不安を感じないようにしたいと考えているので、自分の経験を率直に伝えれば、参考にしてもらうことができます。トレーニングを受けた後も不安が解消されなかった場合や、トレーニングの内容が十分でなかった場合は、それを会社に伝えると共に、これから入社してくる従業員が不安を感じることがないように、改善につながる実践的なアイデアを提供しましょう。

回答例:「新入社員のためにやるべきことは、新入社員が自分の仕事を理解できるよう支援することと、その仕事に必要なツールを提供することです。私の場合、仕事を無事に終わらせるためのリソースが整っているとは思えないこともあったので、研修の機会を増やし、内容を充実させれば、新入社員が仕事をしやすくなると思います。新入社員が会社の期待に応えられるような状況を十分に整えるには、新入社員だけでなく、既存の従業員も業務を全力で遂行できるように、研修や振り返りの機会を増やした方が良いかもしれません」

この会社はあなたのキャリア目標の達成を支援していると思いますか、またはそう感じたことはありますか?

この質問に答える際は、会社や上司が自分の期待にどれだけ応えてくれていたか、そして自分のキャリアアップをどれだけサポートしてくれていたのかについて説明します。ここで言うサポートには、トレーニングや教育などが含まれます。サポートを受けていると感じた理由や、そう感じられなかったときのことについて、自分の意見を伝えましょう。

回答例:「入社した当初、私はそれまでのキャリアを伸ばし、知識や経験を増やせることを期待していました。キャリアを通じて身につけたいと思っていたことを学ぶ機会を与えてくださったので、この会社で働くうちに十分な知識を得ることができたと感じております。今後は別の職場でさらにスキルを磨いていこうと思います」

この会社で働くことを転職活動中の人にすすめたいと思いますか?

この質問に答える際は、その会社を他の人にすすめたい(またはすすめたくない)と思う理由を率直に伝えましょう。場合によっては、その仕事の魅力が高まるような提案をするのも効果的です。

回答例:「それは人材を募集している職種や、応募者のキャリア目標によって変わってくると思います。この会社で働くことを友人や家族にすすめるとしたら、その人の求める条件が募集対象の仕事と一致している場合です。福利厚生の内容が充実すれば、さらにその仕事の魅力が上がると思います」

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転職先を決めたときの決め手は何でしたか?

この質問に対する回答からは、なぜ自分が別の企業や職種を選んだのかについてのヒントを伝えることができるので、転職することを決めた具体的な理由を説明します。たとえば、新しい職場では今の会社にはない福利厚生を利用できる、といった理由が考えられます。具体例を挙げつつ、自分の考えを正直に話しましょう。

回答例:「新しい職場では、キャリアアップにつながるトレーニングをさらに提供してもらえる予定です。各種リソースを活用して、半年以内に営業の資格を取ろうと思っています」

この会社に留まる気はありませんか?

この質問は、福利厚生やトレーニングなどの要素を増やすことで、今の仕事の魅力が上がらないかどうかを判断するために聞かれることがあります。回答の際は、自分が本当にその会社に留まりたいのか、そしてどんな要因で自分の決断が変わる可能性があるのかを検討した上で、自分の考えを包み隠さずに伝えましょう。

回答例:「この会社に長年勤めてきましたが、さまざまな貴重なスキルや学びの機会を提供していただきました。この会社で働くことは好きでしたが、新しい職場で知識やキャリアを積んでいくことを優先しなければならないと思っております。ただ、条件によっては、この会社に戻ることも検討いたします」

退職面談に向けた準備のポイント

退職面談で聞かれそうな質問への答えを考える際は、次のようなポイントに注意しましょう。

  • 客観的な内容を意識する:回答の内容は、仕事に関する話題に限定し、個々の従業員の話は避け、会社全体のことについて話すようにします。

  • 答える練習をする:友人や同僚に手伝ってもらうことも検討しましょう。

  • メモを取る:退職面談の記録を作っておくと、お互いの発言や面談で合意した内容を忘れずに済むと同時に、正確な記録が必要になった場合に備えておくことができます。

  • 表情やしぐさなど言葉以外の(ノンバーバル)コミュニケーションやボディランゲージに注意する:退職面談の前に何回か深呼吸をして、気分をリラックスさせることで、落ち着いた状態で面談に集中しやすくなります。また、できるだけオープンな姿勢を保つことで、面談の最中もリラックスできるようになります。

質問に答える練習をするなど、面談の準備をしておくことで、自信を持って回答できるようになります。退職面談は基本的に会社が自分たちのために実施するものとはいえ、有益なフィードバックを提供し、意見の相違や問題を解消するためのチャンスとなるのも間違いありません。面談中はできるだけ事実に基づく回答をするよう心がけましょう。前向きな姿勢を崩さないようにすれば、次の職場に喜んで送り出してもらえるはずです。

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