【最新】将来なくなる仕事、なくならない仕事ランキング・一覧と生き残り方

2013年と2015年、英オックスフォード大や野村総合研究所らの「近い将来に約半数の職種がなくなる」という発表は世に衝撃を与えました。ただ、その後もAI・ロボティクスなどの新技術によって雇用が取って代わられる可能性の研究が進み、異なる研究成果も現れています。この記事では、将来「なくなる仕事」「なくならない仕事」にまつわる最新の研究成果をまとめ、生き残っていくためにはどうしたらよいか考えます。
公開日:2023/01/05

AI・ロボティクスで約半数の仕事がなくなってしまう?

約半数の仕事で自動化のリスクが高い
〜2013年・英オックスフォード大、2015年・野村総合研究所ほか

2013年、仕事のおよそ半数が自動化の影響を受けるリスクが高い、という研究結果が発表されました。イギリス・オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フライ博士、マイケル・オズボーン准教授による「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」という論文です。

同論文では、アメリカの雇用全体の約47%が今後10〜20年の間に機械学習などの技術進化やロボティクス技術によって自動化されるリスクが高い、と結論づけました。自動化リスクが高い仕事は、低スキル・低賃金の仕事である傾向があり、これは次の野村総合研究所らによる研究でも同じです。なお、この場合の低スキルとは、標準化された作業や単純作業を指しています。

2015年には、野村総合研究所と同上オックスフォード大学の2人の研究者が職業ごとにコンピュータ技術による代替確率を試算しました。

結果、「日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高い」と推計されました。同レポートでは、将来においても創造性・協調性が必要な仕事、また非定型業務は代替確率が低く、人が担うことになるだろうとしています。

フライとオズボーンの研究によって示された、コンピュータ化による影響を受けるリスクの高い上位および下位の職種は以下のようなものでした。

● 自動化リスクの低い仕事(なくならない仕事、2013年オックスフォード大の研究)

順位 職種
1レクリエーション療法士
2機械工、据付工、修理工の現場監督者
3緊急事態管理ディレクター
4メンタルヘルス・薬物乱用防止ソーシャルワーカー
5聴覚機能訓練士
6作業療法士
7義肢装具士
8ヘルスケア・ソーシャルワーカー
9口腔・顎顔面外科医
10消防・防災業務従事者の現場監督者

● 自動化リスクの高い仕事(なくなる可能性の高い仕事、2013年オックスフォード大の研究)

順位 職種(日本語)
691データ入力
692図書館技師
693会計アシスタント
694写真プロセス作業員及び加工機オペレータ
695税務申告
696貨物代理店業
697時計修理業者
698保険引受業者
699数学技術者
700手芸裁縫
701権利調査員、抄録作成者、調査員
702テレマーケター

【まとめ】低スキル・低賃金の雇用はテクノロジーの進化によって代替される可能性が高い。ただし後に代替確率の計算手法について難点が指摘され、異なる研究成果も現れている。

以下は野村総合研究所らが示した、代替確率が高い(なくなる可能性が高い)職業と、代替確率が低い職業です。確率の高低による並びではないことに注意が必要です。

● 人工知能やロボット等による代替可能性が高い職業(抜粋、並びは代替可能性確率とは無関係)

一般事務員建設作業員電子部品製造工
医療事務員自動車組立工電車運転士
受付係人事係事務員道路パトロール隊員
駅務員新聞配達員バイク便配達員
会計監査係員スーパー店員ビル清掃員
学校事務員生産現場事務員貿易事務員
CADオペレーター倉庫作業員包装作業員
給食調理人測量士保険事務員
教育・研修事務員タクシー運転者ホテル客室係
銀行窓口係宅配便配達員郵便事務員
クリーニング取次店員通関士レジ係
警備員データ入力係列車清掃員
経理事務員電気通信技術者路線バス運転者

低スキル・低賃金の職は増加し、中スキルの職は減少した
〜2015年・米オーター論文

2015年、冒頭で紹介したフライとオズボーンの研究とは異なる見解を導いたのが、アメリカの労働経済学者、デビッド・オーターです。オーターの研究は、自動化技術の普及による雇用の代替可能性の研究において、もっとも有名なもののひとつです。

前述のように、フライとオズボーンは職業単位で低スキル・低賃金の仕事ほどAIやロボティクスなどに代替されるリスクが高いと考えました。これに対して、オーターは1つひとつの職(ジョブ)に対してスキル度合いを独自に計算し、スキル度合いによる職の雇用シェアの経年変化を追いました。すると、実際の市場では低スキルと高スキルの職は増加し、中スキルの職が減少していることがわかりました。むしろ、職が失われる境界は、年を経るごとに、より高スキル側に移動していたのです。これをオーターは、中スキルの労働力が高スキル側に移動した可能性があると考えました。
米労働市場におけるスキル度合いによる雇用シェアの経年変化
低スキル:増加
中スキル:減少
高スキル:増加
雇用シェアが減る境界線は高スキル側に移動

専門・技術的知識を要する職や管理職はなくなる可能性が低い
〜2022年・日JILPIT

2022年、日本のJILPIT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)による研究成果では、職の自動化確率と就業者のさまざまな属性との関係についてまとめています。

まず自動化確率の低いもの、高いものは以下のようになっていると見られています。

● 自動化確率が低いもの

  • 専門的・技術的知識を要する職業
  • 役員・正規雇用者
  • 勤務先従業員規模が大きい職場
  • 勤続年数が多い人
  • 役職が高い人 など

● 自動化確率が高いもの

  • 消費者向け産業で働く販売職・サービス職
  • 農林漁業関連職
  • 非正規雇用者
  • 自営業者・家族従業者
  • 勤務先従業員規模が小さい職場
  • 勤続年数が少ない人
  • 役職がないまたは低い人 など
また、個人の属性による自動化確率も分析されています。まず、性別と年齢による自動化確率は以下のようになっています。

性別・年齢別、自動化確率の平均
若年層では自動化確率が高い
男性は35-44歳がそこのU字型
女性は25-34歳で低くなった後に上昇、45-54歳をピークにふたたび下降
(%)
性別による違いは、男性平均44.2%、女性平均50.7%でした。つまり、男性のほうが職の自動化確率が低くなっています。

また年齢別に見ると、男性は若いうちは自動化確率が高く35〜44歳で最も低くなり、その後、再び上昇します。女性でも若いうちは自動化確率が高いことが示されています。これは、男女ともに一定の就労経験を得ると自動化確率が低くなることを示しています。

業務に必要なPCスキル別、自動化確率の平均
正規・非正規とも高スキルほど自動化確率は下降
(%)
※初級程度は「データ入力、電子メールのやり取りなど、簡単な日常業務に使う」レベル、中級程度は「ワード等による文書作成、表計算、データベース管理など」を行うレベル、上級程度は「ソフト開発やコンピュータ・ゲームの修正、JAVAなどの言語を使ったプログラミング、コンピュータ・ネットワークの管理など」を行うレベル

参考:同上JILPIT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)「自動化技術の普及による雇用の代替可能性に関する個人調査」(2022年3月)
業務に必要なPCスキルと自動化確率の関係をみると、正規・非正規にかかわらず、高いPCスキルを持つほど自動化確率が低い、という明確な相関が見られます。また、正規よりも非正規の方が自動化確率が高いことも示されました。

ほかにも、JILPITの調査では、正規より非正規の方が自動化確率が高い、学歴でいうと男性は概ね就学年数が長いほど自動化確率が低く、女性は大学院卒以外では男性ほど就学年数と自動化確率の間にわかりやすい関係性は見てとることができない。また勤続年数が長いほど正規・非正規とも概ね自動化確率が低い、自己啓発の時間が長いほど自動化確率が低いといった推計が示されています。

AI化・自動化で変わる将来を生き残るための対策

人が仕事に求める価値によって、生き残るための対策は異なる

AIなどによって雇用が代替される確率の研究は、どんな仕事を選ぶべきか、どんなスタンスで日々の仕事に臨むべきか、という示唆を私たちに与えてくれます。しかし、肝心なのは、私たちが仕事に何を求めるかです。それによって生き残り方もさまざまだということです。

まず考えるべきは、(1)自分が仕事に何を求めているのか、(2)そして現在それを得ることができているのか、(3)得ることができていなければスキルを習得するのか、転職するのか。そういう順番で考えるのが理想的です。

人手不足の職や業界を知る

人手不足の業界を常にマークしておくことは、生き残り方のひとつです。

厚生労働省の「労働経済の分析」(2017年)によれば、職業ごとでは技術者・クリエイティブ職・管理職など高スキルな分野や、高度な対人スキルを要する販売、ホームヘルパー・介護、サービスなどで就業者数が増える見込みであるとされています。

産業ごとの見込みでは、経済産業省の産業構造審議会が、産業部門ごとに「現状放置シナリオ」「変革シナリオ」に分けて就業者数が2015年と比べて2030年にどれだけ変化するかを試算しています。

経済産業省が試算した部門別の就業者数の増減(2015年と比べた2030年時点での変化)
情報サービスでは就業者数が
微減か増加
医療介護等では就業者数が
両シナリオで増加
(万人)
厚生労働省と経済産業省の推計を合わせまとめると、まず職業別には技術スキル・管理スキルを要する職、優れた対人能力を要する職が増加すると見込まれています。業界部門別では、情報サービス、医療介護や教育等で就業者増が見込まれています。

また経済産業省の別の報告ではIT人材が2025年に約43万人不足すると見込まれており、IT業界は今後も雇用の見通しは売り手有利である可能性が高いでしょう。

これら以外にも産業技術のメガトレンドがあります。例えば経済産業省が2020年に発表した「産業技術ビジョンの検討状況」であげられているだけでも、以下のような新技術・重要技術があります。

宇宙、ブロックチェーン、AI・IoT、ゲノム、再エネ・水素、AR/VR、蓄電池・燃料電池、ドローン、5G、バイオ医薬・再生医療、センシング など

参考:経済産業省「産業技術ビジョンの検討状況」(2020年1月16日)

不確実な将来を生き延びるためには、これら実際の市場で将来的な雇用の増加が見込まれる業界・職種への転職を検討したり、そこで必要とされるスキルを習得したりするのも一手でしょう。また低スキル・低賃金であっても、より好待遇である業界や職場について調べてみるのも有効な一手であるはずです。

いずれも転職サイトで自分の求める職種や待遇などをキーワードに検索してみると参考になるはずです。

汎用性の高いポータブルスキルを磨く

ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」のことです。昨今、業種や職種を超えた転職活動が活発になることが予想されるため、ポータブルスキルも重視されるようになりました。

ポータブルスキルは「専門知識・専門技術」+「仕事のし方」「人との関わり方」で構成されます。もちろん、専門知識や専門技術はその業界に身を置かなければ得ることはできません。「仕事のし方」「人との関わり方」については、どんな職業でも磨くことができます。

仮に自身が「将来なくなるかもしれない仕事」に現在従事していたとしても、このポータブルスキルを高めることはできますし、将来的には仕事の枠を超えて活用することができるのです。
ポータブルスキルの構成要素
専門知識・専門技術
仕事のし方
成果をあげるために重要な行動職務遂行上、特に重要であるもの
課題を
明らかにする
現状の把握課題設定に先立つ情報収集の方法や内容、情報分析など
課題の設定方法設定する課題の内容(会社全体、事業、商品、組織、仕事の進め方の課題)
計画を立てる計画の立て方計画の期間、関係者・調整事項の多さ、前例の有無など
実行する実際の課題遂行本人の役割、スケジュール管理、関係者、柔軟な対応の必要性、障害の多さ、成果へのプレッシャーなど
状況への対応柔軟な対応の必要性、予測のしやすさなど
人との関わり方
対人マネジメントで重要なこと職務遂行上、特に重要であるもの

上司

社外

社内

部下

社内対応(上司・経営層)指示に従う必要性、提案を求められる程度、社内での役割期待など
社外対応(顧客、パートナー)顧客、取引先、対象者の数、関係の継続期間、関係構築の難易度など
部下マネジメント(評価や指導)部下の人数、評価の難しさ、指導・育成が必要なポイントなど

テクノロジーの進化による雇用への影響は未知数。自分が仕事に何を求めるかによって対策しよう

2013年・2015年のオックスフォード大や野村総研による「約半数の仕事が将来なくなってしまう」という研究成果は大きな反響を呼びました。なくなる職は主に低スキル・低賃金と考えられました。しかし米オーターの研究では、逆に低スキル・低賃金の職は実際の市場でむしろ増え、中スキルの職が減り、中スキル労働力が高スキルに移動している可能性が示唆されました。その後もテクノロジーの進化による雇用への影響について研究は進められています。

これらは一定の成果を生んでいる一方、AIなどの技術は日々進歩しています。そのため、上記の研究結果はあくまで現時点のものであり、今後の技術発展や社会情勢の変化次第では、いま現在「将来安全」と考えられる職業も、必ずしもそうではなくなる可能性があります。いずれにしても、将来の市場で求められる人材像や人材不足が見込まれる職について官庁らが予測していることは参考にできます。過度に恐れず、自分が仕事に何を求めるかを明確にし、備えるに越したことはないでしょう。

Indeedで次の仕事を見つけてみませんか?

おすすめ記事

2023年01月05日人間関係に悩まなくて済む仕事29選!稼げる、好きなことができる、ひとりで黙々とできる仕事と探し方
人と対面する機会が少なく、ひとりで黙々とできる仕事を希望する人が増えています。対面機会の少ない仕事の種類とその仕事内容、上手な探し方などを紹介します。 詳細はこちら
2023年01月05日30代は本当に絶好の転職タイミング?市場の最新動向と成功するためのポイント
働き方を見つめ直す契機が多い30代は転職適齢期ともいわれます。30代の転職を成功させるために押さえておきたいポイントを、転職市場の最新動向とともに解説します。 詳細はこちら
2023年01月05日働きたくないと思うのは当たり前!その理由や対処法とは?
「働きたくない」は誰しもが感じる、自然な感情です。なぜそう思ってしまうのか、そうした感情や仕事とどう向き合えば良いのか。対処法をアドバイスします。 詳細はこちら