
主要な経済動向を見ると、全体としては比較的安定しているように見えますが、消費者信頼感指数は悪化しており、多くの人が異なる現実を体感していることがうかがえます。
キーポイント
- IndeedのDirector of Economic ResearchであるLinda Ullrichが、Hiring Labによる『2026 U.S. Jobs & Hiring Trends Report』から得られたインサイトを共有。米国の消費支出の約50%が上位10%の高所得層によるものである一方、消費者信頼感指数(アンケート調査で消費者の考えを指数化した経済指標)はパンデミック期に近い低水準に落ち込んでいます。
- Ullrichによると、海外人材に対する採用企業の需要は依然として高いものの、国外からの応募者数は減少しています。そのため、スポンサーシップ(ビザ支援)に関する積極的な発信の重要性が非常に高まっています。
- 本記事では、最新の労働市場トレンドを掘り下げるとともに、スキルファースト(職歴や学歴よりもスキルや能力を重視する)採用を拡大することで、職を失った人材を新たな採用成果につなげるなど、採用企業が実践できる具体的なヒントをご紹介しています。
2026年も、「採用は少なく、解雇も少ない(low-hire, low-fire)」労働市場が引き続き見られると予想されます*。経済学者によると、求人件数は横ばいで推移し、失業率もわずかな上昇にとどまる見込みです。つまり、米国の採用動向は、良くも悪くも大きな変化はなく、2025年と非常によく似た状況になると考えられます。
もっとも、「良いか悪いか」は、最終的には立場や視点によって異なります。現在は景気後退局面ではなく、主要なトレンドからは相対的な経済の健全性や安定がうかがえるものの、実際の生活実感に目を向けると、明確な乖離が見えてきます。
平均的なアメリカ人は、高まる経済不安に直面しています*。消費者信頼感指数(アンケート調査で消費者の考えを指数化した経済指標)はパンデミック期に近い低水準に達しており*、国内総生産(GDP)の成長は、低・中所得層が支出を控える中で、消費を下支えする高所得層*に依存し続けています。
さらに、移民政策、関税、AIをめぐる不透明要素も、この緊張感に拍車をかけています。
「人々はマクロ経済の中で生活しているわけではありません。現実は、住んでいる場所、どんな産業の職に就いているか、そして収入によって形づくられるのです」と、Indeed Hiring LabのDirector of Economic Research(北米)であるLaura Ullrichは述べています。 「まさに、2つの経済が存在していると言えるでしょう」
私たちは、主要な経済動向には表れていない、従業員や顧客が直面している現在の経済的現実について、採用企業が理解しておくべきポイントを探りました。以下では、この経済的な分断を生み出している主要な要因や、2026年、そしてそれ以降の採用判断において、採用企業が見出しだけで判断せずにより深く実態を読み解くことが、これまで以上に重要である理由を解説しています。
データの全体像については、Hiring Labが発表した『2026 U.S. Jobs & Hiring Trends Report』*をご覧ください。

以下のインタビューは、内容を明確にするために編集されています。なお、採用企業向けの推奨インサイトは、Indeed 編集部による追記です。
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求人を作成するQ:景気後退ではないにもかかわらず、なぜ消費者信頼感指数はこれほど低いのでしょうか?また、それは採用企業にとって何を意味するのでしょうか?
Ullrich:ここ数年で住宅費は大幅に上昇しており、医療費も今年は大きく増加すると見込まれています。インフレ率は引き続き連邦準備制度(米国の中央銀行制度)の目標値である2%を大きく上回っており、過去5年間にわたって賃金はインフレに追いついていません。要するに、人々の家計は実質的に圧迫されているのです。
私が最も懸念しているのは、高所得層の消費への過度な依存です。消費全体のおよそ50%は、所得上位10%の人々によるものです*。富裕層が引き続き支出を続けるか、あるいは中・低所得層が支出を増やせば、GDPやマクロ経済はこのまま堅調に推移する可能性があります。しかし、現在の逆風を踏まえると、後者が実現する可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
大抵の企業の経営層が直面している経済的現実は、現場で働く人々が感じているものとは大きく異なっている可能性があります。採用企業は、低所得層や中間所得層、さらには上位の中間所得層の消費者でさえも、厳しい状況に置かれていることを認識する必要があります。消費者信頼感指数は、パンデミックの最中とほぼ同水準まで低下していますが、当時の感覚を思い返すと、その落ち込みの大きさは非常に衝撃的だと言えるでしょう。
Q:オフィス回帰を義務づける動きが広がっているのは、リモート勤務の流れから逆行している兆しなのでしょうか?
パンデミックのように大きな混乱をもたらす出来事の後には、特に「人々がどのように働きたいか」という点において、恒久的な変化が起こるものです。2020年2月時点では、リモートまたはハイブリッド勤務の職種は全体の約3%*でしたが、現在は8.2%にまで増えています。2022年に記録した10%には及ばないものの、依然として高い水準であり、パンデミック前の水準に戻ることはないでしょう。
最も若い世代は、働き方に対する理想が上の世代とは大きく異なります。一方で、調査を見る限り、出社を強制するオフィス回帰は概してうまくいっていません。遵守率は低く、従業員の不満は高まっています。このことから、リモート勤務をめぐる議論はまだ終わっていないと感じています。
| 💡 採用企業向けのインサイト:リモート勤務とハイブリッド勤務に関する規程の内容を見直したうえで、再度検討しましょう。必要以上に厳格な出社に関する規程や勤務地の条件は、優れた人材を惹きつけたり維持したりするための障壁となる可能性があります。 |
Q:地域ごとの経済動向は、採用企業の採用戦略にどのような影響を与えるのでしょうか?
求人件数は、最大規模の大都市圏と比べて、中小規模の都市圏のほうがはるかに多くなっています。たとえば、シアトルのような大都市圏で採用を行っている企業の場合、市場は企業側に有利な状況にあり、多くの人材は失業中です。米ワシントン州の人口はCOVID以降5.3%増加していますが、求人件数は約23%減少しています。
一方で、米サウスカロライナ州 を見ると、同期間の人口増加率は約7%にとどまっているにもかかわらず、現在の求人件数は29%増えています。チャールストンで採用しようとすると、市場が依然として逼迫しているため、人材を見つけるのは難しいかもしれません。しかし、シアトルからリモートで働いてもらうことを許容できるのであれば、優れた候補者を見つけられる可能性があります。
| 💡採用企業向けのインサイト:候補者を「どのように」「どこから」採用しているかを見直してみましょう。こうした経済動向は業界によって影響の出方が異なるため、スキルファースト採用に切り替えることで、これまで見逃していた可能性のある優秀な人材に出会える可能性があります。 |
Q:最近の移民政策の変更は、企業による海外人材の採用にどのような影響を与えていますか?
現在、外国籍の労働者に対する採用企業の需要と、求職者側の関心との間にミスマッチが生じています。たとえば、高度な技能を持つ移民労働者に大きく依存している医療分野では、求人1件あたりの応募者数が最も大きく減少している分野のひとつとなっています。その一方で、医師や外科医に関する求人件数は全体的に、依然として非常に高い水準にあります。
移民政策におけるH-1Bビザという側面を見ると、医療、テクノロジー、エンジニアリングといった分野では、企業がビザ支援を行う意欲が実際に低下しているわけではありません。一方で、建設、農業、ホスピタリティなど、非公式的に採用が行われる分野では、状況を把握するのが難しいのが実情です。いずれにせよ、移民をめぐる現在の情勢の中で、米国で仕事を探している外国人は少なくなっています。こうした方々は不安を感じているのです。
移民による労働力に依存している企業は、今後、人材を呼び込むためにこれまで以上の努力が求められるでしょう。もしH-1Bビザのスポンサー費用を負担する意思があるのであれば、求人や自社Webサイト上ではもちろん、自社の担当者や関連する専門職団体に対しても、その点を明確かつ強く発信する必要があります。
| 💡 採用企業向けのインサイト:採用ブランドが表示されているあらゆる場所(例:自社の求人情報、Webサイト、フィード、その他のチャネル)において、文言を確認し、必要に応じて修正を行いましょう。企業の採用活動に関する文言は、明確で、親しみやすく、かつ採用したい人材の価値観と一致しているかを確認しましょう。 |
Q:現在の経済状況において、そして将来に向けて、採用企業が成功に向けた基盤を築ける機会はどこにあるのでしょうか?
採用企業には、これまでとは異なる方法で人材を惹きつけ、採用するチャンスがあります。現在、失業中の人材の多くはホワイトカラー層で、非常に高いスキルを有しています。たとえば、テクノロジー分野の雇用は大きな打撃を受けているため、非テック企業にとっては、極めて優秀な人材を取り込む好機となっています。
ただし、そんなに簡単にテックワーカーから医療従事者に転身できるわけではありません。人材の再編成には、スキルアップやリスキリングが不可欠です。しかし興味深いことに、こうしたホワイトカラー職の多くは、OJT研修が提供されにくい職種でもあります。
また、業界内で何が起きているかを踏まえたうえで、定着についても考える必要があります。AIの影響による変化を見込んでいる場合や、職務が変わる、あるいは完全になくなる可能性がある場合、どのようにしたら残したい優秀な人材を維持できるのでしょうか?そして、そうした人材が求める成長の機会をどのように提供するのでしょうか?いずれの場合も、これまでとは異なる形でのトレーニングのあり方を検討する必要があるかもしれません。
| 💡 採用企業向けのインサイト:新入社員と既存の従業員の両方を対象とした、学習と能力開発と自社の研修の優先順位を見直しましょう。学習と能力開発への投資は、人材の獲得と定着の両方の観点から従業員をサポートするうえで重要になります。 |
Q:2026年、AIは経済や労働力にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
本レポートでは、AIをトレンドのひとつとしては取り上げていません。というのも、マクロな労働市場においては、他の要因のほうがより大きな影響を与えているためです。11月時点で、AIに言及している求人は全体のわずか 4%にとどまっています*。
AIへの投資は進んでいますが、現時点では、企業がAIによって大量の労働者を置き換えることはできていません。もしそれが起これば、現在見られている規模をはるかに上回る大規模なレイオフが発生するでしょう。また、企業にはAIの管理方法を熟知しているマネージャー職も必要になりますが、そうした役割は現行の求人情報には反映されていません。
AIはいずれにしても労働市場を変革していくでしょう。しかし、その変化は、まだマクロレベルでは起きていません。
この情報は、Indeed が本サイトの利用者に参考情報として提供しているものです。Indeed は、貴社の採用担当者や法務アドバイザーではなく、求人内容について責任を負うものではありません。また、本サイトに掲載されている情報は、成果を保証するものではありません。
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