毎年6月の「プライド月間」には、企業やブランドがLGBTQ+コミュニティへの支援を大々的に表明し、過去から続く差別や抑圧を排除するために意識向上や啓発に取り組みます。

しかし、製品にLGBTQ+を象徴する虹色を使うだけで十分だと考えるのは、単純すぎるかもしれません。


毎年6月の「プライド月間」の時期に見かけるレインボーフラッグは、近年、歴史的に社会で疎外されてきたLGBTQ+コミュニティの象徴ではなく、商業のための策略として使われているように感じることがあります。

LGBT Capital が実施した2019年度の調査では、LGBTQ+の人々や、アライと呼ばれる支援者の購買力は、世界全体で3兆7000億米ドルと試算されています。

こうした人々が今、社会的弱者への理解や支援であるアライシップという名のもとに、「レインボーウォッシング」や「レインボーキャピタリズム」と呼ばれるマーケティング手法の標的となることが増えています。

しかし、賢い消費者はそうした表面的な支援に疑問を抱くようにもなっており、若い世代では特に、プライド月間の度に目につく、企業のうわべだけの連帯感に抵抗を感じる人もいるようです。

マイアミ大学ファーマー経営大学院のマーケティング教授で、ダイバーシティ&インクルージョン学部長であるGillian Oakenfullさんは、レインボーキャピタリズムについて次のように述べています。

「消費者は、6月だけプライドの旗を掲げ、製品に虹色を使う企業をもう受け入れません。LGBTQ+の人々が経験してきた苦難を、多くの人が理解している今、道徳的な善良さのアピールを商業に活かすような、いわゆる美徳シグナリングは許容されません。消費者は今、企業に異なる対応を求めています」

Oakenfullさんは、虹色を使って支援を表明するだけで実質的には何もしないレインボーウォッシングではなく、企業やブランドが実際にLGBTQ+コミュニティのためになる取り組みを行っているかどうかは、簡単に見分けられると説明します。

「雑誌に広告を出したり、声明文を発表したりしているだけなら、その目的は明らかでしょう。それよりも、目に見える変化のために行動し、人々の生活に良い影響を及ぼしているかを見てください」。

口先だけで何も実行しない企業に対して、消費者は反発する傾向にあるとOakenfullさんは警告します。

「インターネットで炎上するのも時間の問題です」

それでは、企業やブランドがレインボーキャピタリズムから脱却を図るには、どうすれば良いのでしょうか。プライド月間だけでなく、その先の未来にも真の影響力を及ぼすために取り組む注目の企業のリーダーたちに話を聞きました。

レインボーカラーを使うだけでは無意味

ダイバーシティに関する書籍や、性別を問わないジェンダーニュートラルなジュエリージェンダーレスファッション「男らしさ」「女らしさ」といった従来の規範にとらわれない製品パッケージなど、企業は自社の製品を通じて、インクルーシブな価値観を表現できます。

玩具製造とエンターテイメント事業を行うMattel社で、バービー人形などのデザイン担当SVP兼、Global Headを務めるKim Culmoneさんは、「製品そのものが常にインクルージョンを支持するべきです」と話します。 

前出の通り、虹色の画像やパッケージを毎年製品に取り入れるだけでは、インクルージョンの推進に十分とは言えません。全社一丸となって長期的に取り組み、年間を通じてインクルーシブな製品を開発し販売をする、真摯なコミットメントが求められるでしょう。 

たとえば、2022年5月にMattel社はLGBTQ+コミュニティを称える2つの新製品を発売しました。ひとつは、トランスジェンダーであることをカミングアウトしている女優のLaverne Coxさんのバービー人形、もうひとつは、フィッシャープライス リトルピープルコレクターから、世界的に有名なドラァグクィーンであるRuPaulさんのセットです。

2021年にアメリカンガール・ドール・オブ・ザ・イヤーを受賞した人形のキラは、オーストラリア人でレズビアンのおばを持つ設定が話題を呼びました。また、2019年に発売されたMattel社のクリエイタブルワールドコレクションの人形は、初のジェンダーニュートラルなラインナップとなり、子どもがジェンダー規範にとらわれず人形をカスタマイズできるものです。 

Mattel社はインクルーシブなマーケティングにも取り組み、「男の子向け」や「女の子向け」という昔からの区別をなくそうとしています。Culmoneさんが言うように、消費者はうわべだけのメッセージにとらわれず、ポジティブな社会的影響を念頭にデザインされた製品をちゃんと見分けていくでしょう。

すべての面でインクルージョンに取り組む

インクルージョンの精神は、Indeed が提供しているプラットフォームやサービスの根底にも据えられています。Indeed のLGBTQ+従業員向けのリソースグループである iPrideで、暫定的なCo-Chairを務めるMaggie Burgerは、次のように語ります。

「私たちの最も重要なミッションは『We help people get jobs.』です。私たちはそれを『We help ALL people get jobs.』と言い換え、すべての求職者をサポートするために会社全体で取り組んでいきたいと考えています」

すべての求職者の仕事探しを支援することは、潜在的な不寛容さを積極的になくしていくことでもあります。

「私たちはできる限り、差別やバイアスの発生を事前に防止できるように努めています」と、iPrideのCo-ChairであるBradley Jacksonは言います。たとえば、Indeed で閲覧できる各企業のクチコミは求職者にとって貴重な情報であり、透明性や説明責任を推進する方法だとJacksonは説明します。

またBurgerは、差別の未然防止という同様の理由から、Indeed では、「求人情報が投稿される前に(差別や偏見を助長する)不当な記載が含まれていないか」を確認する専任チームがあると話します。

LGBTQ+従業員への配慮

企業のインクルージョンへの取り組みは、従業員への対応を見ればよく分かり、Burgerは社内での取り組みの大切さを強調します。

Indeed では、LGBTQ+従業員に対する公平な福利厚生の提供のほか、社内の経営幹部やエグゼクティブチームに、性的マイノリティであるクィアの人材を公平な割合で所属させるよう努めています。また、ダイバーシティ、インクルージョン、ビロンギングの向上に取り組むため、専門の部門やリソース、コミュニケーションチャネルなどを作成しています。

また Indeed は、従業員のジェンダー移行にスムーズに対応するため、社内ガイドラインを作成し、トランスジェンダーの従業員を支援する機関に提供しています。「これは私たちにとって大きな成果でした。このガイドラインは、働きながらジェンダー移行する場合に想定されることと要件について、Indeed の人事や事業運営、福利厚生などを担当する各チームの責任が明確に記載されています」とJacksonは話します。

有意義なアライシップの構築

2021年、化粧品やコスメを展開するThe Body Shopは、LGBTQ+の人たち、特にトランスジェンダーコミュニティに影響を及ぼす課題について、消費者アンケートを実施しました。さらにプライド月間には、消費者が詳しく学ぶことができるWebサイトも公開しました。

The Body ShopのマーケティングおよびCSR担当VPを務めるHilary Lloydさんは、資金もリソースも不足がちな多くのLGBTQ+組織に協力し、共に意味のある変化を後押ししていくよう一般企業に呼びかけています。

「非政府関連の団体から話を聞いたり、彼らの専門知識を活用しましょう」

The Body Shopは、いくつかの非営利団体と長年協力していますが、最近では主にLGBTQ+への支援を牽引する、Equality Federationと提携しました。見返りは目的ではなく、慈善活動としてのパートナーシップです。

「当社のスタッフやお客様に、より良いアライになってもらうことが取り組みの目標です。より影響力があるやり方で、LGBTQ+コミュニティを長期的にサポートすることが重要です」と、Lloydさんは話します。

社内のリーダーや従業員にインクルージョン、アライシップについての教育を

ダイバーシティやインクルージョンに関してコンサルティングを行う、The Winters Groupの社長兼CEOを務めるMary-Frances Wintersさんは、「LGBTQ+の従業員は、出社すると毎日のようにマイクロイネクイティと呼ばれる小さな差別や、時には露骨な差別に直面します」と話します。

Wintersさんは、継続的なガイダンスと研修が解決につながると話します。たとえばMattel社は、ジェンダーがノンバイナリーの子どもたちやその家族の権利を制限する法案を受けて、従業員に「ジェンダーアイデンティティとアファメーションの支援ガイド」を公開しました。このガイドは、Mattel社が社内の従業員リソースグループ(ERG)であるOPEN(Our Proud Employee Network)と作成したものです。

「LGBTQ+従業員にインクルーシブな職場環境を提供するには、LGBTQ+コミュニティのメンバーが作成した教育プログラムにすべてのリーダーが参加すべきでしょう」とWintersさんは言います。

インターセクショナリティを意識し、真のインクルージョンを目指す

インターセクショナリティとは、人種や宗教、性的指向など、個人やグループの持つ属性により、差別は多層的で交差しているという考えです。

Mattel社では、インターセクショナリティを認識し、すべての従業員が、共感できる者同士が自発的に集まるマイクロコミュニティなど、安心して話し合える場所にアクセスできるよう取り組んでいます。OPENのほかにもMADE(Mattel Asian Diversity Exchange)at Mattel、Black at Mattel、Women at Mattelなど、9つみのERGがあります。

こうした継続的な取り組みにより、Mattel社は米国のLGBTQ+市民権団体、Human Rights Campaignの企業平等指数(CEI)で100点満点を獲得し、3年連続で「Best Place to Work for LGBTQ+ Equality(LGBTQ+の平等における最高の職場)」に選出されました。

「企業は、あらゆる職業や地位にあるすべての従業員と消費者がありのままの自分自身でいられるよう、今まで以上に差別の対象になり得る人々の地位の向上を支援する責任があります。誰もが尊重され、受け入れられ、意見を聞いてもらえていると感じるときに、組織は最高の状態であると言えるでしょう」とCulmoneさんは話します。

この記事は 米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

翻訳・編集:Indeed Japan 編集部

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