宇都宮市に本社を置く元気寿司は、「魚べい」を始めとする寿司レストランチェーンの運営会社。飲食業の応募者数が減少傾向にあるなか、採用活動の選考フローを大幅に見直すなどして、大きな実績を上げている。本稿は、Indeedが推進している、求人広告の効果を応募ではなく採用を軸に見ていこうという取り組み「SHIFT RIGHT」のシリーズ記事。そのなかで今回は、同社人事部長の長尾由紀子氏に、その具体的な戦略や成果について話を聞いた。
「第二創業期」でリブランディングを推進
当社は1968年の創業以来、50年以上にわたり日本の伝統的な食文化である寿司のレストランチェーンとして国内外で事業を展開してきました。現在は「元気寿司」「魚べい」「千両」の3つのブランドを運営しており、国内185店舗、海外では9か国・地域で242店舗を展開しています。
2023年度からスタートした中期経営計画では、現在を「第二創業期」と位置づけ、「物価の上昇」や「外食ニーズの多様化」といった環境変化に対応すべく、各ブランドのリブランディングを進めているところです。“店舗だからこそ提供できる体験価値”をより一層重視した運営スタイルへの転換を検討しています。
「採用の歩留まり率」「入社後定着率」の低さが課題
中期経営計画では、成長の要である人材への投資を最重要項目としています。当社の従業員数は約1万3,000名で、うち正社員は約600名。1万2,000名以上がパート・アルバイトの方々です。近年、特に飲食業は売り手市場が続いており、求人掲載数は増えている一方、応募数は減少傾向にあります。またここ数年は、競合他社が初任給の引き上げや時給アップを実施しており、さらに人材獲得競争が激しくなってきていると感じています。
また、当社には正社員採用における採用課題が大きく2つあります。ひとつは、歩留まり率の低さです。特に、応募から次のステップであるカジュアル面談や、内定承諾時の離脱が顕著でした。もうひとつは、入社後定着率の低さです。当社の退職率は業界平均より低いのですが、まだまだ改善が必要と認識しています。
このような課題に対して、さまざまな取り組みを行いました。まず、歩留まり率を向上させるために、採用の応募受付後、原則5分以内に求職者に連絡を入れることや、最終面接に近い方へのコンタクトを増やすことなどの具体策を取り入れました。各フローでレスポンスを早くする意識が以前にも増して高まり、その結果、応募から入社までの期間が大幅に短縮。これまでは2~3か月ほどかかっていましたが、現在では最短で応募から1か月以内で入社へつながるようになり、採用数の増加に直結しています。
入社後定着率の課題に対しては、人事部による入社後ヒアリングを適切なタイミングに行うとともに、定期的な研修を実施しフォローアップ体制をとっております。また、人事制度全体の見直しにも着手しているところです。
データに基づく具体策で採用増に直結
Indeedを導入したのは、求人サイトの運用成績が低下していた頃でした。Indeedの魅力のひとつは、データに基づく採用の歩留まりをしっかりと把握できることです。営業担当の方に伴走支援していただけるので、週次のミーティングで歩留まり分析や採用市況等の各種データをコンスタントに共有していただき、具体的な運用改善策につなげています。
Indeedの導入により、採用の問題点が明確な数値として表れてきました。応募数は担保できているのに対し、前述したように採用数をさらに伸ばすための対策が必要だったのです。また、アルバイト・パート採用では、応募者の面接を行う各店舗の店長を対象にした採用の勉強会も実施していただきました。「一応募の大切さ」や面接時の対応が採用を大きく左右することを学び、実りある勉強会となりました。
多様な対策を行ったことで、Indeedを先行導入したアルバイト・パート採用では大きな成果が出ています。Indeedの本格運用を始めた2023年度は、前年度比で「採用数31%増加」、「採用単価45%削減」、「広告コスト28%削減」を達成しました。そのような成果を受けて現在、Indeedは当社の採用を成功させるための「伴走者」となっており、アルバイト・パート採用の領域にとどまらず、中途採用を含めて当社の採用ツールの主軸になっています。
2024年1月からは、新たな求人配信プラットフォーム「Indeed PLUS」の利用を並行して始め、採用業務の負荷も格段に下がりました。今後も効果検証を繰り返してIndeedの運用効果を高めながら、「正社員100名」「パート・アルバイト6,600名」の年間採用を実現したいと思っています。
元気寿司株式会社
栃木県宇都宮市大通り2-1-5 明治安田生命宇都宮大通りビル4階
https://www.genkisushi.co.jp/corporate/
1968年の創業以来、日本の伝統的な食文化である寿司のレストランチェーンとして国内外で事業を展開。現在は「第二創業期」を迎え、新業態導入等の多角化を進め、寿司以外及び現進出地域以外への事業領域の拡大のため、今後活躍する優秀な人材の確保に力を入れている。