30代は本当に絶好の転職タイミング?市場の最新動向と成功するためのポイント

30代は結婚や子育てなどのライフステージの変化を迎えたり、仕事での成功体験を得たり、働き方を見つめ直す契機が多くあります。つまり、転職をリアルに考える世代ともいえます。そこでこの記事では、30代の転職市場の最新動向を知り、転職を成功させるために、どんな準備をしておくべきか、どんなアピールをするべきかなどのポイントを解説します。
公開日:2023/01/05

いま雇用市場はどうなっている?

まず、全体の雇用市場から見てみましょう。新規求人倍率は2008年のリーマンショック以降、コロナ禍まで一定して新規求人倍率は増加、コロナ禍の2020年は一時的に下がったものの、2021年には復調傾向へと転じました。新規求人倍率が1倍以上なら、求職者数よりも求人数のほうが多く、雇用状況が良好であることを示します。ここ数年ほどは2倍近くと、雇用に関していえば市場は好調です。

「企業が転職者を受け入れる傾向は高まっている」といえるでしょう。コロナ禍の収束状態によっては募集が今よりもさらに活発化する可能性もあるので、職種によっては転職時期を早めるのか、じっくり待つべきなのか、見極めることが求められます。
新規求人倍率の(パートタイムを含む一般)年間の推移(2008年〜2021年)
2011年以降、1倍以上
(倍)
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2022年5月)※月間の推移は季節調整値
続いて、職種ごとの求人の様子を見てみましょう。ほとんどの職種で新規求人倍率は1倍を超えているのがわかります。管理的職業が1.71倍であるのに対し、開発技術者は2.53倍、製造技術者は2.89倍と高く「専門的なスキルを持った人材が大きく不足している」とわかります。

これに対し、一般事務の職業、会計事務の職業、美術家・デザイナーなどは低めになっています。これらは就きたい人が多い人気の職種で、狭き門となっています。
職種別新規求人倍率(常用・パートタイムを含む)
ほとんどの職種で1倍以上
(倍)
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2022年5月)

30代で転職する際の実情は?

30代の転職理由は「仕事内容」「賃金」「人間関係」がトップ3

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によれば、30代全体の転職理由は「賃金」「仕事内容」「会社の将来」への不満が上位3つを占めました。ただし、この調査はホワイトカラー・フルタイム雇用者のみを対象としているため、すべての30代の人に当てはまるわけではありません。

次いで4位は、「労働条件(賃金以外)が良くなかったため」と「人間関係がうまくいかなかったため」で同率、5位が「能力・実績が正当に評価されなかったため」となりました。特に男性だと「能力・実績」への不満が4位と、多くの人が納得のいくキャリア形成に対する不満をもっているようです。

また女性は男性と比べて、職場の人間関係に不満を持っていることがわかります。
前職を離職した理由(複数回答/全体・男女)
30代全体では仕事内容賃金会社の将来がトップ3
(%)
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成~転職者アンケート調査結果」(2021年11月19日)
前職を離職した理由(複数回答/30代前半・後半)
(%)
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成~転職者アンケート調査結果」(2021年11月19日)

30代の約3分の2が転職経験者

30代での転職経験者はどのくらいいるのでしょうか。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、30代前半で、2社以上で正社員として働いた経験がある人は64.5%に達します。30代後半で、2社以上で正社員として働いたことがある人は67.2%。30代の約3分の2は転職経験者であり、むしろ30代でひとつの会社に留まっている人のほうが少ないとわかります。
正社員として働いた会社数
30〜34歳
35〜39歳
30代の3分の2が転職を経験

(%)40

30

20

10

0

0社
1社
2社
34社
59社
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成 ~転職者アンケート調査結果 付属統計表」(2021年11月19日)

月給はあがる?半数の人は給与がアップする

転職によって給与はアップするのでしょうか。同じく独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、半数程度の人が給与はアップしているという結果が出ています。

30代前半の男性を見ると55.9%の人が上昇、約4分の1がほぼ変わらないという結果に。30代後半の男性は、上昇した人は43.6%。前出の離職理由のデータからは、離職理由は30代前半で「給与」が高く30代後半で「仕事の内容」が高いことから、30代前半のほうが給与の改善を求めて転職するケースが多く、結果として給与上昇の割合も30代後半と比べて高くなるのではないかと推測できます。
転職前後の処遇(月給)の変化
男性(30〜34歳)
女性(30〜34歳)
男性(35〜39歳)
女性(35〜39歳)
30代前半のほうが有利

(%)35

30

25

20

15

10

5

0

20%超
低下
5〜20%超
低下
変わらず
(±5%未満)
5〜20%
上昇
20%以上
上昇
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成 ~転職者アンケート調査結果」(2021年11月19日)

役職は上がった?男女とも30代前半のほうが有利

転職によって、ポジションアップを期待する人も少なくありません。では、実際に転職によってポジションアップは実現するのでしょうか。実態は「変わらず」と答えた人が圧倒的に多いようです。

一方、「役職レベルが上がった」のは、男女ともに、30代前半の方が30代後半よりも多くなっています。転職によるポジションアップを狙うとするなら、30代前半、早めのほうが高率でポジションアップが実現できるといえそうです。
転職による役職の変化
男性(30〜34歳)
女性(30〜34歳)
男性(35〜39歳)
女性(35〜39歳)
30代前半の
ほうが有利

(%)100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

役職レベルが上がった
変わらず
役職レベルが下がった
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成 ~転職者アンケート調査結果」(2021年11月19日)

30代転職は経験や知識、スキルが求められる

厚生労働省の調査によれば、企業が転職者に最も期待するのは「経験を活かした即戦力」であるとわかります。専門知識や能力に対する期待が大きく、「我が社のために、あなたに何ができるのか」という意味合いの質問を面接でされることもあるでしょう。

だからといって未経験業界に転職できる可能性もゼロではありません。事務職は人気がある一方で求人数も多いために回転が良く、また求められるスキルもそれほど高くないケースが多いため比較的チャレンジしやすいと考えられます。ただし、ほとんどの職種で経験を活かした即戦力を重視する企業の割合は半数を超えており、未経験者にとって決してハードルは低くないことも知っておきましょう。
職種別・転職者を採用した理由
経験・知識を求める
企業が多い
(%)
参考:厚生労働省「転職者実態調査の概況」(令和2年)職種別・転職者を採用した理由(3つまでの複数回答)

30代の転職市場についてのまとめ

  • 30代の転職は珍しくなく、今でも活発。
  • 求人市場はコロナ禍でいったん低調となったが、回復基調。多くの職種で人手不足によって求人倍率が高止まりしており、売り手市場となっている。
  • コロナ禍の収束状況によっては募集が活発化する可能性もあり、時期を選ぶのもひとつの考え方。
  • 30代前半のほうが30代後半より転職によって収入アップ・ポジションアップをしている割合が高い。
  • 多くの職種で経験や専門知識・能力を有した人が求められている。

30代転職を成功させる!転職活動で押さえておきたいポイント

30代の採用において、ポテンシャルに期待しての採用は決して多くない、と言われています。つまり、それまでの経験に基づいて「仕事での実績を語れる」「自分のスキルセットをきちんと伝えられる」といったことが求められるのです。このような実績重視の転職になるという点をふまえ、30代の転職活動を成功させるためのポイントを解説します。

準備:自分理解を進めておく

ファーストステップでありながら、最重要と言っても過言ではないのが「準備」です。ここでは、「どんな転職をしたいのか」「自分の求める価値観に合った働き方は何か」を明確にすることが肝心です。新卒採用の際の就職活動でこうした経験をした方も多いと思いますが、転職活動でもそれは同様です。転職によってやりがいを得たい、仕事内容が良ければ給料・ポジションにはこだわらないなど、前もって優先順位と妥協点を決めておきましょう。

そのほか、以下のような作業を通じて自分の理解を深め、準備を進めると良いでしょう。

● 自己分析

企業が求める経験・スキルが自分にはあるか。自分が求める待遇を得るために不足している要件は何か、経験・スキルに不足があるなら転職時期の延長も必要かどうか、など。自分を客観的に評価し、強みや弱みを明確に言語化してみましょう。

● スキルアップ

自己分析から転職の必要性ありと判断し、スキルに不足な点があると感じたら、オンラインやリアルの場での学習機会・セミナーなどに参加し、転職に有利とされる資格取得などを目指しましょう。

● 企業を探す

自分で決めた転職の優先順位と妥協点に沿って、転職サイトで検索します。自分が求める待遇や仕事内容など、納得できる募集が公開されるまで待つのも選択肢のひとつです。

● 円満退職の準備

労働基準法によって作成が必要とされる就業規則では、退職に関する事項(退職理由を含む)は絶対的必要記載事項とされており、使用者は少なくとも30日前までに解雇の予告をする決まりになっています。ただし民法では、期間の定めのない雇用契約は、14日以上前に退職を申し入れれば、いつでも退職できると規定されています。

現在勤務している会社に就業規則があるのか、ある場合は退職についての記載があるかないかを事前に確認することが大切です。この点がトラブル回避と円満退職につながるポイントです。

応募:必要書類を用意し、エントリーする

応募にあたっては履歴書、職務経歴書の提出が求められるケースがほとんどです。

履歴書は、学歴や職歴、取得している資格、志望動機などを記入します。職歴は職務経歴書で詳細に書きますが、ここでは時系列に沿って簡潔に記入しましょう。心がけたいのは正確に書くことです。事実と異なる記述や誇張した表現は決して使わず、応募企業に自分の人となりを正しく伝えるよう留意しましょう。

職務経歴書には、経験やスキルを応募企業に伝える重要な役割があります。時系列に沿って、自身の業務経験の積み重ねや、ステップアップの過程をしっかりと記入しましょう。自己PR欄では、自分の得意とする業務、スキルを単に羅列するのではなく、「応募企業は転職者に何を求めているのか」に的を絞って記入し、自分の強みがより相手に伝わりやすくなるように心がけましょう。

また、できるだけ多くの会社に応募するのも良いでしょう。内定数を増やすという意味もありますが、マッチング精度の向上にもつながります。「自分が選ぶ」という気持ちだけでなく、「相手に選んでもらう」という気持ちを持つと結果にも納得しやすくなります。また、さまざまな業界を見て知見を拡げるきっかけにもなるでしょう。

面接:増えるネット面接への対応はマスト

対面での面接は、応募企業に出向くことで始まります。当然、遅刻するのは厳禁です。あらかじめ最寄り駅や応募企業までのルートや所要時間を調べ、余裕を持って面接場所に着くようにしましょう。体調管理も大切です。面接の日に体調を崩さないように、日頃から体調管理に気をつけたいものです。

面接は、郵送や転職サイトなどを通じて事前に提出した履歴書や職務経歴書の内容に沿って質問される場合がほとんどです。何を書いたのか忘れてしまっては、面接官の質問に対し、的確に答えることができません。応募企業が複数あり、企業によって記入内容を変えている場合はなおさらです。郵送の場合はコピーを、転職サイトなどのインターネットを通じた応募の場合はWeb上で入力した内容の画面キャプチャなどを保存しておきましょう。

最近はインターネットを通じたオンライン面接も増えてきています。企業によっては使用するアプリが異なるため、事前にどのアプリを用いるのかを聞き、そのアプリを使っておくといいでしょう。ビデオ会議での注意点や気遣うべき点は、リアルの場合と変わりません。オンラインだからといって気を抜くことなく、身だしなみなどにも注意しましょう。ビデオ会議に特有の注意点としては、「背景」や「回線速度」といったものが挙げられます。実際の背景を隠すために別の画像を設定しておく、安定した通信回線を確保して滞りなく面接を受けられるようにする、といった準備は事前にしておきましょう。

面接は大きく分けて、「自己紹介」「転職理由」「志望動機」「自己PR」の順に行われるのが一般的であるようです。このステップを頭に入れ、面接官の質問に対しスムーズに答えられるよう、事前に練習しておきましょう。

内定から入社まで

応募企業から内定通知を受けても、転職のゴールではありません。内定後にもやるべきことがあります。まずは労働条件の確認です。多くの企業では「労働条件通知書」「雇用契約書」を作成しています。労働条件通知書は、労働条件についての事項を記載した書類で、使用者が労働者を雇用するとき、労働基準法によって労働者に対する労働条件の明示が義務づけられています。

労働条件通知書で確認したい主な項目は以下の通りです。
  • 給与額・賞与額
  • 時間外手当
  • 上記以外の支給(通勤交通費や諸手当など)
  • 就業諸経費の有無(営業交通費や制服代などの負担があるか)
  • 社会保険の有無
  • 業務内容
  • 勤務形態
  • 勤務時間
  • 時間外労働の有無
  • 休日、有給休暇
  • 配属予定部署
  • 研修期間とその内容
  • 転勤、異動の有無
  • 転籍、出向の可能性
雇用契約書は企業と内定者がそれぞれ記載された内容について確認し、互いに署名・捺印をした上でそれぞれが手元に保管する書類です。雇用契約書の発行は任意であり、企業によっては用意されていないケースもあるようです。もし不安な場合には、転職先の企業に雇用契約書の有無を確認するなどしても良いでしょう。

面接の際や、内定後面談などの際に、入社可能日について確認される場合もあるでしょう。もし在職中であれば、現実的な入社可能日を伝えましょう。その際は、現在勤務している会社とのスケジュール調整を考慮し、具体的な日付ではなく「内定通知後1か月から2か月」といったように、おおよその期間で伝えると良いでしょう。

また、その時点で働いている会社に退職を申し出るタイミングを逆算することも必要です。法律上、退職を申し出る期限は、退職希望日から逆算して14日以上前となりますが、就業規則なども確認しておきましょう。ただし、期限ギリギリに退職を申し出ると、円満退社につながらない場合も想定されます。余裕をもって、1か月から2か月前を目安に、退職を申し出ると良いでしょう。

どんな転職をしたいかを明確にして納得のいく転職を

いま求人倍率は右肩上がりで、雇用市場は好調です。ただし、30代で転職するからには経験・知識を求められるケースが多いため、今までの職場、現在の環境での実績を整理しておきましょう。また、状況によっては、求める待遇の職が見つかるまで待つ、というのも選択肢のひとつです。まずは自分が職に求める価値を明確にして給与やポジションなど優先順位を決め、できるだけ多くの企業に応募しましょう。そうすれば、内定率アップに加え、転職への納得感を高めることも期待できます。転職サイトなどを上手に活用して、納得感のある転職をしましょう。

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