非公開求人とは?社名を出さない理由や、メリット・デメリットについて

転職活動中に求人サイトを見ていて「非公開求人」というワードを目にしたことはありませんか?非公開求人とは、文字通り一般には公開されていない求人のことです。非公開で求人を出すことにより、企業・応募者ともにさまざまなメリットを得られるのが特徴ですが、一方で非公開求人を選ぶデメリットも存在します。

そこでこの記事では、非公開求人の概要や、非公開で求人を出す理由、メリット・デメリットなどについてご紹介します。
更新日:2026/05/17

非公開求人とは

「非公開求人」とは、一般では公開されていない求人のことです。ハローワークや企業のコーポレートサイトにも掲載されていない求人であり、主に転職エージェントが取り扱う求人です。

とはいえ、転職エージェントサービスのサイトなどから自由に見られる求人でもありません。転職エージェントに登録している求職者のスキルや経験を踏まえ、エージェントから紹介があった場合にのみ初めて出会える求人です。そのため、転職エージェントに登録したからといって、必ずしも非公開求人の全てを目にできるわけではないのが特徴です。

詳しくは後述しますが、非公開求人の中には、有名な企業や大手企業の求人も多く、一般的な求人サイトやハローワークでは見つからないような魅力的な内容も存在します。その上、幹部クラスのような、重要ポジションの求人も非公開求人として転職エージェントが抱えていることも多い傾向にあります。

どのような非公開求人を紹介してもらえるかは、スキルや経験、知識など本人の特性などによって異なるのが現状です。
【図版】非公開求人と公開求人の違い

非公開求人で求職者を募る理由

なぜ、求人情報でありながら、一般的に公開するのではなく「非公開」としているのでしょうか。その理由として、企業側の事情があります。

効率的に人材を確保するため

非公開求人で求職者を募る理由として、まず挙げられるのが応募の殺到を防ぎ、企業の求める人物象に沿った人材をピンポイントで募集するためです。

求人を公開すると、応募者が集まりすぎて人事の負担が増えてしまうことが予想される場合があります。魅力的な内容の求人や有名な企業の求人などは特に応募者が殺到しやすく、履歴書の確認から面接に至るまで、時間や手間、人的コストもかかります。

しかし、非公開求人として、企業側が求めているスキルや経験を持つ求職者のみに求人を公開することで、効率的に人材を確保しやすくなります。人事や面接担当者などの負担増加を回避しつつ、人材を確保できる点は企業にとって大きなメリットです。

他社に求人を出していることを知られないようにするため

競合他社に自社の求人状況を知られないようにするために非公開求人にすることもあります。例えば、極秘プロジェクトや新規事業のための人材募集、マネジメント層の人材確保などが該当します。

出ている求人の情報は、他者から見れば不足している人材やポジションなどを想像できるデータでもあります。場合によっては、新規事業をスタートすることを他社が知るきっかけになったり、求人を出しているポジションの内容から内部事情を想定されてしまったりするリスクがあります。

また、そもそも人材が足りていないことを他社に知られてしまうこと自体がリスクとなるケースもあり、そういった場合には非公開求人として自社の事情をオープンにせず応募者を募ることも珍しくありません。

早急な人材確保のため

非公開求人を選ぶ企業側の事情としては「早急に人材を確保したい」といったケースもあります。例えば、社員の突然の退職や異動などによって、早急に人材を確保しなければならないことは少なくありません。

しかし、一般的な求人の場合、求人掲載の依頼から掲載までに数週間の期間を要することが多いのが現状です。その上、求人を掲載してから応募が来るまでに時間がかかることもあり、早急に人材を確保したい企業としては、現実的な選択肢とは言い難いものがあります。

実際、一般的な転職サイトの公開求人は、ターゲットの選定から始まり、広告プランの選定、原稿作成、写真撮影、公開、承認までが一連の流れとなっております。一方、転職エージェントの非公開求人は、承認までのプロセスが圧倒的に少なく、ターゲットの選定、求人要項の設定のみです。

求人掲載の依頼から承認に至るまでのプロセスは、非公開求人のほうが少ないため、必然的にスピーディな人材確保につながるといえます。
【図版】公開求人・非公開求人の人材確保の流れ
また、急な事情によって人材確保が必要となった場合、エージェントが企業との間に入ってスピーディに転職活動をサポートする転職エージェントは、人材不足に悩む現場としては重宝する存在といえます。

なかでも、転職エージェントが取り扱う非公開求人であれば、一般的な転職サイトとは異なり、短期間で人材を確保しやすいのが特徴で、すぐにでも人材を確保したい現場のニーズにマッチした求人方法といえます。その上、企業側の求める経験や知識を持つ求職者にピンポイントでアプローチできることから、多数の応募者から人材を選ぶといった手間や時間もかかりません。

結果的に、人材確保までの工数を大幅に省略できることから、すぐに現場の人手を確保したい際に重宝します。

非公開求人を選ぶメリット

非公開求人のメリットは、企業側だけではなく「応募者側」にも存在します。非公開求人はこだわって仕事を選びたい求職者や、専門分野におけるスキルや経験を持つ人などに、特にメリットがあると考えられます。

一般的に公開されている求人とは違い、非公開求人にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

公開求人にはない求人情報が得られる

求職者が非公開求人を選ぶメリットは、公開求人にはない求人情報を得られる点です。

転職活動を行うにあたり、どれだけ転職関連の情報を得られるかは重要です。公開求人だけではなく、非公開求人も選択肢として視野に入れることで、幅広い情報を得ることにつながります。
【図版】公開求人と非公開求人の割合
リクルートエージェントでは、全体の41%が非公開求人(2023年5月12日時点)となっています。求人件数が豊富であることは、自分のスキルや希望にマッチする仕事を探しやすいといったメリットにもつながり、自分が納得できる転職を成功させる上でも重要なポイントになります。

もちろん、必ずしも一般的な転職サイトで公開されている求人よりも、転職エージェントの非公開求人のほうが自分に合った求人が多いとは言い切れませんが、より納得できる求人に出会うチャンスは転職エージェントも多いと考えられます。

大手や有名な企業の求人がある

非公開求人の中には、世界的に知られている大手企業や有名企業の求人も含まれています。

大手企業や有名企業は、競合となる企業やライバル会社が多いことが想定され、むやみに求人情報を公開してしまうと、内部の事情を察知されるリスクがあります。また、大手企業や有名企業の求人は人気が高く、求人を公開すると応募が殺到する事態になりうるものです。そのため、大手企業や有名企業の多くは、転職エージェントの非公開求人で人材を確保していることが少なくありません。

転職エージェントの非公開求人へ応募することによって、結果的に大手や有名企業と出会うきっかけになる可能性もあるでしょう。

ただし、仮に登録した転職エージェントが必ずしも大手企業や有名企業の非公開求人を扱っているとは限りません。また、仮にその求人情報を扱っていたとしても、応募者のスキルや経験などの情報をもとに求人を紹介するのが転職エージェントであるため、必ず大手企業や有名企業の求人を紹介してもらえる保障がないのも事実です。

企業側が求める人物像と、自身の素質がマッチするようであれば、非公開求人を紹介してもらえるチャンスは大きいでしょう。

幹部クラスの求人も多い

非公開求人は、部長や部門長、執行役員といった幹部クラスの求人も豊富です。

企業が幹部クラスの求人を非公開にする理由としては、非公開求人のほうがマッチする人材を効率的に募りやすいからです。

最初から条件にマッチする人材のみにアプローチするため、条件に該当しない人材からの応募を避け、応募担当者の負担を軽減できます。

さらに、幹部クラスの人間が入れ替わることは株主や取引先に不信感を与えるリスクが懸念されたりすることがあるため、幹部クラスは非公開求人で募集することが多い傾向にあります。

また、上記の理由のほか、幹部クラスは基本的に待遇が良いことが多く、在籍社員に不信感を与えないことが目的となることも、非公開求人として出される理由に挙げられます。

さまざまな事情から、ピープルマネジメントクラスおよびVPクラスの人員を非公開求人として募集する事例は多いため、転職エージェントの非公開求人を選ぶことは、部長や執行役員のようなポジションを希望する人にとってのメリットだといえるでしょう。

転職活動で有利になりやすい

非公開求人は、転職エージェントから情報を紹介されて初めて出会う求人です。当然、転職エージェント側も不特定多数の求職者に非公開求人を紹介しているわけではなく、ある程度企業が求める人物像と、求職者の人物像が一致している場合にのみ紹介されます。

つまり、紹介された時点で、自身とその企業とのニーズがマッチしていると考えられるので、競争を避けて有利に転職活動を進めやすくなります。

公開求人の場合は、ほかの応募者との競争になりやすい上に、そもそも企業が求める人材と自分の素質にミスマッチが生じていることもあります。書類選考や面接で不利になってしまうリスクや、非効率な転職活動に陥る可能性もあるのが公開求人のデメリットです。

転職活動をよりスムーズに進めたい人は、非公開求人のほうが満足できる結果となる可能性もあるでしょう。

非公開求人を選ぶデメリット

非公開求人を選ぶにあたり、応募者側にもさまざまなメリットがあることは先述の通りです。しかし、一方で注意しなければならないデメリットも存在します。

高いスキルや豊富な経験が求められる

非公開求人を選ぶ際に注意したいのが、高いスキルや豊富な経験を求められることです。

非公開求人で人員を募っている企業の多くは、すでに「欲しい人材」が明確であることがほとんどです。その多くが、高いスキルを保有する人材や、豊富な経験を持っている人などであり、未経験では挑戦できる仕事が少ないのが現状です。

例えば、転職を機に異業種へ挑戦したいと志す求職者にとっては、非公開求人では選択肢が極端に少なくなることが想定されます。仮に非公開求人を紹介されても、本人の持つスキルや経験によっては、応募に躊躇する求人が多い場合もあり、転職活動が難航する場合もあるでしょう。

スキルや経験に自信がない人にとっては、非公開求人はややハードルの高さを感じるかもしれません。

非公開求人が向いている人の特徴

さまざまな転職エージェントが非公開求人を取り扱っているなか、応募に向いているのは、以下のような人です。

高いスキル・豊富な経験がある人

転職エージェントなどの非公開求人への応募が向いているのは高いスキルを持つ人や、豊富な経験がある人です。一般公開されている求人よりも、非公開求人のほうが求められるスキルが高く、経験も重視される傾向にあるためです。

転職エージェントの非公開求人を紹介してもらうためには、希望する業種に関するスキルを高めたり、経験を積んだりして、少しでも企業とのマッチング性を高めることが大切です。

また、未経験でも転職エージェントの非公開求人を紹介してもらうチャンスを高めるためには、希望業種に関連する資格を取得したり、副業などで実績を積み、即戦力としての活躍が現実的だと思ってもらえる能力を身につけたりするなど、主体的かつ積極的に学ぶ姿勢が重要とされます。

やりたいことが明確になっている人

転職後にやりたいことが明確になっている人は、非公開求人が向いています。非公開求人を出している企業側も、求めている人物像が明確なので、やりたいことが明確であればお互いのニーズにマッチする出会いを得やすくなります。

例えば、「エンジニアのスキルを活かして開発に携わりたい」「これまでのマネジメント経験を活かしてリーダーポジションでチームを引っ張りたい」など、希望する仕事内容が明確であれば、マッチする仕事を優先的に紹介してもらいやすくなります。

可能であれば、具体的なキャリアビジョンも描けていると、より一層自己PRの内容にも具体性が増し、マッチする企業を見つけやすくなるので、転職エージェントの非公開求人への応募を希望する人は参考にしてみてください。

非公開求人を避けたほうがいい人の特徴

非公開求人は魅力的な求人が多いので、紹介を受けたいという希望者は多いものの、避けたほうがいい人もいます。

転職活動を行うにあたり、転職エージェントなどの非公開求人が適していないのは、以下の2つに該当する人です。

未経験の業界・職種へのキャリアチェンジを検討している人

未経験の業界・職種へのキャリアチャレンジを検討している人は、非公開求人での転職活動の難易度は高くなります。非公開求人は、企業側が効率的に優秀な人材を確保するため、一定のスキルを持つ求職者や特定の経験を持つ人が求めている企業が多いのが現状です。

未経験の業界・職種へのキャリアチェンジを検討している人では、採用はもちろんのこと、紹介してもらうことも難しい場合があります。

また、仮に希望する業界や職種の経験があっても、企業側が求めているレベルに達していないと判断された場合には紹介を受けることができません。

いずれにせよ、即戦力となるような十分なスキルや経験は必須であるといえるでしょう。

転職先や仕事内容の希望が不明確な人

「どのようなところで働きたいのか」「どんな仕事がしたいのか」など、転職先の希望が不明確である場合は、企業のニーズにマッチしにくいので、非公開求人は不向きといえます。

非公開求人で人材の募集をはかる企業の多くは「○○の分野で△△の業務が可能な人が欲しい」「これまでに○○の経験を○年以上してきた即戦力が欲しい」など、欲しい人材が明確です。

そのため、転職を検討しているもののどんな仕事をしたいのか分かっていない人や、どんな環境で働きたいのかがはっきりしていない人は、企業側のニーズにマッチしていない状態なので、紹介を受けることが難しくなります。

転職エージェントなどで非公開求人の紹介を受けたい場合は、そもそも自分がどのような場所でどんな仕事をしたいのかなどを明確にするためにも、キャリアの棚卸しをするなどして転職における明確なゴールを決める必要があるでしょう。

非公開求人への応募方法

転職エージェントの非公開求人に応募するためには、担当のエージェントから紹介を受ける必要があります。

まずは、転職エージェントへ登録します。エージェントとスケジュールを調整して面談を行い、面談の結果に基づいて非公開求人を紹介してもらいます。

紹介されるタイミングは、面談のその場であったり、エージェントが情報収集してから後日となったり、利用する転職エージェントや状況によって異なります。

紹介された非公開求人に興味があれば、応募書類を作成して転職エージェントの担当者を通じて非公開求人への応募を行います。

とはいえ、非公開求人を紹介されても、必ず応募しなければならないわけではありません。求人内容をしっかりと確認した上で、興味があれば応募するようなイメージです。そのため「自分のやりたい仕事ではない」「納得できる条件ではない」と感じたら、その場で断っても問題はありません。

応募する際には、エージェントの指示に従い必要書類を準備していきます。基本的には、履歴書や職務経歴書などですが、ほかにも提出を求められたものがあればその都度準備してください。
【図版】非公開求人への応募方法
なお、応募は1社ずつではなく、複数の求人を同時に応募することも可能です。効率的な転職活動にするためにも、採用に至らなかった場合に備えて複数社に応募しておくことをおすすめします。

応募後、書類選考を通過すれば応募先企業と面接を行います。利用する転職エージェントの多くは、面接対策のサポートをしてくれるので、適切に自分をPRできるようアドバイスを得ておくとよいでしょう。

面接終了後、1週間~10日以内に選考結果が通知されることが一般的です。無事に内定が決まれば、入社日などの具体的な内容を決めていきます。また、採用通知書を受け取ったら、しっかりと目を通し、給与や職務内容などが事前に聞いていた内容と相違ないかを確認してください。

非公開求人はスキルや経験によってはおすすめ

非公開求人は、主にスキルの高さや専門性、経験などが求められる求人が多い傾向にあります。そのため、非公開求人を出している企業が求める人物像に近いスキル・経験があれば、応募チャンスが巡ってきやすくなります。

また、転職活動を成功させるためには、幅広い情報収集も必要です。公開求人だけでは得られない、非公開求人ならではの情報も多く、転職活動のヒントになることも考えられます。

未経験の業界・職種への転職を検討している人では、転職エージェントの非公開求人を活用した転職活動は難しいのが現状ですが、まずは担当のエージェントとの面談を通して、非公開求人について気になることを相談してみるとよいでしょう。
監修者
粕谷 麻衣 さん
キャリアコンサルタント兼ライター。求職者のサポートとして、キャリアカウンセリングや面接対策、履歴書の添削などの支援を行いながら、キャリア系コラムの執筆を手掛ける。自身のシングルマザーとして生活してきた経験を活かし、子ども食堂等でひとり親世帯向けに求人案内やカウンセリングなどのボランティアも実施している。

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