企業の採用担当者を対象に「人材採用プロセスのオンライン化」に関する調査を実施
オンライン化導入企業の75.9%に成果。最も成果があったのは「応募者の増加」
大企業では9割以上がオンライン化を導入、55%が「オンライン面接」を実施
求職者も仕事を探す際「オンライン面接」で検索する割合は急増し4年間で120倍へ
世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、企業の採用担当者を対象に人材採用プロセスのオンライン化の実態やその成果について調査を実施しました。同時に、Indeedに蓄積された求人検索ワードや求人情報データから、「オンライン面接」に関する昨今の仕事探し・求人に関するトレンドを明らかにしました。
新型コロナウイルス感染拡大により、人々の生活様式は大きく変化しました。生活における様々な場面でオンライン化がすすみ、それは人々の仕事探しや企業の採用活動にとっても例外ではありません。Indeedに蓄積されたデータをみると、仕事探し時に「オンライン面接」に関連したワードで仕事を検索する人の割合は、2020年3月から急増していることがわかりました。2020年に「オンライン面接」に類するワードで仕事検索が行われた割合は、2017年の120.0倍、2019年の12.9倍にのぼります。もっとも検索が増加したのは2020年8月でこれは2019年8月の34.3倍でした。一方で、企業の求人情報においても、「オンライン面接」を訴求している割合は増加しており、2020年は2019年の3.4倍、2017年からは40.3倍に増加していました(図1)。
図1:「オンライン面接」の仕事検索数、および、仕事数の推移
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、人々の働き方や仕事に対する価値観は変化してきており、それに応じて仕事の探し方も変化してきています。このような変化に対応し、企業には、求職者のニーズを満たす採用手法の導入が求められているといえるでしょう。その一つが人材採用プロセスのオンライン化であると考えられます。
そこでIndeedでは、全国の企業の採用担当者を対象に、人材採用プロセスのオンライン化の実態やその成果について調査を行いました。本調査結果が、企業の人材採用プロセスのオンライン化導入促進の一助になるとともに、求職者がより仕事探しをしやすい環境が広がることを願っています。
■調査結果サマリー
1.新型コロナウイルス感染拡大が採用に与えた影響
半数以上の企業に影響あり。大企業では8割、中小企業で5割を超える。
企業全体の約4分の1で「求める人材の確保が難しくなった」。
2.人材採用プロセスにおける課題
企業全体の約8割が人材採用プロセスに課題。
リソースを割いているのは、コスト面では「募集」、人・時間面では「面接」が最多。
3.人材採用プロセスオンライン化の実態
大企業の9割以上がオンライン化を導入、55%が「面接」をオンライン化。
人材採用プロセスのオンライン化導入のきっかけは、「新型コロナウイルス感染予防」が最多。
4.人材採用プロセスオンライン化による課題
オンライン導入企業全体の約5割が「オンライン面接のみでは適切な選考が難しい」。
5.人材採用プロセスオンライン化の効果
オンライン化導入企業の9%が成果を実感。最も成果があったのは「応募者の増加」。
*本調査では、従業員数100名以上の企業を「大企業」、99名以下の企業を「中小企業」と定義。
■調査結果詳細
1.【新型コロナウイルス感染拡大が採用に与えた影響】半数以上の企業に影響あり。大企業では8割、中小企業で5割を超える。企業全体の約4分の1で「求める人材の確保が難しくなった」。
新型コロナウイルス感染拡大が企業の採用活動に与えた影響について調査しました。その結果、何らかの影響があった企業は企業全体の52.8%と半数以上にのぼりました(図2)。企業規模別にみると、大企業(従業員100名以上の企業)では81.4%、中小企業(従業員数99名以下の企業)では52.0%の結果となり、特に大企業における影響が大きかったことがわかりました。
図2:新型コロナウイルス感染拡大により採用活動に何らかの影響があった企業の割合
影響があった内容を尋ねたところ、企業全体では1位「求める人材の確保が難しくなった」が約4分の1にあたる23.3%、2位「応募者が減った」17.1%、3位「募集人数を減らした」9.3%でした。中小企業の1位〜3位も同じ結果です。一方で、大企業においては、1位は「求める人材の確保が難しくなった」33.0%で企業全体の傾向と同じですが、2位は「募集人数を減らした」28.7%、3位は「人材採用プロセスや手法を見直し、変更した」24.5%でした。
新型コロナウイルス感染拡大は、多くの企業の採用活動に影響を与えたことがわかります。企業全体で応募者数が減るなど人材確保が難しくなったり、募集人数自体を減らしたりといった対応をとる企業が多かったようです。また、大企業においては、約4分の1の企業が人材採用プロセスを見直していたこともわかりました。
図3:新型コロナウイルス感染拡大が企業の採用活動に与えた影響(上位6位) ※複数回答
2.【人材採用プロセスにおける課題】企業全体の約8割が人材採用プロセスに課題。リソースを割いているのは、コスト面では「募集」、人・時間面では「面接」が最多。
新型コロナウイルス感染拡大により企業の採用活動は様々な影響を受けていることがわかりましたが、そもそも企業が抱えている採用課題にはどのようなものがあるのでしょうか。人材採用プロセスにおける課題を調査しました。その結果、何らかの課題を抱えている企業の割合は企業全体の79.3%にのぼりました。大企業では93.3%、中小企業では78.9%の結果でした(図4)。
図4:人材採用プロセスに何らかの課題を抱えている企業の割合
また、企業が人材採用プロセス**の中で最もリソース(コスト、人、時間)を割いているものについても確認しました(図5)。その結果、最もコスト(費用)をかけているのは「募集(自社HPや採用媒体等への掲載など)」で、企業全体の51.9%にのぼり、次いで「面接」が16.9%(合計68.8%)でした。さらに、最も人的リソースを割いているのは「面接」が最多で41.9%、次いで「募集」が21.9%(合計63.8%)でした。また、最も時間を割いているのも「面接」が最多で40.2%、次いで「募集」が21.8%(合計62.0%)という結果でした。コスト・人・時間のいずれにおいても、「募集」か「面接」のいずれかに最もリソースをかけており、それらを合わせると6割以上の企業が回答しています。
**人材採用プロセスを「募集(自社HPや採用媒体等への掲載など)」「採用イベント(会社説明会、オフィスツアーなど)」「書類選考」「適性検査(性格診断、能力テスト等)」「面接日程の調整」「面接」「選考」「応募者への連絡」「採用プロセスの進行管理」の10フロー、および、「その他」に分けて聴取。
図5:人材採用プロセスの中で最もリソース(コスト、人、時間)を割いているフロー ※各単一回答
3.【人材採用プロセスオンライン化の実態】大企業の9割以上がオンライン化を導入、55%が「面接」をオンライン化。人材採用プロセスのオンライン化導入のきっかけは、「新型コロナウイルス感染予防」が最多。
人材採用プロセスのオンライン化を導入している企業の実態を調査しました(図6)。その結果、全ての人材採用プロセスをオンライン化しているのは企業全体の0.1%、一部をオンライン化しているのは61.1%で、合わせて61.2%の企業で人材採用のオンライン化を導入済みであることがわかりました。また、今後オンライン化を取り入れようと考えている企業は15.8%で、予定もあわせると77.0%の企業が人材採用のオンライン化を進めていることがわかります。
この傾向は特に大企業で顕著で、91.5%は既にオンライン化を導入しており、予定も合わせると95.7%が人材採用のオンライン化を進めています。
図6:人材採用プロセスのオンライン化状況 ※単一回答
それでは、人材採用プロセスにおけるどのフローでオンライン化が進んでいるのでしょうか。詳しく尋ねたところ、オンライン化が最も進んでいるフローは「募集」で、完全オンライン化(13.9%)、リアルとオンラインの併用(32.9%)を合わせて46.8%の企業でオンライン化を導入していました。大企業では78.7%にあたります。次いで「求職者の応募」「応募者の情報管理」「採用プロセスの進行・ステータス管理」の順でオンライン化が進んでいることがわかりました。いずれも、中小企業よりも大企業で進んでいることがわかります。
企業が人的リソース、時間リソースを最も割いている割合が最多であり、また、昨今求職者ニーズも高まっていると考えられる「面接」においては、オンライン化の導入は企業全体の18.7%に留まりました。しかし、大企業においては55.1%と半数以上でオンライン化が進んでいました。
図7:具体的な人材採用プロセスのオンライン化割合 ※各単一回答
それでは、人材採用プロセスをオンライン化したきっかけは何だったのでしょうか。すでに何らかのオンライン化を取り入れている企業を対象に、オンライン化導入のきっかけを伺いました(図8)。その結果、企業全体の29.0%、大企業の52.4%、中小企業の28.1%が「新型コロナウイルスの感染予防」と回答し、最多の結果となりました。「採用にかける時間の削減」27.4%(大企業30.2%、中小企業27.3%)、「採用にかけるコストの削減」27.0%(大企業32.7%、中小企業26.7%)と続きます。
新型コロナウイルス感染対策や人材採用プロセスの効率化(リソースの削減)のためにオンライン化を導入する企業が多いようです。また、大企業では便利なツール等の増加が、採用のオンライン化導入のきっかけになっている割合が高いこともわかりました。
図8:人材採用プロセスのオンライン化を導入したきっかけ(上位5位) ※複数回答
4.【人材採用プロセスオンライン化による課題】オンライン化導入企業全体の約5割が「オンライン面接のみでは適切な選考が難しい」。
人材採用プロセスのオンライン化を進める上での課題について調査しました。すでに何らかのオンライン化を取り入れている企業に確認すると、「オンライン面接のみでは適切な選考が難しい」が最も多く、企業全体の49.4%(大企業50.7%、中小企業49.3%)となりました。2番目に多かったのは「オンライン採用を適切に運用するノウハウがない」で企業全体の22.5%ですが、1位の半分以下の割合となりました(図9)。採用のオンライン化導入・促進に向けては、「オンライン面接」が重要なポイントとなっているといえそうです。
図9:人材採用プロセスオンライン化による課題(上位5位) ※複数回答
5.【人材採用プロセスオンライン化の効果】オンライン化導入企業の9%が成果を実感。最も成果があったのは「応募者の増加」。
人材採用プロセスオンライン化の成果について調査しました。既にオンライン化を進めている企業の75.9%が何らかの成果があったことがわかりました(図10)。最も成果があった内容を尋ねたところ、「応募者の増加」が13.6%で最多となりました。次いで「人材採用にかかる時間の削減」12.1%、「人材採用にかかる費用の削減」10.8%、「人材採用にかかる労力(人的リソース)の削減」10.4%とリソースの削減についての回答が続きました(図11)。
新型コロナウイルス感染拡大の採用への影響は、1位「求める人材の確保が難しくなった」2位「応募者数が減った」という結果でした(図3)が、人材採用プロセスのオンライン化はこれらの新型コロナウイルス感染拡大がもたらした課題に対する解決策の一つとなりうると考えられます。
図10:人材採用プロセスオンライン化による成果の有無
図11:人材採用プロセスオンライン化により最も成果があったもの(上位5位) ※単一回答
【まとめ】
Indeedのデータから、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年3月頃より、「オンライン面接」というキーワードで仕事を探している求職者の割合が急増していることがわかりました。
一方で、今回実施した調査結果からは、新型コロナウイルス感染拡大により、企業全体の52.8%、従業員数100名以上の企業では81.4%と多くの企業が採用活動に影響を受け、特に「求める人材の確保」や「応募者減少」が課題となっていることがわかりました。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして人材採用プロセスのオンライン化を進めた企業も多く、企業全体の77.0%、大企業の95.7%が、人材採用プロセスのオンライン化を導入、または導入を予定していることがわかりました。そして、実際に人材採用プロセスのオンライン化により75.9%の企業は成果を感じており、「応募者の増加」という具体的な成果が出ていることもわかりました。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、求職者側もオンライン面接へのニーズが増加するなど、人材採用プロセスのオンライン化を求めている可能性が高いことが、その一因であると考えられます。
社会環境の変化や、それに伴う求職者のニーズの変化に対応し、企業の人材採用プロセスのオンライン化の流れは今後も進んでいくと考えられます。この流れは、求職者にとっても、より安全、かつ、手軽に自分に合った仕事を探しやすくなる傾向であるといえるでしょう。
一方で、企業が人材採用プロセスのオンライン化を進めるにあたり、「オンライン面接のみでは適切な選考が難しい」といった運用のノウハウ面での課題が大きいことも明らかとなりました。Indeedでは、「成功するWeb採用面接」等の企業向けのオンライン面接のノウハウをまとめた記事コンテンツを公開しています。
Indeedは、あらゆる人々が幸せになれる仕事を見つけるためのサポートを行っています。今後、より多くの企業に対して人材採用プロセスのオンライン化をサポートし、人材採用プロセスの効率化と質の向上に貢献していくとともに、求職者がより自分に合った仕事を見つけやすくなる環境づくりを促進してまいります。
■参考資料
企業向け オンライン面接(Web面接)のノウハウ紹介コンテンツ
求職者向け オンライン面接(Web面接)のノウハウ紹介コンテンツ
■調査概要
- Indeedデータ
・仕事検索数:Indeedにおける日本での全仕事検索の中で、「オンライン面接」「リモート面接」「Web面接」「ウェブ面接」の4ワードを用いた100万件あたりの仕事検索数を算出
・仕事数:Indeedに掲載されている全求人情報(インターネット上からクローリング等で収集したもの、および、Indeedに直接投稿された求人情報)のうち、「オンライン面接」「リモート面接」「Web面接」「ウェブ面接」が含まれる100万件あたりの仕事数を算出
・対象期間:2017年1月~2020年12月
- インターネット調査
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査対象:全国の企業の採用担当者414人(採用活動において権限をもつ人)
・割付方法:従業員数100人以上を大企業、99人以下を中小企業として均等割付後、日本の大企業数および中小企業数の構成比(総務省統計局 平成28年経済センサス‐活動調査 確報集計「企業等に関する集計」)に合わせてウェイトバック集計を実施
・調査方法:インターネット調査
・調査時期:2021年3月8日(月)〜3月10日(水)
■プレスリリースは、以下からもご覧いただけます。
【プレスリリース】企業の採用担当者を対象に「人材採用プロセスのオンライン化」に関する調査を実施
Indeed (インディード) について
Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者は何百万もの求人情報を検索することができます。 約350万の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。また、月間3.5億人以上のユニークビジター**が、Indeedで求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
*出典:Comscore 2023年6月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年4~7月
報道関係の方からのお問い合わせ先
Indeed Japan株式会社 広報窓口 E-mail: jp-pr@indeed.com