【有識者会議 開催レポート】
Indeed、職場のジェンダーギャップ解消に向けた有識者会議を開催
治部 れんげ氏、田中 沙弥果氏、佐藤 直樹氏が出席「性別による仕事の押し付け」、「産休・育休」にまつわる課題を


世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、ひとりひとりが、より自由に、より力を発揮して働くことができる新しいルールや考え方をみつけていく「ハロー、ニュールール!」キャンペーンを2022年10月28日(金)より開始しています。その一環として2023年1月17日(火)に「ジェンダーギャップ解消に向けた有識者会議」を実施しました。本有識者会議には、Indeed Japan代表取締役の大八木の他、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 准教授の治部れんげ氏、特定非営利活動法人Waffle Co-Founderの田中沙弥果氏、九州工業大学 名誉教授の佐藤直樹氏が参加しました。

職場のジェンダーギャップ解消に向けた有識者会議フォトセッション

Indeedは「ハロー、ニュールール!」キャンペーン第一弾として日本の職場や仕事に関するジェンダーギャップのリアルな実態を知るために、「#これでいいのか大調査」を実施し日本全国から、働く上でのジェンダーに関する課題や違和感の声を広く集めました。この調査結果を受けて、ジェンダーギャップ改善の障壁となっている課題とその解決に向けた方策について、幅広い見地から意見・助言を得ながら検討するために有識者会議を開催しました。

「We help people get jobs.」をミッションに掲げるIndeedでは、あらゆる人々が公平に自分にあった仕事を見つけられるような社会の実現を目指しています。本調査で明らかとなった結果も踏まえ、今後も仕事探しや就業における男女格差を含むあらゆるバイアスやバリアを無くしていくための活動にも尽力してまいります。

■「ジェンダーギャップ解消に向けた有識者会議」実施概要

  • 開催日時: 2023年1月17日(火)14:00~16:00
  • 会場: Indeed Japan株式会社 六本木オフィス
  • 登壇者:
    • 治部 れんげ(じぶ れんげ) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 准教授
    • 田中 沙弥果(たなか さやか) 特定非営利活動法人Waffle Co-Founder
    • 佐藤 直樹(さとう なおき) 九州工業大学 名誉教授(世間学)・評論家
    • 大八木 紘之(おおやぎ ひろゆき) Indeed Japan株式会社 代表取締役/ゼネラルマネジャー

■ 有識者会議開催レポート

1.調査を通じて浮き彫りになる、職場のジェンダーギャップ

有識者会議の冒頭では、「ハロー、ニュールール!」キャンペーンの中で行われた「#これでいいのか大調査」の結果の共有を行いました。全国15歳以上の働く男女5,000人へのインターネット調査をもとにした定量調査と、電話録音やTwitter、投稿フォームを活用した投稿募集を実施し、投稿募集では675件、付随するSNS上のコメントを含めると約1,500件もの声が集まり、働く人々が抱える、ジェンダーギャップ問題に対する関心の高さが垣間見えました。

まず、ジェンダーギャップに対する一般の方の認識について尋ねた結果が紹介されました。「ジェンダーギャップの解消とは性別で不利益を被らないこと」と考える人が約80%を占める一方で、「ジェンダーギャップは自分にとって身近なテーマである」と捉えている人は20%を下回るという調査結果を見て、経済記者出身で男女平等関連の公職経験を持つ治部れんげ氏は、ジェンダーギャップ問題を自分ごととして捉える人の少なさに着眼しました。

治部氏:

2.ジェンダーギャップに対する意見

次に、ジェンダーギャップの具体的経験を見ると、「子育てとフルタイム勤務の両立が難しい」「男女で賃金・ボーナスに差がある」「『男のくせに』や『女性なのに』等、性別による立ち振る舞いを求められる」「生理で休むと言いづらい」が上位になり、「職場で存在している/していた慣習や(暗黙の)ルール」では、「男性の方が昇進しやすい」「男性の方が責任ある仕事を任される、リーダーになりやすい」といった声があがりました。

投稿で収集された声は大きく8個のテーマ別に分けられ、「産休育休復帰が難しい」「育休や休みをとりにくい(主に男性)」「正当に評価されない」「性別による偏った仕事の押し付け」が上位を占めました。

職場でジェンダーギャップを感じた経験TOP5
投稿募集で集まった声の傾向

この結果についてIndeed Japan代表取締役の大八木紘之は、出産や育児を取り巻く状況を課題視し、以下のようにコメントしました。

大八木:

さらに調査では、理不尽な慣習やルールに対して行動を起こさなかった理由について、「どうせ変えられないと思ったから」「波風を立てたくなかったから」という声が寄せられました。世間学をテーマに、男尊女卑をはじめとした日本古来の習慣を研究する佐藤直樹氏は、「同調圧力」という言葉を用いて結果を分析しました。

佐藤氏:

IT・STEM分野のジェンダーギャップを解消するために特定非営利活動法人Waffleを設立した田中沙弥果氏は、「構造化された差別の、氷山の一角が現れている」と、調査結果を読み解きました。

田中氏:

2.性別による偏った仕事の押し付けと、社内に潜む『謎ルール』

有識者会議では、ジェンダーギャップの具体的経験や暗黙のルールについて、顕著に現れた二つのテーマについて議論が進められました。

一つ目のテーマは、「性別による仕事の押し付け」。投稿における「女性のみが朝晩の掃除やお茶くみ、お菓子配りを頼まれる」「同じ仕事内容でも男性の方が早く出世したり、大きいプロジェクトを任される」「問い合わせが多く来るレジ業務は必ず女性が配属させられる」といった声が該当します。

性別による偏った仕事の押し付けに関して集まったコメント例

佐藤氏:

治部氏:

大八木:

性別による偏った仕事の押し付けを解消するためには、どのような策が糸口となるのかについて議論を深めました。

佐藤氏:

田中氏:

田中氏は構造的分析に続けて、「最大残業時間の設定、施行」「長時間労働を管理職要件とするような女性への間接差別の撤廃」「短時間正社員制度の導入と評価制度の見直し」「総合職、一般職の廃止とジョブ型雇用への移行」「ステレオタイプ的職種配置を廃止」といった具体的な解決策を提示しました。

田中氏:

大八木:

治部氏:

3.産休・育休復帰後のキャリア形成や男性の育産取得の促進において、組織と個人に求められること

もう一つの議論テーマは「育休・産休に関する課題」。投稿では、産休・育休復帰後のキャリア形成の難しさや、特に男性の育休や長期休み取得の難しさを指摘する声が該当します。

育休・産休に関して集まったコメント例

治部氏:

佐藤氏:

田中氏:

大八木:

有識者会議風景

佐藤氏:

佐藤氏は、具体的な解決の糸口として、「小さな世間をたくさんつくる」ことを提案しました。

佐藤氏:

大八木:

田中氏:

4.ジェンダーエクイティの実現に向け、社会を動かしていくために

最後に、ジェンダーエクイティの実現に向けて、個人・組織の両方の観点からどのように問題にアプローチしていくべきか、議論を終え各々の総括を述べ合いました。

大八木:

田中氏:

佐藤氏:

治部氏:

■ 登壇者 プロフィール 

治部れんげ氏

治部 れんげ(じぶ れんげ)/東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社で16年間、経済誌記者。2006年~07年ミシガン大学フルブライト客員研究員。2018年一橋大学大学院経営学修士。2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、国際女性会議WAW!国内アドバイザー、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進会議会長など男女平等関係の公職多数。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)、『ジェンダーで見るヒットドラマ』(光文社新書)などがある。

田中 沙弥果(たなか さやか)/特定非営利活動法人Waffle Co-Founder

1991年生まれ。2017年NPO法人みんなのコード入職。文部科学省後援事業に従事したほか、全国20都市以上の教育委員会と連携し学校の先生がプログラミング教育を授業で実施するために事業推進。2017年から女子およびジェンダーマイノリティの中高生向けIT教育の機会提供を開始。2019年にIT分野のジェンダーギャップを解消するために一般社団法人Waffleを設立(その後、特定非営利活動法人化)。2020年Forbes JAPAN誌「世界を変える30歳未満30人」受賞。内閣府 若者円卓会議 委員。経産省「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」有識者。

佐藤直樹氏

佐藤 直樹(さとう なおき)/九州工業大学 名誉教授(世間学)・評論家

九州工業大学名誉教授・評論家。1951年、仙台市生まれ。専門は世間学、現代評論、刑事法学。九州大学大学院博士後期課程単位取得退学。九州大学助手、英国エジンバラ大学客員研究員、福岡県立大学助教授、九州工業大学教授などを経て、九州工業大学名誉教授。1999年に歴史学者の阿部謹也などと「日本世間学会」を立ち上げ、現在は日本世間学会幹事。ラジオ、テレビ、新聞、雑誌などで世間についての発言を続けている。著書に、『同調圧力』(講談社現代新書、鴻上尚史との共著)『世間の目』(光文社)『なぜ日本人はとりあえず謝るのか』(PHP新書)『犯罪の世間学』(青弓社)『目くじら社会  の人間関係』(講談社+α新書)『加害者家族バッシング』(現代書館)などがある。

大八木紘之

大八木 紘之(おおやぎ ひろゆき)/Indeed Japan株式会社 代表取締役

2004年株式会社リクルートに入社。住宅領域やオンライン広告領域で、営業・事業開発を経験後、2012年に海外投資領域にて北米のベンチャー企業投資を担当。その後、2013年にIndeed Inc. に出向し、米国にて事業企画・推進に従事したのち、2018年からはIndeedのグローバルストラテジー シニアディレクターとして、Indeedのグローバル戦略を推進する。2020年7月に日本に戻り、Indeed Japan株式会社の代表取締役に就任。

 

■「ハロー、ニュールール!」キャンペーンについて 

Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、あらゆる人々が公正に自分にあった仕事に就ける社会の実現を目指し、職場環境や仕事探しにおける偏見や障壁をなくしていくための取り組みを行っています。

日本は、世界経済フォーラムが毎年公表する、各国における男女格差を図る「ジェンダーギャップ指数」※1において、2022年は146カ国中116位と主要先進国で最下位でした。2021年は156カ国中120位、2020年は153カ国中121位と、先進国の中では最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い結果が続いています。当社調査※2においても、働く人の約7割が、直近3年のうちに職場でジェンダーギャップを感じていることが分かり、働く上でのジェンダーギャップが大きな課題となっています。

この数年間で働き方が大きく変わった一方で、男女間の賃金や役職の違い、職業のジェンダーバイアス、子育てによるキャリアのブランク問題など、ジェンダーギャップが残る古い慣習や暗黙のルールがまだまだ存在します。実際に、当社調査※2でも、働く人の約2人に1人が「今の職場ルールや慣習におけるジェンダーギャップに違和感がある」と回答しています。さらに、職場でジェンダーギャップを体験した人の約4割が、そのような職場では「能力を十分に発揮できない」と感じており、社員のモチベーションの低下や会社の将来性にも影響を及ぼす可能性があることが明らかになりました。

そこで、Indeedは、ひとりひとりが、もっと自由に、もっと力を発揮して働くことができるための新しいルールや考え方をみつける「ハロー、ニュールール!」キャンペーンを開始し、職場や仕事探しにおけるジェンダーギャップの解消に向けたさまざまな取り組みを行っていきます。
※1: 世界経済フォーラム「The Global Gender Gap Report 2022」
※2:「Indeedジェンダーギャップに関する意識調査(2022)」

■ Indeed「#これでいいのか大調査」 概要

「ハロー、ニュールール!」キャンペーンの第一弾として、日本の職場のジェンダーギャップのリアルな実態を把握するために、働く上でのジェンダーに関する違和感を日本全国から募集する「#これでいいのか大調査」を実施しました。バカボンのパパお馴染みのセリフ「これでいいのだ」ではなく、あえて「これでいいのか?」の問いかけを発することで、日本全国の働く人のジェンダーギャップやジェンダーに関する違和感などの生の声が集まりました。
※募集期間2022年10月28日(金)~2022年11月30日(水)


Indeed (インディード) について

Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者は何百万もの求人情報を検索することができます。 約350万の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。また、月間3.5億人以上のユニークビジター**が、Indeedで求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。
*出典:Comscore 2023年6月総訪問数
**出典:Indeed社内データ 2023年4~7月


報道関係の方からのお問い合わせ先
Indeed Japan株式会社 広報窓口  E-mail: jp-pr@indeed.com