転職理由と本音のTOP10|
企業面接で好印象を与える転職理由の伝え方を解説

転職の理由には、「給料が上がらない」「職場の人間関係が悪い」「会社の将来に希望が持てない」などさまざまなものがあります。しかし、面接でその本音をそのまま伝えることは、あまり好ましくありません。では、面接で転職理由を聞かれたとき、どのように答えればよいのでしょうか。この記事では、厚生労働省より発表された「令和3年雇用動向調査結果の概況」をもとに、転職理由と転職を考えるときの本音について考察。また面接で採用担当者に好印象を与える、転職理由の伝え方について解説します。
更新日:2026/05/21

厚生労働省発表の転職理由TOP10(令和3年)

令和4年8月31日、厚生労働省より発表された「令和3年雇用動向調査結果の概況」の中には、日本国内の主要産業における転職入職者が前職を辞めた理由に関するデータが記載されています。

転職した人は、どのような理由で前職を退職したのでしょうか。ここでは、「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」以外の理由について、多い順にみていきましょう。
【図版】【男性の年齢別】前職を辞めた理由割合
【図版】【女性の年齢別】前職を辞めた理由割合
参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況

前職を辞めた理由①:「定年・契約期間の満了」

「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」以外で用意された具体的な理由の中で、男女ともに最も多かったのが「定年・契約期間の満了」です。

年代別で見ると、特に男性は60~64歳の62.9%、女性は49.1%の方が「定年・契約期間の満了」で退職しています。定年を迎える年代であることから当然の結果ともいえますが、終身雇用制にとらわれない企業が増えている中でも定年を迎えるまで同じ会社に所属する人は、現在でも多いことが伺えます。

前職を辞めた理由②:「労働時間・休日などの労働条件が悪かった」

続いて多かったのが「労働時間・休日などの労働条件が悪かった」です。

具体的には、「残業が多い」「休日出勤を求められることがある」などの理由が考えられますが、中でも男性は20~24歳(14.2%)、女性は19歳以下(28.6%)の割合が高かったという結果になっています。年齢層が男女ともに20歳前後ということもあり、プライベートをもっと充実させたいと考えて退職する方が多かったのではないかと推測できます。

働き方改革など労働環境の見直しは多くの企業で推進されていますが、今回の調査にある具体的な個人的理由の中では最も多く、現実的にはまだまだ改善されるべき課題であることがこの結果からも伺うことができます。
【図版】仕事や職業生活に関する強いストレスの有無及び内容別労働者割合
出典:厚生労働省 令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

前職を辞めた理由③:「職場の人間関係が好ましくなかった」

労働条件同様に、退職につながる理由としてよく取り上げられるのが、人間関係です。今回の調査でも、退職の理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」を選んだ方が多く存在しました。

年代別に見てみると、男性でこの理由を選んだ割合は19歳以下が最も高く(18.1%)、対照的に女性は55~59歳の年代が最も多い(16.2%)ことが分かりました。男女で年代の差は見られますが、企業の大小、業種を問わず、職場での人間関係は退職につながる、問題のひとつとなっているようです。

前職を辞めた理由④:「会社都合」

前職を辞めた理由として、男性は5番目、女性は4番目に多かったのが「会社都合」。この「会社都合」には、具体的にどのような理由があるのでしょうか。

「会社都合」で退職した方を年代別で見ると、男性は50~54歳(16.4%)、女性は40~44歳(12.9%)が多いという結果になっています。このことから「会社都合」による具体的な退職の理由として、事業縮小による人員削減やリストラ、希望退職制度による早期退職などが推測されます。

40~50代は、経験も豊富で会社でも重要なポストを担う人材が多い一方で、給料が高くなるという点があります。年齢給ではなく、職能給などの制度に移行する会社も増えてきてはいますが、人件費が高い傾向にあるこの年代は、どうしてもリストラなどの対象になりやすいのが現状のようです。
【図版】年齢階級別賃金(令和4年)
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査

前職を辞めた理由⑤:「給料等収入が少なかった」

就職や転職する際に、給料は重要な条件のひとつです。今回の調査でも前職を辞めた理由として「給料等収入が少なかった」を選んだ方は、「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」以外では男性は4番目、女性は5番目に多いという結果でした。

給料等の収入が少ないと、私生活でストレスが溜まったり、将来への希望が持てなくなったりします。特に男性は25~29歳(14.8%)、女性は40~44歳(11.6%)の年代で給料等の収入の悩みで転職する方が多いという結果になりました。男女を比較すると、男性は20代、女性は40代と差があるのが特徴です。

男性の40代の割合を見ると、「給料等収入が少なかった」ことで退職した人は20代、30代と比べると低く、給与に対する悩みは年齢とともに減少する傾向がみられます。対照的に40代が最も多い女性は、ある程度キャリアを積んでから給与で悩む傾向にあるようです。

前職を辞めた理由⑥:「会社の将来が不安だった」

「会社の将来が不安だった」は、男性は8番目、女性は9番目に多かった理由です。

年齢別では、男性は35~39歳(14.0%)が最も多いという結果になっています。30代後半は経験も積み、管理職候補としてキャリアアップを狙える年代。また、40代、50代と年齢が高くなるにつれ、転職の難易度は高くなる傾向にあることから、家族や老後の将来を考え、40歳を前により安定した職場を選ぶ方が多いのではないでしょうか。

一方、女性も同じ35~39歳(6.7%)と、45~49歳(6.7%)が比較的「会社の将来が不安だった」ことを理由に退職した方の割合は高いのですが、最も多かったのは20~24歳(7.3%)という結果になっています。男性は会社の将来を不安に感じて転職した方の割合が35~39歳をピークに、その後は減少していきますが、女性は入社後間もない段階や、経験を積んだ40代でも不安を感じたりして転職する方が多いことが分かりました。

前職を辞めた理由⑦:「能力・個性・資格を生かせなかった」

前職を辞めた理由として次に多かったのが「能力・個性・資格を生かせなかった」という理由です。

この理由の背景には、退職を決断した方々の仕事に対する自信や責任感が伺えます。年代別では、男性は40~44歳(10.9%)、女性は50~54歳(7.6%)が「能力・個性・資格を生かせなかった」ことを理由に退職しています。

男女ともに、年齢的には管理職となっていることが想像される世代。知識もスキルも身につけた上で、自分のキャリアアップを意識して転職を決断したことが推測できます。

前職を辞めた理由⑧:「仕事の内容に興味が持てなかった」

前職を辞めた理由で男性は7番目、女性は8番目に多かったのが「仕事の内容に興味が持てなかった」というもの。年代別で高かったのは、男性は30~34歳(10.3%)、女性は25~29歳(7.5%)という結果です。

男女ともに、20代後半から30代前半の年代で、入社して一定期間、働いてからの決断であることが分かります。仕事の内容も理解できるようになり、ある程度スキル、知識を身につけたからこその悩みといえるかもしれません。自分の考えと仕事内容のミスマッチなどから、環境を変えてみるために転職を希望したことが推測できます。

前職を辞めた理由⑨:「結婚」「出産・育児」

「結婚」を理由に退職・転職した人は、男女ともに25~29歳の区分が突出して多く、「出産・育児」を理由に転職した女性は、30~39歳に集中していることが分かりました。

近年は女性だけでなく、男性の育休制度も推進されていますが、「結婚」「出産・育児」は、特に女性の働き方に大きく影響するライフイベントといえます。会社に産休・育休を気兼ねなく申請でき、その後も職場復帰できる会社の風土や時短勤務制度など、仕事と子育てを両立しやすい環境を求めて転職されることが推測されます。

前職を辞めた理由⑩:「介護・看護」

転職した人の中には、「介護・看護」を理由に前職を辞めた人も一定数います。年齢別では、男女ともに55~59歳の割合が多く、特に女性は同区分で3番目に多い理由(「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」を除く)となっています。

55~59歳といえば、両親が80、90歳を迎える頃。家族によって「介護・看護」が求められ、仕事をしながらでもしっかりと両親をケアできる職場に転職される方が多いようです。

企業面接で好印象を与える転職理由の伝え方

転職の面接では、必ずといっていいほど「なぜ転職を希望されたのですか」という質問が聞かれます。理由は「この人は採用してもまたすぐに退職しないか」を確認するためです。

採用担当者は、その返答から、応募者が前の会社でどのように仕事に取り組んできたのか、根気や忍耐力はある人材なのかを探ります。

特に前の会社での在職期間が短かった人や、複数回の転職歴がある人などは「この人はまたすぐに辞めてしまうのでは」と考え、転職を希望した理由を重視されることが多いのです。

もしも転職する理由として、個人的な問題やコミュニケーション能力に難があると判断された場合は、採用は見送られる可能性は高くなります。

また、面接の際、転職理由を聞かれたとき、できるだけ高い評価を得ようとして、本当の理由からかけ離れた理由を伝えてしまう人がいます。「本当の理由を言ってしまっても大丈夫だろうか……」「本当の理由を言ったら採用されないのではないか」と不安になり、本音を語ることに躊躇してしまう人も多いでしょう。

しかし、ベテランの面接官であれば、こうした嘘はすぐに見抜かれてしまいます。見抜いた上でさらに本音を引き出そうと質問を変えてくる場合もあります。質問に対して何から何まで全てをさらけ出す必要もありませんが、嘘をつくのは避けたほうがよいでしょう。

では、転職理由はどこまで本音を伝えればよいのでしょうか。転職理由を伝える際のポイントとその例文をご紹介します。
【図版】転職理由を伝える際の3つのポイント

転職理由の本音が「給料が少なかった」場合

「給料が少ないから転職する」ことは、決して悪いことではありません。しかし、この理由をストレートに面接で回答することは好ましくありません。例えば、以下のように、ポジティブな内容も加えて伝えるとよいでしょう。

「これまでの経験を生かして新しいことにチャレンジしたいと思い、思い切って転職することを決意しました。また、仕事内容だけでなく、可能な限り給与面も含めたキャリアアップを目指したいと考えています。御社の求人内容を拝見し、事業内容も給与面においても自分の希望にあった条件であり、大変魅力を感じてこの度応募させていただきました」

「結婚を機に将来のことを真剣に考えるようになり、もうすぐ子どもも生まれるので現在の会社の給料よりも高い会社に転職したいと考え、今回転職を決意しました」

このように、もう少し給料がほしい理由や、将来への具体的なビジョンがあって転職することを明確に伝えることが、面接の際に重要なポイントとなります。

転職理由の本音が「労働条件が悪かった」場合

転職理由が「労働条件が悪かった」場合は、どのように回答すればよいでしょうか。本音としては、以下のような回答が考えられます。

「人材不足で仕事が常に忙しく、労働環境が悪いから転職することにしました」

これは転職の理由として間違ってはいませんが、面接官はこれを聞いたとき「仕事が忙しかったから転職したいのか。うちの会社に入ってもすぐ退職してしまうのではないか」と思うかもしれません。

労働環境が転職の理由なら、現在、または前職の労働環境を具体的に説明することが大切です。

「現職の仕事はとてもやりがいを感じていますが、どうしても退勤時間が遅くなることが多く、特に繁忙期は休日出勤などもあります。私はしっかりと働くためにも、仕事と同じくらい家族(友人)との時間や趣味の時間を大切にしたいと考えています。オフを充実させることが、仕事のモチベーションにもなるので、仕事に全力で取り組みながら、プライベートの時間もしっかりと確保できる環境を求めて今回転職を決意しました」

このように、ただ休みたいだけではなく、仕事をしっかりとするためのベストな環境を求めたことが転職の理由であることを伝えられるとよいでしょう。

転職理由の本音が「職場の人間関係」場合

前述した厚生労働省の調査にもあった通り、職場の人間関係の悩みは、転職理由の上位に入る理由のひとつです。しかし、転職で面接に臨む際、人間関係を転職の理由にするのは、できるだけ避けたほうがよい回答になります。

近年は、パワハラなど人間関係の問題が注目されることも多く、採用する側としては、「採用後、職場内でうまくコミュニケーションをとってくれる人なのか」「前の会社では人間関係でなにか問題を起こしていないか」は、重要な判断材料となっています。

そこで正直に「上司からいつも命令口調で仕事を指示されていました」「同僚の分までいつも自分が仕事を抱えていました」など愚痴のようなことを言ってしまうと、他責思考の人と思われてしまいかねません。

こうした人間関係を理由に転職をする場合は、きちんと事実は伝えつつ、転職する理由をポジティブなものとして伝えることが大切です。

「前の会社では、経営はトップダウンで多くの場面で上司からの指示に従って働くことを原則とされてきました。しかし私自身、ある程度、スキルや知識も身につき、積み重ねてきた経験をもっと自発的に生かせる環境で働きたいと思い、転職することを決意しました」

退職や転職を希望する理由はさまざまですが、このように理由がネガティブなものだったとしても、言い方を工夫することでポジティブな印象を与えることができるのです。

まとめ

今回は、転職の理由について、厚生労働省の統計データをもとに、どのような理由が多いのかご紹介しました。自分の状況と重ね合わせ、共感する部分も多かったのではないでしょうか。

また、転職する際の面接では、ほとんどのケースで転職理由を聞かれます。転職の理由として「給料が安い」「人間関係が悪い」「労働条件が悪い」といった理由が挙げられますが、これらの本音をそのまま面接官に伝えてしまうと、あまり良い印象を与えることはできません。転職理由を面接で伝える際には、転職をポジティブに捉えることが重要なポイントになります。

転職の面接で「どのような回答をすればよいのか」「実際の面接ではどんなことを聞かれるのか」不安に感じている方は、すでに転職を経験している友人や、各種Webメディア・転職サポートサービスなどからしっかりと情報を収集することをおすすめします。
監修者
丸井 沙紀 さん
4,000人以上の相談実績を元に、100%相談者の味方としてサポートする「転職の家庭教師」として大人が相談できる場所を運営。転職エージェントのアドバイザーを経て、現在は転職・学生向け就活の大型イベント内で講演や、職業訓練校・短期大学にてキャリアの授業も担当している。13年間キャリア教育の会社にて、エリアマネージャーとして3校を運営しながらキャリアカウンセラーを兼務後独立。

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