転職を成功させる企業研究のやり方は?
目的・メリット・項目・媒体・注意点を解説!
学校卒業時の就職活動で行った企業研究は、転職活動の際にもしっかりと行う必要があります。疎かにするとせっかく転職したにもかかわらず、それが自分に合わない会社だった場合、満足のいく働き方ができません。なぜ企業研究は、就職・転職活動に必要なのでしょうか。企業研究を行う目的や得られるメリットなどについてご紹介します。
更新日:2026/05/21
何のため?企業研究を行う目的
「企業研究」は、就職や転職をする際に行うべき、重要なプロセスのひとつです。入社して満足のいく働き方をするためには、自分に合った会社を転職先として選ぶ必要があります。会社選びをする際に、その会社のことをよく知らなければ自分との相性を判断することはできません。企業研究は、たくさんの企業の中から本当に自分に合っている会社を選ぶため行います。
企業研究によって得られるメリット
企業研究を行うことによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは特に転職活動を行う際に得られるメリットについてご説明します。面接対策になる
採用が決まるまでには、一次面接・二次面接・三次面接というように、通常、複数回の面接が行われます。面接では応募者がどのような人物であるか、どういった実績やスキルセットを持っているのか、会社のカルチャーにマッチしているかなどを問われます。自身の実績をアピールするだけではなく、企業の特性や文化にもフィットしていることを面接で伝える上でも企業研究は非常に重要です。また、面接を受ける企業をしっかりと研究すると、入社を希望する意志をはっきりさせることができ、志望動機も明確になってきます。企業研究の結果に基づいた固い入社意志や明確な志望動機は、態度や言動に表れるものです。面接で自信なさげに見えたり志望理由をきちんと答えられなかったりする心配がなく、好印象を与えることにもつながるでしょう。
リアリティショックが防げる
キャリアアップ、やりがい、給与アップなど、目的はさまざまですが、転職を考える方の多くは現状では満足できず、より良い環境や条件を求めて新しい職場を探します。しかし、希望する会社に転職したものの、働いていくうちに「想像していたものとは違う」と、また不満を感じるようになる可能性はゼロではありません。こうした想像と現実にギャップが生じることを「リアリティショック」といいます。企業研究は、このリアリティショックを防ぐためにも役立ちます。例えば、創業した年を調べるだけでも、その過程において「歴史のある古い会社で、長年続けられている慣習がある」「新しい会社で従業員の裁量に任せられている部分が多く、やりがいのある仕事ができる」といったことが分かります。十分に時間をかけて丁寧に企業研究をすることで、実際に入社したらどのような働き方ができるのかをより具体的に想像できるようになり、リアリティショックを防ぐことができるのです。
モチベーション維持に役立つ
転職活動は、決して楽しいだけでなく、苦しいこともあります。なかなかチャレンジしたい仕事が見つからなかったり、悪い結果が続いたり、思うようにいかないことが多く、転職を諦めたくなることがあるかもしれません。しかしそういった際にも企業研究が役立つことがあるでしょう。企業を研究することで、そこで生き生きと働く自分や新しい生活、将来のキャリアを思い描くことができれば、転職活動にもやる気がでるでしょう。辛いときでもモチベーション維持がはかれ、転職活動に前向きに取り組めるようになります。
企業研究で調べるべき項目
転職のために行う企業研究では、どのようなことを調べればよいのでしょうか。本当に役立つ企業研究を行うためのポイントを解説します。会社概要
会社名や本社所在地、事業内容、設立年月(日)、資本金の額、役員氏名などを記載したものが、会社概要です。会社の基本的事項が書かれていて、会社概要を見ることで全体像を把握することができます。企業研究では、はじめに会社概要に目を通し、どのような会社なのか、正確な情報を確認しておきましょう。会社によっては、正式名称と通称が違っていたり、表記が間違えやすいものだったりすることがあります。会社名を間違えることは大変な失礼にあたるので、注意しましょう。
経営理念
経営理念からは、どのような思想や方針で経営が行われているかを知ることができます。経営理念は、代表者の挨拶やメッセージなどから読み取れます。そのほか新聞・テレビのインタビューで社長の言葉が見聞きできる機会がある場合は、チェックしましょう。
また、経営理念には創業者の想いが引き継がれていることも多いので、創業時の言葉や想いが綴られた記録などがあれば、確認することをおすすめします。
経営理念を理解することは、その企業の特色を把握することにもつながります。どのような思想や方針で事業を営んでいるかによって、ターゲットは消費者か企業か、何を重んじて取引先を選定しているかなどが明らかになるためです。ほかの企業とは異なる点を多く知ることで、より深くその企業を理解することができます。
業績
業績は、売上高をはじめとして売上総利益、営業利益、経常利益、純利益、特別損失や特別利益といったものが挙げられます。・売上総利益
売上高から売上原価を差し引いたもの・営業利益
営業活動によって獲得した利益で、売上総利益から販売費と一般管理費を差し引いたもの・経常利益
企業が通常の活動で獲得した利益で、営業利益に営業外収益や営業外費用を加算・減算したもの・純利益
法人税などを差し引く前の利益で、経常利益に特別利益や特別損失を加算・減算したもの企業研究では、直近の数字だけでなく、数年の金額をチェックし、業績がどう変化しているかをつかむことも大切です。
業界での位置づけ
業界での位置づけとは、転職先候補企業が業界で何番目なのか、どういった立ち位置にいるのかという内容です。業界トップとして揺るぎない立場の会社なのか、2番手・3番手にいるのかによっても、従業員としての働き方は異なるものになるでしょう。後方の位置づけであっても虎視眈々と上位企業にのし上がることを狙っているのか、その位置づけで満足しているのかでは、会社の姿勢に違いがあります。業界での位置づけも企業研究によってきちんと調べておくとよいでしょう。
また、ライバル社の有無も、企業研究で明らかにしておきたいポイントです。ライバル社との競争状態がどのようになっているかを調べることは、業界研究にもつながります。業界全体の勢力図なども、できるだけ詳細に調べるようにしましょう。
将来性
これから転職しようとする企業の将来性も、十分に検討しておく必要があります。希望する会社に入社してもすぐに経営が傾いてしまっては、転職が成功だったとは言い切れません。その会社で長期間勤務することが可能かどうか、発展が望めそうか、経営は安定しているか、衰退する危険はないかなどの将来に対する見込みをしっかりと把握しておくことも企業研究では重要です。特に昨今は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、AIに置き換えられて人間による関わりがあまり必要なくなる仕事も増えつつあります。事業内容を精査して将来性を確認するとともに、自分が就く仕事内容についても将来の展望を考えましょう。
また、将来性は業界全体についても研究しておく必要があります。業界によっては、さまざまな要因から先細りが懸念されたり、競争が激化したりすることが予想され、将来性のない業界では、人員削減や人件費削減のために給料カットなどが行われる可能性が否定できません。十分に気をつけましょう。
社風
従業員の平均年齢や実施されている社内イベントから推察できるのが社風です。社風は、働きやすさに大きく影響するため、就職や転職のための企業研究では欠かすことのできないポイントです。フレンドリーな雰囲気の中で働くことを希望しているのにも関わらずに厳格な職場を選んでしまったり、反対に秩序のきちんとしたところで働くことを希望しているのにも関わらず自由度の高い職場を選んでしまったりしては、転職が失敗に終わる確率を高めてしまいます。従業員の平均年齢が高いと職場の雰囲気は厳し目であることが想像されますが、必要なスキルの教えを請うことができるといったメリットもあります。反対に平均年齢が低いと自由で活発な雰囲気が想像できますが、主体性が強く求められるという社風かもしれません。
社内イベントについても積極的に参加したいか否かによって、自分に合うかどうかは変わってきます。社内イベントの内容や頻度、強制参加であるか・自由参加であるかまで、よく調べておくとよいでしょう。どのような社内イベントがあるのか、年に何回ぐらい開催されているのか、参加しないとどうなるのかなども知っておかないと、入社後に大きなストレスを抱えるようになってしまうおそれがあります。
インドア派なのにキャンプをしなければならなくなったり、苦手な運動会に家族で参加しなければならなかったり、休日にしたいことがあるのに頻繁に開催されるいろいろなイベントでできなくなってしまったりしては、仕事自体に問題はなくても、働き方としては十分に満足できるものとはいえなくなります。
反対に、催し物が好きで社内にイベントがないのは寂しい、他の部署の社員とも積極的に交流したいという人にとっては、会社で行事が行われないことのほうがマイナスに感じられるかもしれません。自分が社内イベントに対してどういうスタンスであるのかを考えるよい機会にもなるため、社内イベントについても調べておくとよいでしょう。
また、社風のひとつとして職場の雰囲気や風通しの良さなども、企業研究の対象となる重要なポイントです。
職場の雰囲気は、働きやすさに直接的に影響を及ぼすため、きちんと調べておく必要があります。雰囲気の悪い職場は働きにくく、十分なコミュニケーションも期待できずに、ストレスが溜まっていくことが予想されます。
風通しの良くない職場も同様で、自分の意見が言いにくかったり何かおかしいことがあっても上司に進言できなかったりするような職場ではないか、しっかりと研究しましょう。
働き方
働き方について、確認しておくべきポイントとして、勤務時間や休日、時間外労働などが挙げられます。残業の有無や時間数、休日出勤の有無や日数は、働き方を大きく左右します。また変形労働時間制やフレックスタイム制の導入状況も、確認しておくべきポイントです。事業場が複数ある会社では勤務地はどこになるのか、またはリモートワークが可能であるかどうかも調べておく必要があります。教育制度や人事考課制度も働き方に深く関係するため、企業研究で明らかにしておく必要があるでしょう。自身が思い描いているキャリアアップにフィットする教育制度があれば、働き方の質は格段に向上します。人事考課制度も同様で、自分に合っているか確認することは非常に重要です。
納得のいく働き方をするためには、福利厚生もチェックしておく必要があります。福利厚生には、社宅や家賃補助、特別休暇制度、慶弔金制度、資格取得に対する補助、社員食堂、カフェテリアプランなどがあります。福利厚生が充実しているか、どのようなものが導入されているかを調べましょう。
その他
社会的責任を果たすため、大企業などの多くは積極的にさまざまな社会福祉活動や環境保護活動などに取り組んでいます。このような企業が率先して行っている活動も、企業研究で調べておくべき項目です。企業のこうした活動への取り組み方を知ることは社会的責任の重さに対する認識や、対処すべき社会問題を理解することにつながります。自分の考えに近い企業を転職先として選べるようになるため、ぜひ調べておきましょう。
企業研究に用いる媒体
企業研究は、企業ホームページや新聞、書籍といった媒体を使って行います。どの媒体からどんな情報が収集できるのかみていきましょう。企業ホームページ
企業ホームページには、会社概要をはじめとして、さまざまな情報が掲載されています。社長や代表者の挨拶、商品・サービス一覧、主力商品・サービスの紹介など企業に関していろいろな事項を知ることができるでしょう。企業研究では必ず、隅々までよく見ておくことが必要です。また多くの企業ホームページには、プレスリリースも載っています。プレスリリースとは企業が公開・公表する文書のことで、新規に事業を開始したり、新商品・新サービスの提供を始めたりする際に公開されます。企業ホームページには、最新のプレスリリースはもちろん、過去のプレスリリースも残っている場合も多く、さかのぼって見ることができます。できるだけ過去のプレスリリースまで読み込み、企業理解に努めましょう。
新聞
新聞からはまず、株価が分かります。株価は、その企業が世間からどう評価されているかが分かる指標であり、企業研究でも必ずチェックしておきたいポイントです。株価が上昇傾向にあれば企業の評価は上がっていることになり、下降傾向にあれば下がっていることになります。新技術の開発に成功したなどの好材料があれば急上昇し、不正が発覚したなどの問題があれば即座に下落するため、企業についての新しい情報を知る手がかりとしても役立ちます。こうした情報は、新聞記事でも取り上げられるため、合わせてチェックしましょう。
新聞は、主要なニュースが網羅されているので、業界に関係するものに目を通すことによって、業界全体の動きを見るのにも役立ちます。企業研究は、企業だけでなく、業界研究も合わせて行う必要があるため、新聞からは業界に関する幅広い情報を収集しましょう。
書籍
企業研究に用いる書籍には『会社四季報』をはじめ、業界に関する書籍が数多くあります。四季報とは、四季ごとに1年に4回発行される出版物を指します。一般的には、東洋経済新報社の『会社四季報』が知られていますが、日本経済新聞社の『日経会社情報』も四季報としてよく利用されています。四季報には、会社の基本情報や株価、経営に影響を与える事柄、業績、財務状況、業績予想などが掲載されていて、投資家が投資先を検討したり、購入株式・売却株式を決定したりする際に用いられます。
また、業界に関する書籍には、「○○業界地図や○○業界勢力図」あるいは「○○業界研究」といった名称のものがあります。どのような業界なのか、将来の展望、業界内のそれぞれの企業の特徴、力関係、ライバル企業などが掲載されていて、業界研究や企業研究に非常に役立ちます。従業員の平均年収など、面接などで直接聞きにくい情報なども掲載されているため、ぜひ目を通しておきましょう。
企業研究をする上での注意点
企業研究を有意義なものにするためには、どのような点に注意して行うとよいのでしょうか。視野を広くする
企業研究を行う際は、視野を広くすることが大切です。いろいろな視点に立って企業研究を行わなければ、企業の本当の姿を見ることができません。例えば、自由な働き方ができても自己責任が強く求められたり、フレンドリーな社風である代わりに秩序が乱れやすかったりします。細かいところでは、転勤があったとしてもサポート体制がきちんとしていたり、給料は低く抑えられていても福利厚生は充実していたりすることもあります。
また、入社後に長く勤務するためには「長期的に見てどうか」という考え方も必要です。採用時の給料額に目がいって昇給制度がどうなっているか、将来必要になるかもしれない育児休業や介護休業はきちんと取得できるかなど、広い視野でいろいろと確認することが大切です。
短所にも目を向ける
企業研究をする際の注意点として、短所にも目を向けることも挙げられます。何ごとにも長所と短所があり、企業にも良い点があれば悪い点もあります。人間は自分にとって都合が悪い点は見たくないという意識が働いてしまい、公平な目で見ることが難しくなりがちです。企業研究を行う目的は、自分に合う企業を見つけることにあります。長所ばかりを見ていては、転職先として相応しい企業を見つけることはできません。企業研究では、意識的に短所にも目を向けるよう注意して行いましょう。
まとめ
企業研究を行う目的は、自分に合う会社を見つけることにあります。また企業研究は、モチベーションの維持や面接対策にも役立ちます。きちんと調べて入社することでリアリティショックが防げるというメリットもあります。経営理念や業績、業界での位置づけ、将来性、社風、働き方といった項目について、しっかりと調べましょう。企業研究に用いる媒体には、企業ホームページや新聞、書籍などがあります。どれも重要な情報源ですが、特に企業ホームページには自分が転職する企業として選ぶべきか否かを判断する際の重要な情報が掲載されています。できる限り細かいところまで目を通しておきましょう。
視野を広くする、短所にも目を向けるといった点にも注意して企業研究をしっかりと行い、自分らしい働き方ができ、生き生きと長く勤務できる企業への転職をかなえてください。
監修者
矢萩 あき さん
複数の企業で人事業務に携わり、採用や給与計算の業務を担当した。社会保険や所得税などの仕組みに興味を持ったことから、2005年に社会保険労務士資格、2006年にファイナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。現在はライターとして専門知識を活かした記事をはじめ、幅広い分野でさまざまな文章作成と監修を行っている。
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