転職を成功させる職務経歴書の書き方とは?
採用担当者の心をわしづかみするためのポイント
新卒時の場合と異なり、転職時の選考試験では、職務経歴書を提出しなければなりません。この記事では、転職では履歴書よりも重要な役割を担うといわれる職務経歴書について、その基本事項とともに作成前にすべきこと、採用者の視点などを解説するほか、ケースごとの記載例をご紹介します。
更新日:2026/05/17
職務経歴書の基本を知る
職務経歴書とは、どのような書類なのでしょうか。はじめに職務経歴書の意義、記載項目、形式など、知っておくべき基礎知識についてみていきましょう。職務経歴書とは
職務経歴書は、その言葉の通り、企業が中途採用を行う場合に応募者の職務の経歴を知るための書類です。職歴は、履歴書にも記載欄があります。履歴書に記載する職歴は、あくまでもプロフィールの確認事項のひとつという位置づけで、通常、転職歴が複数あっても、それぞれ1~2行程度にポイントを絞って記載します。
それに対して、職務経歴書は、応募者の前職での役職、仕事内容、実績などを詳細に記載するだけでなく、それらを踏まえて自己PRをする書類です。採用担当者は、職務経歴書に書かれた内容によって自社が求める人材ニーズに適しているか判断し、次の面接に進めるかを決めます。
また、職務経歴書の記載内容は、面接での質問事項の材料ともなるため、面接対策としての役割もあります。
職務経歴書の記載項目
履歴書には、厚生労働省の様式があり、基本となる記載事項は決まっていますが、職務経歴書にはこうした様式はなく、自由に記載することができます。一般的な記載事項には、次のようなものがあります。
- ① 職務要約
- ② 職務経歴
- ③ スキル・経験
- ④ 自己PR
- ⑤ 志望動機
こうしたことから、職務経歴書を構成する項目の中では、①から④が重要なパートになります。これらの4つのパートについて概要を詳しくみていきましょう。
① 職務要約
職務経歴書は、採用担当者に伝えるべき情報は多く、必然的にボリュームがあります。また、様式が自由であることから、採用担当者は不定形で書かれた数多くの職務経歴書を熟読し、選考基準を満たしているか判断することを強いられます。さらに選考スケジュールは決まっているため、応募者が多数いる場合、採用担当者の負担はかなり大きいといえます。そのため場合によっては、最後まで熟読してくれないケースも考えられます。
そこで採用担当者の目を惹くために、冒頭で職務経歴書の内容のポイントを明確に伝えるための工夫が重要になります。それが「職務要約」です。一般的に長文となる学術論文では、冒頭に「要約」を記載しますが、それに該当するものといえるでしょう。
職務要約で自身の人物像の概要を伝え、企業の採用担当者に関心を持ってもらい、最後まで熟読してもらうことが大きな狙いです。
仮に自身が、企業の人材ニーズに適合する職務経歴を持ち、職務経歴書にその内容を記入していても、採用担当者に読んで把握してもらえなければ選考は通りません。
そのため、職務要約は職務経歴書の中で最も重要なパートであり、職務要約で採用担当者の心をわしづかみにすることが重要です。
職務経歴書の形式
職務経歴書は、①職務要約、②職務経歴、③スキル・経験、④自己PRの4つのパートで構成され、この順番で記載します。②職務経歴は、職歴が短く、初めての転職となる場合は、構成に悩むことはないでしょう。しかし、職歴が長く、転職歴も複数ある場合は、構成を工夫することで効果を上げることができます。
一般的な職務経歴の構成は、年表と同様に過去から現在までを時系列に並べる「編年体式」です。職歴が短く、初めての転職であれば、こちらの方式になります。
しかし、職歴が長く、転職歴もある場合、直近ほど役職も上がって仕事内容も高度になり、実績を上げていることが少なくありません。編年体式で書いた場合、最もアピールしたい部分が最後になってしまい、採用担当者が熟読してくれず、スルーされてしまうリスクがあります。
そこで、直近の経歴から遡って書いていく「逆編年体式」という形式がおすすめです。ただし、採用担当者が履歴書と突き合せて検討する場合、過去から時系列で記載する履歴書の職歴欄とは整合しにくくなるため、単に職歴が長いというだけで逆編年体式を用いるのは避けるべきです。アピールできるキャリアがある場合でも、職歴がさほど長くなく、整理して見やすくまとめていれば「編年体式」でよいでしょう。
そのほか、転職や異動で多様な職種や分野を経験してしているような場合、職種などのキャリアの類型ごとに整理して記載する「キャリア式」という方法もあります。経験してきた職務内容をアピールできる反面、全体として時系列の順番が分かりにくくなるといったデメリットがあり、あまり一般的な形式とはいえません。
職務経歴書を作成する前にやるべきこと
実際に職務経歴書を作成するには、入念な準備作業が必要になります。具体的に、以下の4つの作業があります。- 自分の職務経歴の棚卸し
- 自分の長所・強みなどの整理
- 応募先企業向けの記載項目の決定
- 職務経歴書の形式の決定
自分の職務経歴の棚卸し
職務経歴書の「職務経歴」だけでなく、「資格・スキル」「自己PR」を書くためにも、自分の職務経歴を整理する、キャリアの棚卸しは不可欠な準備作業です。キャリアの棚卸しは、次のような流れで行います。
- ① 現在の勤務先、職務、職務、実績、習得スキルを書き出す
- ② ①について自己評価する
- ③ ①②を過去の仕事についても行う
- ④ 全体をシート(様式自由)にまとめる
- ⑤ 全体を俯瞰して自分の強み・伸ばしていきたい点を書き出す
自分の長所・強みなどの整理
続いて、現時点で獲得できている自分の強み・長所を書き出します。これらは「忍耐強さ」「向上心」「行動力」など生まれ持った性格や行動特性が該当し、特定の訓練・研修によって習得できる技術的な知識の「ハードスキル」に対して「ソフトスキル」ともいわれます。企業は、中途採用では特にハードスキルを重視しますが、新卒採用で注目するソフトスキルについても同様に、重要な評価要素としています。
応募先企業向けの記載項目を決定
企業には、中途採用を実施する何らかの事情・背景があります。それによって次のような3つの区分のいずれかの人材を求めます。- ① 変革人材
- ② 中核人材
- ③ ポテンシャル人材
そこで、企業が求める人材ニーズを、ホームページなどに記載されている求人情報から把握することが重要です。
その上で、キャリアの棚卸しによって明確になった自分の強みや長所、そして転職後にやりたい仕事との共通点を整理します。
ここまでの作業を通じて、職務経歴書の「職務内容」「資格・スキル」「自己PR」に具体的に記載する内容がひと通り洗い出されたことになります。
職務経歴書の形式を決定
決定した記載内容を職務経歴書の「職務内容」「資格・スキル」「自己PR」に盛り込んでいきますが、その前に編年体式、逆編年体式などの形式を決めます。
職務経歴書の記載例をみてみよう!
職務経歴書の作成の手順が分かったところで、ケース別の記載例をみてみましょう。「アピールできるキャリアがある場合(編年体式)」「アピールできるキャリアが少ない場合(編年体式)」「一定のキャリアがあり、初めての転職の場合(逆編年体式)」の3つのケースにおける職務経歴書の記載例をご紹介します。アピールできるキャリアがある場合(編年体式)
不動産営業の同じ職種へ転職するケースの記載例です。経験者であることを明確にし、即戦力になることを仕事の手法、実績とともに説明することが重要です。不動産営業の場合、法人向け、個人向けなどについても書いておく必要があります。なお、この記載例に限らず「自己PR」では、キャリアの棚卸しの結果を踏まえて、自分の強み・長所を根拠とした実績を書いて、「職務経歴」と有機的に連動させておくことがポイントになります。
アピールできるキャリアが少ない場合(編年体式)
経理業務、カルチャー教室の運営からアパレル販売員という、異なる職種に転職するケースの記載例です。この場合、通常、未経験者として扱われるため、即戦力としてアピールできるキャリアはないといえます。しかし、職種が違っても、共通して必要な行動特性はあります。その点をアピールするとともに、自己PRの中には、異なる業種・職種に転職する理由を簡単に触れておくとよいでしょう。
一定のキャリアがあり初めての転職の場合(逆編年体式)
同じ会社に長く勤務し、経理、営業企画、総務(総務課長)を経験し、一定のキャリアがある人が、異業種である病院の事務長に転職するケースの記載例です。「自己PR」では、長らく従事してきた職務における実績が、病院の事務長に求められる行動特性と共通する情報収集・分析能力、問題解決力、実行力と紐づくことを伝えています。また、異業種であることから、転職する理由に簡単に触れています。
採用担当者が職務経歴書をチェックするポイント
では、採用担当者は、職務経歴書のどこをチェックしているのでしょうか。特に注意すべきポイントをみていきましょう。企業が求める人物像として描かれているか?
企業には、中途採用を実施する何らかの事情・背景があります。それぞれの理由に沿って各企業は求める人材を、①変革人材、②中核人材、③ポテンシャル人材の3つに大別し、採用担当者は企業が求める人物像とマッチしているかを確認します。そのため応募者は、事前にどのタイプの人材を求めているのか、しっかりと把握することが重要になります。応募者の人物像と企業の人材ニーズがマッチしていなければ、転職先としては諦めるのが無難です。
双方がマッチしているのであれば、企業の人材ニーズに適合していることを明確に伝える内容になっていることが、転職を成功させる重要なポイントになります。
目を惹く性格・行動特性が表現されているか?
準備作業のキャリアの棚卸しでは、応募者の強み・長所などの行動特性が自己確認できたはずです。「自己PR」では、具体的に「私の長所は、〇〇です。」とし、まずは結論からはっきりと伝えます。その際、目を惹く性格・行動特性が表現されていることが大切です。行動特性は、同じ内容であってもさまざまな表現があります。その中でも、最も訴求力があると思われる表現や言葉を用いましょう。
参考までに「性格・行動特性キーワードプランナー」の一覧表を挙げておきます。
まとめ
職務経歴書の基本とともに採用担当者を惹きつける職務経歴書の書き方を解説してきました。職務経歴書は、採用担当者が職務経歴書に書かれた内容によって自社が求める人材ニーズに適合しているか判断し、次の面接に進めるかを決めるだけでなく、面接での質問事項の材料ともなる重要な書類です。しっかりと準備作業から時間をかけ、転職を成功させる職務経歴書を作成しましょう。
なお、こちらの動画では職務経歴書の書き方について、分かりやすく解説しているので、こちらも参考にしてください。
監修者
坪 義生 さん
千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)などがある。
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