転職を成功させる自己PRの書き方とは?
能力・長所を印象づけるポイント

客観的な事実を記載する履歴書の学歴欄・職歴欄や、職務経歴書の職務経歴欄と異なり、自分のよさをアピールする自己PR欄の文章を書くことは、意外と難しいものです。ありきたりの内容では、採用担当者に効果的に訴える自己PRにはなりません。この記事では、自己PRの基本、構成、そして長所・強み別の実際の記載例とともに、効果的な自己PRを書くための注意事項について解説します。
更新日:2026/05/21

自己PRの基本を知ろう

中途採用試験では、面接に先立ち、履歴書と職務経歴書の提出が求められます。履歴書と職務経歴書には、必ず学歴や職歴、取得資格など客観的な事実が記載され、これによって採用担当者は応募者の能力の有無の判断基準にします。

では、自己PRにはどのような意味があるのでしょうか。まずは、自己PRの基本事項について理解しておきましょう。

なぜ企業は自己PRを聞くのか

【図版】職務経歴書
面接では、必ずといってよいほど、自己PRを聞かれます。主な理由は、会社が求める能力・長所を持っているかを確認するとともに、ほかの質問事項と併せて応募者の「仕事に対する熱意・意欲、向上心」「積極性、チャレンジ精神、行動力」「組織協調性(チームワークを尊重できる)」といった人物要素をみるためです。

こうした人物要素は、「ソフトスキル」ともいわれます。

ソフトスキルに関する詳しい内容は、下記記事を参照してください。

「職場におけるソフトスキル」

中途採用の場合、新卒採用と異なり、経験に裏打ちされた能力が重視されます。しかし、組織である以上、人物要素が軽視されているわけではありません。

応募者の経験や能力の有無は、面接に先立つ書類選考で審査しているため、応募者自身の言葉による売り込みによって改めて確認し、熱意や意欲をみることになります。

実は、書類選考である履歴書と職務経歴書における自己PR欄は、定型書類の中では、あまり重視されているわけではありません。

厚生労働省の「履歴書様式例」では、志望動機や特技などの記載欄の最後に「アピールポイントなど」として含まれている程度であり、職務経歴書については、そもそも決まったフォーマットがないため、特に「自己PR」欄を設けていないものもあります。

では、あえて履歴書や職務経歴書に特記する理由が何かといえば、採用担当者に関心を持ってもらい、次の選考試験である面接につなげるため、また面接において必ず聞かれる本格的な自己PRを想定した準備対策のためということになります。

履歴書と職務経歴書の自己PRの違い

【図版】履歴書と職務経歴書の自己PRの違い
自己PRは、応募企業に入社したいという売り込みです。履歴書と職務経歴書の段階でも、的確に熱意を伝えることでほかの応募者との差別化をはかることができます。

ただし、履歴書と職務経歴書では、自己PRを記載するにも書き方と位置づけが異なります。

履歴書の場合、そもそも文字数が200~300字程度であり、あくまでプロフィールの確認事項のひとつであり、前述のように志望動機欄と同じことが多く、詳しく書くことはできません。書き方としては、ポイントを絞ってアピールすることになります。

一方、職務経歴書では、自己PR欄を設ける場合、文字数は400~600文字程度は確保することができます。応募した会社が求める人材であるかを確認する情報を提供し、売り込むために詳細を書くことが可能です。内容的には、エピソードや実績を盛り込むという書き方になります。

自己PRに盛り込む内容

【図版】自己PRに盛り込む3つの内容
次に自己PRに盛り込む内容についてみていきましょう。ここでは、履歴書ではなく、文字数を確保できる職務経歴書を想定しています。

400~600文字に盛り込む内容は、「①自分の強み」「②その根拠となるエピソード」「③入社後、その強みをどう活かせるのか」を意識する必要があります。

この3点を踏まえて、後述のPREP法によって自己PRをしっかりと構成します。

1 の自分の強みには、性格・行動特性を表す言葉を用います。「忍耐強い、社交的、柔軟、気配り、緻密、協調性、意志が強い」などの表現を挙げることができますが、「忍耐強い」であれば「粘り強い」など、それぞれについて類似したキーワードがあります。類語辞典で調べることができますので、ご自分に最もフィットする言葉を選ぶとよいでしょう。

自己PRの構成とは

自己PRの文章の構成は、プレップ法(PREP法)を活用するのが効果的です。
【図版】プレップ法(PREP)の話し方
「PREP」とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(例)」「Point(結論)」の頭文字を取ったものです。
  • Point:最初に結論を述べる
  • Reason:結論を裏づける理由を述べる
  • Example:理由の具体的な事例を述べる
  • Point:最後に結論で結ぶ
文書やプレゼンテーションなどの文章構成方法として、ビジネスではよく知られています。この手法を使うことでシンプルかつ説得力のある文章をつくることができます。

結論

まず、「Point(結論)」では、自己PRの要点となる自分の長所を伝えます。「私の長所は柔軟な対応力があることです」「私の長所は協調性があることです」などと表現し、「…だと思います」のように曖昧な書き方はしないようにしましょう。

長所は、自己分析ができていることの証しでもあるため、曖昧な表現を使ってしまうと、自分自身がよく分かっていないと判断されてしまいます。

根拠

次に長所を裏づける理由を書きます。「Point(結論)」で「私の長所は柔軟な対応力があることです」とした場合、「Reason(理由)」では「前職では、自社サービスの売り込みだけにこだわらず、お客様の立場にも配慮した提案をしました」のように前職の職務と関連した内容とするのがよいでしょう。

具体的な実績は、職務経歴書の「職務経歴」の中に書くことになります。「Reason(理由)」では、そこに表記されていない長所から実績が生まれた理由を書きます。

エピソード

「Example(例)」は、「Reason(理由)」を補足する実績を書くことになります。ただし、具体的な実績は、職務経歴書の「職務経歴」に書くことになるため、ここでは重ねて定量的に表現する必要はないでしょう。

重要なことは、職務経歴書全体から応募者であるあなたの人物像が明確に浮かび上がることです。

自己PRでは、「職務経歴」欄に記載した実績にも触れることになります。その意味で、実績に至った行動過程を整理しておくことが大切です。
  1. 掲げた目標
  2. なぜその目標に取り組もうと考えたのか
  3. 目標を達成するために実行した工夫・努力
  4. なぜその工夫・努力を選択したのか
  5. 工夫・努力を実践したことによって得られた結果
  6. 一連の過程で何を学んだか
【図版】行動過程を細分化するポイント
採用担当者は、職務経歴書の記載内容をみて、次に続く面接での質問事項を考えます。その対策としてもエピソードの行動過程を細分化する作業は重要です。

先ほどの「私の長所は柔軟な対応力があることです」とした場合の続きとして、以下のような書き方が考えられます。
業務を引き継いだとき、売上が好調とはいえませんでした。理由は自社サービスを一方的に押し付けるような営業方法だったことです。そこでお客様がすでに導入済みのサービスが併用できる場合は、その活用もプランとして提案することにしました。その結果、前年比を大きく上回る売上につながりました。既存のやり方にこだわらないことの大切さに改めて気づきました。

結論

プレップ法では、最後に「Point(結論)」でまとめます。再度、結論である長所を述べることで印象を残すことが目的です。上記の例では、「こうしたことから、私の長所は柔軟な対応力があることだと認識しています」のよう書きます。

プレップ法の活用はここまでですが、最後に自己PRに盛り込む「①自分の強み」「②その根拠となるエピソード」に続く3つめの要素として「③入社後、その強みをどう活かせるのか」で自己PRを締めることになります。

例えば「貴社においても私の長所を活かし、課題を解決することで事業に貢献したいと考えています」などとし、自己PRを結びます。

自己PRを作成するための準備

自己PRを作成するためには、自分自身の長所、強みを的確に把握しておくことが不可欠です。職務経歴書の「職務経験」欄とも連動するため、準備作業として、キャリアの棚卸しをします。

また、転職は相手あってのことであるため、独りよがりでは成功しません。志望する企業が求める人物像を把握する必要があります。

キャリアの棚卸し

キャリアの棚卸しは、自己の強みを明確化し、長所を再認識するために重要な作業になります。現在・過去の勤務先、職務、実績、習得スキルを書き出し、これらについて自己評価し、全体を俯瞰することで自分の強みと伸ばしていきたいことを把握します。

プレップ法では、最初の「Point(結論)」、最後の「Point(結論)」の部分で自分の長所を挙げますが、何も準備していない状態でもし「あなたの長所は?」と問われても、漠然としか回答できないのではないでしょうか。

前述のように「…と思います」では、転職の自己PRでは通用しません。キャリアの棚卸しによって、「職務経験」欄と「自己PR」欄を有機的に連動させるためにも、キャリアの棚卸しをしましょう。

企業が求める人物像の把握

もうひとつ忘れてはならないのは、志望する企業が求める人物像の把握です。キャリアの棚卸しによって、実績に裏打ちされた優秀な人材であっても、企業が求める人物像に合わなければ、採用に至ることはないでしょう。

企業が求める人物像は、ホームページなどに記載されている求人情報を熟読すれば把握することができます。その上で、キャリアの棚卸しによって明らかになった自分の強み、長所、そして転職後にやりたい仕事との一致点を確認しましょう。

「長所・強み」ごとの自己PRの記載例

キャリアの棚卸しによって長所・強みが明確になったと仮定し、自己PRの例文をいくつかみてみましょう。いずれも、すでにご紹介したプレップ法を活用の上、自己PRの内容に盛り込むべき3つ目の「入社後、その強みをどう活かせるのか」で締めくくっています。全体の構成を押さえながら、例文を参考にしてみてください。

【例文】「課題解決力」の自己PR

  1. Point:私の長所は、課題解決力です。
  2. Reason:前職では、本社マーケティング部署のマネジャーとして、単にユーザーの声を集めるだけのユーザー調査ではなく、商品の課題・評価のための調査法を併用しました。
  3. Example:本社マーケティング部署のマネジャーに配属されたとき、競合他社に比べ、自社商品の売上が伸びない状態でした。しかし、調査法を使い分けることを提案したことによって、商品の改善点が明確になり、売上とシェアを拡大することができました。
  4. Point:こうしたことから、私の長所は、課題解決力であると認識しています。
  5. 入社後、その強みをどう活かせるのか:貴社においても私の長所である課題解決力を活かし、事業に貢献したいと考えています。

【例文】「行動力」の自己PR

  1. Point:私の長所は、行動力です。
  2. Reason:前職の飲食チェーン店の店長のときには、それまで実施されていなかったスタッフの能力やモチベーションを高めるための体制を導入しました。
  3. Example:初めて店長に配属された店舗は、売り上げが低迷していました。理由は、スタッフのモチベーションが低く、チェーン店としてのブランドイメージにそぐわないサービスの低下があったことです。私は、スタッフの能力やモチベーションを高めるために、定期的な研修やフィードバックの実施を徹底しました。その結果、半年後の売上は前年比を大幅に上回ることができました。
  4. Point:こうしたことから、私の長所は、行動力であると認識しています。
  5. 入社後、その強みをどう活かせるのか:貴社においても私の長所である行動力を活かし、事業に貢献したいと考えています。

【例文】「コミュニケーション力」の自己PR

  1. Point:私の長所は、コミュニケーション力です。
  2. Reason:前職のアパレル店長のときには、スタッフが一丸となる組織づくりを心掛け、それまで行われていなかった1on1を毎週、店舗独自に実施しました。
  3. Example:店長に任されたときには売上が低迷していました。そのため、スタッフのモチベーションも低下しているように感じていました。この状態を改善するため、10名のスタッフとの1on1では、特に抱えている悩みや将来的なビジョンを毎回、話し合うことで、全員のモチベーションが向上しました。結果として売上は前年比を大幅に上回ることができ、全社表彰されました。
  4. Point:こうしたことから、私の長所は、コミュニーション力であると認識しています。
  5. 入社後、その強みをどう活かせるのか:貴社においても私の長所であるコミュニーション力を活かし、事業に貢献したいと考えています。

【例文】「リーダーシップ」の自己PR

  1. Point:私の長所は、リーダーシップです。
  2. Reason:前職のベンチャー企業では、新人教育プログラムの充実を提案し、責任者として実行しました。
  3. Example:主に人事・総務の管理部門を担当していましたが、成長中の企業であることから、採用者数が多い反面、定着率が低いという問題を抱えていました。私は、新人教育プログラムの充実を提案し、企画・運営を任せられ、チームメンバーの役割分担や進捗管理を行い、プログラムの質と効率を向上させました。その結果、新人の定着率が30%向上し、社内表彰を受けました。
  4. Point:こうしたことから、私の長所は、リーダーシップであると認識しています。
  5. 入社後、その強みをどう活かせるのか:貴社においても私の長所であるリーダーシップを活かし、事業に貢献したいと考えています。

自己PRを書く際の注意事項

最後に自己PRを書く際の注意事項について挙げておきます。

履歴書、面接での自己PRと一貫しているか?

採用担当者は、履歴書や職務経歴書に記載されている自己PRを読んで選抜し、さらに面接の際の質問事項を考えることになります。そのため、それぞれの書類や面接での自己PRは一貫していなければなりません。

仕事以外のエピソードが入っていないか?

職務経歴書の「職務経歴」欄では、客観的な事実として仕事の実績などを記載します。「自己PR」欄は、その裏づけとなる応募者の長所と、実績を生んだエピソードという形で連動しています。

長所は、人的要素であるため、その理由・根拠として、趣味など仕事以外のエピソードと結びつけてしまいがちですが、避けたほうがよいでしょう。採用担当者が知りたいのは、あなたを採用することで会社にどのようなメリットがあるかであって、私的なことに関心があるわけではないからです。

本当に優先度が高いエピソードか?

プレップ法では、「Example(例)」で具体的なエピソードを書きますが、それは本当に優先度が高いものでしょうか。

あなたにとって優先度が高くても、採用する企業からみれば、今回の採用に際し、求める人物像に合わない可能性があります。企業の採用ニーズを今一度、よく確認しましょう。

まとめ

書類選考の際の履歴書や職務経歴書に記載する場合の自己PRの書き方について解説してきました。

今すぐに転職を考えていない場合も、キャリアの棚卸しをするとともに自己PRをつくっておくことは、いざというときに慌てずに済みます。実際に手順を踏んで作成しておくことをおすすめします。
監修者
坪 義生 さん
千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)などがある。

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