転職を成功させる志望動機の書き方とは?
採用したいと思わせるためのポイント

履歴書の「志望動機」欄は、「学歴・職歴欄」など客観的な事実だけ書けばよい記載項目とは異なり、自分自身の考えを伝える必要があります。そのため志望動機を書くことは、意外に難しいものです。応募企業に入りたい理由の本音は「有名企業だから」「給料がよいから」であったとしても、正直にそれを書くことができないため、悩んでしまうわけです。この記事では、志望動機の基本、盛り込む内容の決め方、構成などの解説のほか、転職パターン別の記載例をご紹介します。
更新日:2026/05/15

志望動機の基本を知ろう

一般的に応募する会社に提出する履歴書は、厚生労働省の様式が使用されています。様式には「志望動機」欄があり、ここを空欄にするわけにはいきません。「なぜその会社に応募したのか」を必ず記入する必要があります。ここでは、志望動機の基本として、その重要性、盛り込む内容、文字数などについてみていきます。

志望動機の重要性

企業の採用担当者は、履歴書に記載された応募者の学歴・職歴、免許・資格などの客観的な情報を通して、採用ニーズとマッチした人材かをチェックします。そして志望動機を読み、入社意欲の高さ、本気度のほか、客観的情報と齟齬がないかなどを確認します。

履歴書の存在意義について考えてみれば、志望動機の重要性が理解できます。本来、証明写真も含めて履歴書全体で応募者のキャラクター全てが、矛盾なく描き出されていることが大切であり、志望動機は気持ちという内面を伝える情報として大きな役割を担っているといえます。

その意味で、応募者のキャラクターと矛盾しない志望動機を採用担当者に伝えることができれば、「実際に会って話を聞いてみたい」という評価を引き出せるのです。

志望動機に盛り込む内容

では、志望動機にどのような内容を盛り込めばよいのでしょうか。

履歴書の「志望動機」欄は、厳密には「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイント」と表記されています。特技は「免許・資格」欄の補足的な意味合いがあり、「免許・資格」欄に「TOEIC 900点」とあれば、特技が英語であることが伝わります。好きな学科は、新卒の場合だけの記入事項です。転職の場合、ここは「志望動機・自己PR」欄と捉えるべきでしょう。

つまり、志望動機には、応募先企業に対する関心度の高さや熱意だけではなく、自己PRとして自身の「仕事に対する熱意・意欲、向上心」「積極性、チャレンジ精神、行動力」「組織協調性(チームワークを尊重できる)」などの行動特性も書くことが大切です。

採用担当者が、「職歴」欄の情報を踏まえて、以下の3つのポイントで高い評価を獲得できれば、合格点がもらえるでしょう。
  • ① うちの会社の何を評価しているのか?
  • ② うちの会社と価値観は一致しているか?
  • ③ 経験を活かしてどう貢献するのか?
ここでいう価値観とは、企業が求める行動特性と理解してください。応募者の行動特性が「積極性、チャレンジ精神、行動力」で、会社の求める人材も同じであればマッチしていることになります。
【図版】採用担当者の3つの評価ポイント

志望動機の文字数

採用担当者は、通常、多数の応募者の履歴書に目を通さなければなりません。応募者としては、できるだけ情報を伝えたいところですが、しっかり一読してもらうためには適切な文字数であることが必要です。過不足なく、上記の3つの評価ポイントを盛り込んだ志望動機を書く場合、200文字程度が目安となるでしょう。

志望動機の構成とは

【図版】プレップ法(PREP)の話し方
3つの評価ポイントを盛り込んだ志望動機の文章を書く場合、構成はプレップ法(PREP法)を活用するのが効果的です。

「PREP」とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(例)」「Point(結論)」の頭文字を取ったものです。

Point:最初に結論を述べる
Reason:結論を裏づける理由を述べる
Example:理由の具体的な事例を述べる
Point:最後に結論で結ぶ

ビジネスでは、文書やプレゼンテーションなどの文章構成方法として、よく知られています。この手法を使うことでシンプルかつ説得力のある文章をつくることができます。

結論

まず「Point(結論)」では、「貴社を志望する動機は、〇〇です」など志望理由の要点となる企業方針、事業展開などへの共感を伝えます。例えば、求人の募集要項に「柔軟性のある人材」と書かれている場合、「貴社を志望する動機は、旧弊にとらわれない柔軟な取り組みを経営方針とされていることです」と、求められる人物像とからめた具体的な志望動機を記載するとよいでしょう。

根拠

次に長所を裏づける理由を書きます。「Point(結論)」で「旧弊にとらわれない柔軟な取り組みを経営方針とされていること」を主な志望理由にした場合、「Reason(理由)」では「私は柔軟性を信条とし、前職では自社サービスの売り込みだけにこだわらず、お客様の立場にも配慮した提案をしてきました」と、応募者の行動特性と関連した内容とするのがよいでしょう。

これは前述した評価ポイント「②うちの会社と価値観は一致しているか?」の部分に相当します。

具体例

「Example(例)」は、「Reason(理由)」を補足する具体例を書くことになります。

先ほどの例の続きとして、「お客様がすでに導入済みのサービスが併用できる場合は、その活用もプランとして提案することで成果を出しました」というような書き方が考えられます。

結論

最後に「Point(結論)」でまとめます。もう一度、結論である志望理由の要点を伝えることで印象を残すことが狙いです。

上記の例では、「貴社において、柔軟性を活かして課題解決することで事業に貢献したいと考えています」のように書きます。志望理由と応募者の行動特性が合致することで締めています。

評価ポイント「③経験を活かしてどう貢献するのか?」の部分です。

志望動機の転職パターン別の記載例

具体的な志望動機の記載例を、転職パターン別にみていきましょう。

同じ業界・同じ職種での転職

広告代理店の企画営業から同じ業界の同じ職種へ転職する場合の文例です。

基本的な構成は、上記のプレップ法に基づいています。先進性・柔軟性を信条として実績を上げ(具体的な実績については、職務経歴書に詳細に記載します)、転職先でもこうした行動特性によって貢献することを伝えています。
【図版】同業種転職の場合の志望動機例文

同じ業界・異なる職種での転職

家電販売業界の電話によるサポート業務から、同じ業界の店舗での対面販売業務への転職を志望する場合の文例です。

職種が異なっても、共通して求められる行動特性はあります。この場合は、コミュニケーション力です。電話対応は、消費者からすれば相手の顔が見えないことから、対応が厳しくなるケースがあり、対面よりも高いコミュニケーションスキルが必要となることがあります。文例では、暗にこうしたことも含めて、対面販売でスキルを活かすことを伝えています。
【図版】同じ業界・異なる職種での転職の場合例文

異なる業界・同じ職種での転職

法人向けの電気工事営業から太陽光発電の工事営業への転職の文例です。

信頼関係構築力という行動特性は、法人向けの電気工事営業では重要ですが、同様に太陽光発電の工事営業でも人材ニーズとして評価されます。その点を文面に表現しています。
【図版】異なる業界・同じ業種での転職の場合例文

異なる業界・異なる職種での転職

OA事務機器の営業からITエンジニアという、異なる業界・職種からの転職の文例です。

この場合、未経験者という扱いになりますが、「ITパスポート」という入門資格を学生時代に取得していることを伝えているため、チャレンジ精神が行動特性であることが採用担当者にも分かります。前向きな姿勢が、この「志望動機」とともに「免許・資格」欄で裏づけられています。
【図版】異なる業界・異なる業種での転職の場合例文

志望動機を書く際の注意事項

最後に、志望動機を書く際の5つの注意事項を挙げておきましょう。

誤字脱字、言葉の使い方は大丈夫か?

当然のことですが、履歴書の提出は採用試験の書類選考であり、誤字脱字はNGです。ビジネス文書は、手書きではなく、パソコンで作成されたものが一般的になってきています。履歴書も厚生労働省様式のフォーマットをワードやエクセルで作成し、情報を入力してプリントアウトするのがよいでしょう。

一度、プリントアウトした履歴書を熟読し、誤字脱字をチェックするのがおすすめです。間違いがあれば、パソコンで修正すれば済みます。

なお、志望動機では、前職で社内あるいは業界独自で使用されている用語は使わないようにし、別の一般的な言葉で表現します。

例文をそのまま使用していないか?

ネット上では、履歴書の書き方などで「志望動機」についての文例は数多く紹介されています。これまで説明してきたように、「志望動機」だけ独立しているのではなく、「職歴」や応募者の行動特性とも連動しているため、サンプルの文例をそのまま使用すると齟齬が生じることがあります。

応募企業の人材ニーズも同じではないため、自分でオリジナルの文章を作成する必要があります。

会社の説明文になっていないか?

評価ポイント「①うちの会社の何を評価しているのか?」では、業界内でのポジション、沿革、具体的な商品やサービス内容などを書きすぎると、会社の説明文になってしまいます。

採用担当者は、これらを列挙しても評価してくれません。応募者が本当に共感する特色をひとつ挙げれば十分です。

安定性、給与、福利厚生、勤務地などの処遇面を強調しすぎていないか?

「安定性に魅力を感じた」ということを書いた場合、書類選考で不合格になる可能性が高いといえます。主体性がなく、他力本願な行動特性であると思われてしまうからです。

また、給与、福利厚生、勤務地などの処遇面についても同様です。応募企業の給与などの処遇がよいのは、現在までの社員の努力の結果であり、こちらも主体性がないものとみなされ、「処遇がよければ、ほかの企業でもよいのでは」とマイナス評価として捉えられてしまいます。

面接での志望動機と異なっていないか?

先に応募者のキャラクターと矛盾しない志望動機を採用担当者に伝えることができれば、「実際に会って話が聞きたい」と思ってもらえる可能性を高めることができると説明しました。

面接して志望動機を聞かれ、履歴書とは異なる行動特性などを述べた場合、採用担当者が描いていたキャラクターと矛盾することになります。その時点で不合格となるおそれがあるため、注意しましょう。
【図版】志望動機を書く際の5つの注意事項

まとめ

志望動機の基本、盛り込む内容の決め方、構成などの解説のほか、転職パターン別の記載例をご紹介してきました。

履歴書には、学歴・職歴などの客観的な事実が記載されますが、志望動機は気持ちという内面を伝える情報として大きな役割を担っています。履歴書全体を通してキャラクターが一貫する「志望動機」を書くことが大切です。
監修者
坪 義生 さん
千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。じんじ労務経営研究所代表(社会保険労務士登録)、労働保険事務組合 鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。著書に『社会保険・労働保険の実務 疑問解決マニュアル』(三修社)などがある。

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